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神獣テイマーの異世界放浪記 〜未知なる食を求めて〜  作者: 葉山ローリエ
第一章:最弱テイマーの規格外な旅立ち 〜最強の神獣たちとの出会い〜

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第19話:浮き彫りになる課題

無事に一人前の証である『E級』の冒険者プレートを手に入れた俺は、城塞都市リバニアの周辺でいくつか依頼クエストをこなすことにした。

さすがに最高位の魔獣を二匹も従えているだけあって、最初は驚くほど順調だった。


薬草の採取依頼では、リコの【解析】能力によって、生い茂る草むらの中から価値の高い希少な薬草だけをピンポイントで見つけ出すことができた。


小型魔物の捕獲依頼でも、仔牛サイズになったタンクがのっしのっしと近づくだけで、魔物が恐怖で腰を抜かして動けなくなり、傷一つつけずに生け捕りに成功した。


「よし、採取と捕獲は完了だな。次は……この『フォレストウルフの討伐』にいこう」


俺たちは、街の近くにある深い森へと足を踏み入れた。

フォレストウルフは群れで行動する凶暴な肉食獣だが、今の俺たちなら苦戦する相手ではないはずだ。

そう、思っていたのだが。


「グルルルルッ……!」


薄暗い茂みの奥から、鋭い牙を剥き出しにしたフォレストウルフが3匹、音もなく姿を現した。


「よし、タンク! 敵を引きつけてくれ!」


『がははっ、任せな兄ちゃん!』


タンクが前に出ると、ウルフたちは一斉に彼へと飛びかかった。しかし、大地の神獣であるタンクの分厚い筋肉と毛皮の前に、彼らの爪や牙など木の枝で突かれるようなものであり、かすり傷一つつけられない。


「今だ……『ロックランス』!」


俺は地面を踏み締め、ウルフに向けて土魔法を発動した。

だが、鋭い岩の槍が地面から突き出た瞬間、ウルフたちは驚異的な反射速度でそれを真横に跳んで回避した。


「くそっ、速い……! 攻撃が当たらない!」


ロックリザードの時は巨体だったから魔法を当てられたが、ウルフのように素早く動き回る小柄な敵に対して、俺の戦闘スピードが全く追いついていないのだ。


『リオン、右斜め後ろから1匹、死角を突いて迫っています! タンクへの攻撃を諦めて、こちらを狙ってきました!』


脳内に響くリコの【高速演算】によるナビゲーション。

おかげで敵の接近には気づけたものの、俺の肉体がその速度に反応できない。

ザシュッ!!!

フォレストウルフの鋭い爪が、俺の無防備な背中を切り裂いた。


「うわっ!?」


衝撃で前のめりになる。だが、痛みは全くない。タンクから共有されている【物理防御力:8500】のステータスと、新しく覚えたスキル【金剛不壊(微)】のおかげで、衣服は破れたものの俺の肌には傷一つついていなかった。


『兄ちゃん、大丈夫か!? チョロチョロ動き回りやがって、俺を無視して兄ちゃんを狙うとはいい度胸じゃねぇか!』


タンクが怒りの声を上げる。

その後は、タンクが力任せに前足で地面を叩き、その衝撃波でウルフたちの動きが鈍ったところを、俺がなんとか剣で仕留める形で討伐を完了した。

無傷での大勝利。客観的に見れば、新人冒険者としてはこれ以上ないほどの完璧な成果だ。

だが、マジックバッグにウルフの死体を回収しながら、俺の心はひどく沈んでいた。


「……ダメだ。全然ダメだ」


『リオン?』


心配そうに顔を覗き込んでくるリコに、俺は自分の両手を見つめながら、ポツリと本音を漏らした。


「タンクの防御力のおかげで無傷だったけど……もし俺が一人だったら、さっきの最初の一撃で首を撥ねられて死んでた。敵の動きが速すぎて、俺の攻撃が全然当たらないんだ」


それに、と俺は続ける。


「リコが頭の中で教えてくれなかったら、背後からの奇襲にも気づけなかった。今回はたまたまリコが見ていてくれたから良かったけど、これから先、もっと入り組んだ場所や、隠密の得意な魔物と戦うことになったら……絶対に先手を取られる」


今の俺に圧倒的に足りていないもの。

それは、敵のスピードに対抗できる【自身の敏捷性スピード】。

そして、周囲の危険を事前に察知する【索敵能力】だ。

いくらタンクのおかげで一撃必殺の怪力と無敵の防御力があっても、攻撃が当たらず、敵の接近に気づけなければ、宝の持ち腐れになってしまう。


『気づけましたね、リオン』


リコが、どこか嬉しそうに微笑んだ。


『強大な力を得ただけで満足せず、自分の弱点と冷静に向き合える。それこそが、冒険者として一番大切な資質ですわ。……ふふん、ですが安心なさいな。わたくしたちの能力は、今の状態が全てではありませんから』


「え? どういうことだ?」


『がはは、これからの旅がますます楽しみになってきたぜ。よし兄ちゃん、次の街へ向かう道中で、俺たちの『真の能力』について、じっくり教えてやるよ!』


二匹の頼もしい相棒たちに励まされ、俺は小さく息を吐き出し、力強く頷いた。

自分の弱点が分かったなら、あとはそれを埋めていくだけだ。

俺は破れた上着を仕立て直すため、そして次の街への旅立ちの準備をするために、一歩一歩、確かな足取りでリバニアの街へと戻っていった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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