第20話:規格外の能力と、リンクする魂
次の目的地である新たな街を目指し、俺たちはリバニアの東門から旅立った。
街道から少し外れた見晴らしの良い丘で、俺たちは一度長めの休憩をとることにした。
マジックバッグから取り出した干し肉を齧りながら、俺は昨日のフォレストウルフ戦のことを思い返し、気になっていたことを二匹に尋ねてみることにした。
「なぁ、リコ、タンク。そう言えば、お前らの能力って具体的にどんなことができるんだ? 魔法とかも含めて、詳しく教えてもらえるか?」
俺の質問に、リコが少し誇らしげに胸の毛を張った。
『では、まず私の能力から説明しますね。私の固有能力は【鑑定】【解析】【高速演算】、そして【光魔法】です』
「【鑑定】は分かるけど、【解析】と【高速演算】ってのはどういう効果なんだ?」
『【解析】は、魔法やアイテム、敵の行動パターンや弱点などを細かく解析する能力ですわ。そして【高速演算】は、それらすべての情報を高速で処理する能力です。この【解析】と【高速演算】を組み合わせることで、たとえば敵が使った魔法の構成を解析し、新しく覚えることも可能になります。今後、能力が上がっていけば、その処理速度もさらに上がっていくでしょう』
「敵の魔法を解析して、新しく自分のものにできるのか。それはすごいな」
『ふふん、驚くのはまだ早いですわよ。何より、私は世界のあらゆる事象や知識を網羅する【森羅の叡智】を持っていますからね!』
「森羅の叡智……この世界のあらゆる知識が、その小さな頭の中に詰まってるってことか……」
小さな体でドヤ顔を決めるリコだが、その言葉のスケールはあまりにも大きすぎた。今はまだ制限があるのかもしれないが、世界の理そのものにアクセスできるような、底知れない格の違いを感じる。
「魔法の方は、どんな感じなんだ?」
『【光魔法】は万能ですよ。攻撃や防御、回復はもちろん、先日のフラッシュのような補助魔法や、幻像を生み出すホログラムなども使えますわ』
リコの能力だけでも、サポートとしてこれ以上ないほどに完成されている。
感心している俺に、リコはさらに重要な仕組みを付け加えた。
『そして、主であるリオンを通じて、私たちの魂は繋がっています。今後、リオンの元に従魔の数が増えていくごとに、お互いのリンクが強まり能力値が上がっていくのです。もちろん、それに伴って今お話ししたスキルたちも進化していきますわ』
「従魔が増えるほど、みんなが一緒に強くなっていくのか……」
テイマーとしての旅が、そのまま仲間たちの成長に直結している。非常に合理的で、頼もしいシステムだ。
『次は俺の番だな!』
タンクが大きな鼻息を吹き鳴らし、仔牛サイズの体を揺らした。
『俺の固有能力は【暴壁】と【敵意操作】、それに【土魔法】だ。【敵意操作】は、敵であればどんな相手、どんな状況でも、強制的に俺だけに敵意を向けさせる能力だぜ』
「完璧な盾役の能力だな。昨日は途中でウルフのターゲットが俺に移っちゃったけど、そのスキルを本気で使っていれば、すばしっこい奴でも絶対にタンクから目を離せなくなるってことか」
『おうよ! 俺が前に出るだけじゃなく、スキルで強制的に縛りつけるからな。それに、一番の自慢は【暴壁】だ。これはただの鉄壁じゃねぇ。攻撃を受けた瞬間に、相手の力を利用して自動で強烈なカウンターをぶち込む能力だ。カウンターは任意で解除もできるし、相手の攻撃を一定時間受け続けてダメージを蓄積させた後、まとめて一気に返すこともできるんだぜ』
「自動カウンターに、ダメージの蓄積か……」
タンクの耐久力が高い理由がよく分かった。敵の攻撃を受ければ受けるほど、それはタンクの武器になるのだ。
『【土魔法】も、ただ岩を突き出すだけじゃねぇぞ。周りの重力を操って敵を地面に這いつくばらせたり、土の兵隊を作るゴーレム召喚だってできるからな』
二匹の能力の詳細を聞き終え、俺は改めて、自分がどれだけ心強い相棒たちに恵まれているかを実感していた。
敵のヘイトを完璧に集め、カウンターで圧殺するタンク。
戦況を瞬時に把握し、多彩な魔法でサポートするリコ。
「二人とも、本当に凄い能力を持ってるんだな。……ありがとう、よく分かったよ」
二匹の能力がこれだけ優れているからこそ、主である俺自身がしっかりと動けなければ意味がない。昨日痛感した「自身のスピード不足」と「索敵能力の必要性」を、これからの旅の中でなんとかして克服していかなければならない。
『がははっ、俺たちの能力をどう活かすかは兄ちゃん次第だぜ!』
『ええ。焦る必要はありません。美味しいご飯を食べながら、一歩ずつ強くなっていきましょう』
俺は残った干し肉を二匹に分け与え、これからの果てしない旅路に想いを馳せながら、再びゆっくりと歩き出した。
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