よく知れば
ローザのアルレッキーノ王国滞在が国外追放からアルレッキーノ王国を知ると変わったことで、パーティーへの参加が多くなった。
いつも仕事の押し付け合いばかりであるはずのアルレッキーノ城で働く人たちは、見たこともないほどのやる気を出して珍しく仕事に励んでいて、押し付け合いが取り合いへと変わっていた。
そのせいで仕事の効率は少々落ちていたのだが気のせいだと言うことで落ち着いた。
「交流自体はあったけれど……」
ローザは自分の部屋でエリシャが淹れたお茶を飲みながら小さくこぼした。
アルレッキーノ王国とドットーレ王国、交流はあったものの相手の国をしっかり知っていたわけではなかった。
いや、表面だけしか知らなかったというべきか。
活気溢れる国。
それがアルレッキーノ王国でフィンと旅行に行ってその通りだと思った。
ただ、ローザからすると王と民の距離が近く、貴族と庶民の境界がないようにも思えた。
もちろん、そんなことはないのだがフィンのように庶民に馴染んでいる貴族が多いのだろう。
この国では優等生だったローザはむしろ浮いていた。
「他国の方は皆さんそういった反応をされます」
ローザの表情から言いたいことを察したヘレンはよその国の人は同じような反応をすると言う。
多分、この国が異質なだけ。
大臣たちがくじ引きで役割を決めたり、押し付け合いをするのは他の国ではあり得ることではないと断言できるほどだ。
「ですが、同時に羨ましいとおっしゃいます」
あまり感情の出ないヘレンは淡々と語る。
ヘレンには理解できないことらしく、おかしな国と言いながら羨ましいというなんて不思議ですよねと首を傾げた。
「ふふ、そうね。おかしいと思うのに、羨ましくなるのは」
「分からなくはないですけど」
ローザは声を出して笑った。
そう言いたくなるのもわかる気がするのだ。
第二王子の婚約者として相応しい教育を受ける日々は、背負わなくてもいいはずの責任まで背負って、立場に相応しい対応を迫られていた。
そのおかげで慕ってくれる人もいたけれど、息苦しいのは変わらなかった。
なのにこの国は誰もが自由すぎた。
きっと立場の責任は重くのしかかっているはずなのに、誰もが軽やかで自分が悩んでいるのがバカバカしくなるほどだ。
そうなりたいと思えてしまう。
ローザはクスリと笑いをこぼして夜会のための準備を始めた。
ありがとうございました。




