帰るまでに
お読みくださりありがとうございます!
「ローザ様、旦那様よりお手紙です」
そう言ってマシューは一通の封筒をローザに手渡す。
手紙を受け取ったローザはそっと封を開けると、中の便箋を広げた。
読み進めていくローザの表情は驚いたり、安堵したりとクルクルとよく変わった。
あまりにもよく変わる表情にエリシャやマシューは顔を見合わせて不思議がった。
「正式に国に帰れるみたい」
「良かったですね、ローザ様」
「やっとですか。でも早かったですね」
マシューとエリシャも喜びながら返し、ローザも同様に笑顔を見せてはいるが、その顔は少し寂しさが浮かんでいる。
「なんだかこの国にも馴染んでしまっていて、いざ離れるとなると寂しく思ってしまうわね」
「寂しいのであればフィン様に嫁ぐという方法もございます。エリシャさんならレンさんも可能かと」
空気を読まないような発言をするヘレン。
個人の意思を無視した、政略的に考えればそれがいいのは確かだ。
マシューはすでに結婚しているのでヘレンも提案はしない。まあ、一家ごと呼び寄せるのもいいかもしれないが。
エリシャがキッとヘレンを睨み、ヘレンは柔らかに笑みを浮かべる。
「冗談です。そのような話はさておき、いつでもいらして下さいね。ローザ様ならいつでも歓迎いたします。手がかからないというのはありがたいですから」
淡々と語るヘレンはどこまでが冗談なのかわかりづらいため判断に難しいが、おそらく本心も混ざっているのだろう。
「もちろん、エリシャさんやマシューさんも」
「ありがとうございます」
この国にエリシャたちを連れて必ず遊びに来るわとローザはヘレンにいって、帰れるのはまだしばらく先のことだと笑う。
「帰るまでにやらなくてはならないこともあるわね」
一応、この国いるのは視察という形になっているためにもアルレッキーノ王国のことをもっとよく知っておくべきだろう。
普通に生活するだけでも違いは多くあるが、
それだけだけではまだ足りないのだ。
おそらくこれは互いの国を観光する人たちを増やすためのもの含めてだろうから。
「力を入れているのはフィン様よね」
「はい。フィン様にお声をかけておきます」
ローザは国に帰るまでの時間に、自分の出来ることを気合を入れるのだった。




