ついでだから
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「そういやローザ、カピターノ流花嫁修業してるんだって」
久しぶりに会ったフィンが真っ先にローザに尋ねたのはそんなことだった。
気遣いよりも先に好奇心の方が勝っているようだ。
「えぇ、少しは事実にしておかなくては困りますから」
「ふぅん。でも、ジェシカみたくはならないでもらいたいね」
「ジェシカさんのように?」
そうと頷いたフィンは、呆れを込めて息を吐き出した。
あまり話す気はなさそうだが、どうにもいい思い出がないようだ。
「あいつ、熊の一頭くらいなら相手にできるからな」
「……それは、すごいですわね」
驚くどころか引き気味にローザは返す。
教わったジェシカでそれなら、もしかするとフリーズはそれ以上に強いのかもしれない。
「ま、それはいいや。今からレンたち迎えにいくんだけど、ローザも来る?」
「レンさんを?」
フィンがレンを迎えにいくと言うことにローザは首を傾げた。反対なら分かるのだが。
「なーんか道中トラブルに会ったみたいでさ、買い物に出たかったしついでに」
「トラブルがあったのにですか」
無礼を分かっていながらエリシャは口を挟む。
わざわざトラブルが起きているところに王族や貴族が近づくことは、ローザやエリシャの頭にはない。
必要がある場合を除いてだが、おそらくレンの様子を見るからにその必要もないのだろう。
「暴動とかじゃないから安心していいよ、エリシャさん。ちょっとした勘違いみたいだったから」
「それなら、構わないけれど」
フィンが言うには、向かった先で盗難が発生したそうだ。
結局はその家の主人の勘違いだったそうで、何事もなく解決したようである。
ちなみにレンはシエルと一緒にいるらしい
フィンがレンを迎えに行く必要もないと感じるが、フィンにとってはそうでもないらしい。
「シエルがいるから気丈に振る舞ってると思うんだよね、ってことでマシューさんもどう?」
問われたマシューは手にしていたカップを少しの間見つめてから返事をする。
「ご一緒させていただきます」
フィンの意図を理解したマシューは、時間にも余裕があるようで了承をする。
それほどまでにフィンが心配しているレンの力に少しでもなれるといい。同業者としてそう思うようだ。
「決まり。馬車のとこで待ってるから」
「すぐに支度をしますわ」
ひらひらと手を振って去って行くフィンの後ろ姿は、どこか落ち着きのなさがあった。
「ついでとおっしゃっていたけれど……」
「反対、でしょうね」
急ぎ支度をしながら会話をする。
レンを迎えに行くのついでが買い物なのだろう。
ローザたちを誘ったのはきっと、少しでも見知った顔を増やすためで、レンが少しでも早く安心出来るようにとフィンの配慮なのだろう。
「こんな国は見たことがなかったわね」
ローザはクスリと笑って、エリシャとマシューとともにフィンの待つ馬車まで急いだ。
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