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神獣テイマーの異世界放浪記 〜未知なる食を求めて〜  作者: 葉山ローリエ
第二章:交易都市グランツ編 ~新たなる幻獣との出会いと、街を脅かす巨獣の影~
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第40話:ドラゴンの素材と、極上の特製ソース

王都へ向かう前日、俺はグランツの街の解体屋を訪れていた。

先日、街を襲撃してきたところを返り討ちにした『フォレストドラゴン』の解体を依頼していたのだ。

解体屋の裏手にある巨大な倉庫に入ると、厳つい顔をした親方が、俺の顔を見るなり満面の笑みで駆け寄ってきた。


「おおっ、リオンの旦那! 待ってたぜ。いやあ、こんな見事なドラゴンの解体をさせてもらえるなんて、解体屋冥利に尽きるってもんだ!」


「親方、お疲れ様です。それで、肉や素材の方はどうなりました?」


「ああ、完璧に仕分けてあるぜ! ドラゴンの肉は最高級の美味だし、鱗や牙、骨なんかはとんでもねぇ値打ち物の素材になるからな。ほら、見てみろ!」


親方が指差した先には、俺のマジックバッグにはとても入り切らないほどの、巨大な木箱が山のように積まれていた。


「すっごい量ですね……。よし、肉は従魔たちがめっちゃ食べるし、いろんな部位を使って色んな料理にしたいから、全部持って帰ります!」


俺がそう言って、大きな木箱に入ったドラゴン肉を次々とマジックバッグに吸い込ませていくと、親方は呆気にとられた顔をしていた。


「旦那のマジックバッグは底なしかよ……! じゃあ、残った大量の鱗や牙、骨はどうするんだ? さすがにこれは売り払った方がいいと思うが」


「そうですね。それなら、いつもお世話になってるロレンス商会に持っていって、買い取ってもらおうと思います」

「おう、あそこならこれほどの高級素材の買い取り資金もポンと出せるはずだぜ!」


 ◇ ◇ ◇

ロレンス商会の応接室。

俺がマジックバッグから数枚の分厚い『ドラゴンの鱗』を取り出し、解体屋にある素材の量と買取の相談をすると、ロレンスさんは持っていたティーカップをガタガタと震わせた。


「ド、ドラゴンの……全身の素材……っ!? リ、リオンさん! それは本当ですか!?」


「ええ。まあ、ドラゴンの硬い鱗に全力で斬りかかったら、衝撃に耐えきれずに俺の剣が根元からバキッと折れちゃいまして。鱗には少し傷がついてるかもしれませんが」

「ど、ドラゴンの鱗に斬りかかって……!?」


ロレンスさんが目を丸くして声を裏返した。一般の武器なら傷一つつけられずに弾かれるのが普通なのだが、俺がステータス任せに力いっぱい振り抜いたせいで、剣の強度が先に限界を迎えてしまったらしい。


「なるほど、リオンさんの規格外の力には、通常の鉄剣では耐えられませんか……。でしたら、これを持っていきなさい」


ロレンスさんが席を立ち、奥の保管庫から一振りの美しい長剣を持ってきた。刃が微かに青みがかった銀色に輝いている。

「これは、我が商会のお抱え鍛冶師が試作した『ミスリル鋼の混成剣』です。非常に頑丈で、魔力の伝導率も高い。この剣でどんな魔物を倒せたか、後で教えていただけますか?」


「ミスリル混成剣……! ありがとうございます、大切に使わせていただきます」


今後の仕入れのためという商人らしい建前で、最高の武器を用意してくれたロレンスさんの優しさがありがたかった。

さらに、ドラゴンの素材の買取価格は、なんと『金貨一千枚』というとんでもない額になった。王都の貴族や国軍に卸せばそれでもお釣りが来るらしい。これで当面、お金の心配は全くなくなった。

 ◇ ◇ ◇

ロレンスさんにお礼を言った後、俺は王都までの長旅に備えて、市場で徹底的な買い出しを行った。

日持ちするパン、大量の野菜や果物、新鮮な卵などの食材に加え、予備の調理器具もいくつか調達する。

そして仕上げに、俺は厨房を借りて『ソース類の作成』に取り掛かった。

前世の料理人として、味付けのバリエーションは旅の命綱だ。ケチャップやマヨネーズ、デミグラスソースにウスターソース、とんかつソース、さらには和食の基本となる醤油やみりん。

これらをイチから作るのは大変だが、幸いなことにグランツの市場には、地球の調味料に似た味のソースや発酵調味料がいくつか売られていた。


「リコ、この黒い液体の成分、日本の醤油に近づけるには何が足りない?」


『そう調べるまでもありませんわ。ほんの少しの塩気と、あとはこの果実の酸味を数滴加え、弱火で一煮立ちさせれば……ほら、完璧な醤油の味になりますわ!』


「おー! さすがリコ!」


リコの【森羅の叡智】による完璧なアシストを受けながら、異世界のソースに少しずつ手を加えていく。酸味を足してケチャップをまろやかにし、スパイスを調合して濃厚なとんかつソースを再現する。

こうして、俺のマジックバッグには、日本で慣れ親しんだ味とほぼ変わらない極上の調味料ボトルがズラリと並ぶことになった。莫大な資金と、完璧な調味料。これで旅の準備は万端だ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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