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夜会

 ノックの音が聞こえ、ローザが返事をするとフィンが部屋に入って来る。

 レンも一緒だ。


「来週の夜会、ローザも出てくれない?」

「休養に来ていると伝えているのですが城に招待状が届くので王家主催のものに一度も出席していただければと」


 フィンの言葉をレンが補足する。


 ローザがこの国に来ているのは周知の事実で、どうして来ているのかは詳しく知らないだけだ。


 ただ、ローザの美貌と立ち居振る舞いの美しさはここアルレッキーノ王国でも有名なのだ。


「一度でも顔出せば落ち着くと思うしさ」

「それは構わないけれど……」

「用意がありません」


 ローザの言葉をエリシャが引き継ぐ。


 持ってきた服はどれもしっかりとしたパーティーに着て行けるようなものではない。


「ご心配なく、全てこちらで用意いたしますので」

「当日は俺が迎えに行くから」

「わかったわ」


 ******


 当日、フィンのエスコートで会場に入る。


 いくつもの視線がローザの方を向く。

 皆、すぐに近づきたいがそうもいかないのでソワソワとしている。


 そこにジェシカがやってくる。


「ローザちゃん!久しぶりね」

「ジェシカさん」

「今日は私がそばにいるから任せてちょうだい」


 ジェシカは自分の胸を叩く。


「ジェシカなら安心か。任せた」

「もちろんよ」


 フィンがアルレッキーノ王国に帰ってきてからの大きな夜会だけあって、フィンは挨拶に忙しい。

 

「そうね、群がられるのも大変だし人数を絞った方がいいかしら?」


 ジェシカがローザに尋ねる。


 ローザは会場の人をみる。

 チラチラとこちらを見る人たちがかなりいるので、対応するとなると大変そうである。


「そうですね」

「今行けそうなのはっと……」


 さっと会場を見渡したジェシカは目的の人物の人だかりを確認して、ローザと共にその人のところに向かう。


 向かった先は豊満な体つきの華のある女性だ。


「モニカ様」

「あら、ジェシカ。もう仲良しなのね」

「はい」


 モニカはジェシカとローザをみていった。


「ご存知と思いますが、こちらは噂のローザ様ですわ」

「ローザ・ローゼンです」

「わたくしはモニカ・ドリアーノよ」


 モニカが微笑むと周りでうっとりとしたため息が聞こえた。


「モニカ様は穏健派のトップね」

「そんなことないわ」


 それから少しだけ話しをして会話が終わる頃、モニカが言った。


「ところで、ローザ様はいつまでこの国に?お茶をしてみたいと思いまして」

「そう、ですね――」


 ドリアーノと言えば侯爵家だ。

 おそらく婚約破棄、どうしてアルレッキーノ王国にいるのかも耳に入っているのだろうと思う。


 だとしても、公にするつもりがない以上は別の理由が必要だ。


 ローザが口を開く前にジェシカが横から発言をする。


「モニカ様。ローザ様はフリーズ様の下で花嫁修行に来たんですよ。免許皆伝するまでです」


 モニカが驚いた顔をする。


「まぁ、そうでしたの。大変ですわね」

「え、えぇ」


 モニカと別れたあと、ジェシカは一言ローザに謝ったあと、理由を教えてくれる。


「フリーズ様がカピターノ国の出身なのは知ってると思うけど、軍事国家だからフリーズ様も手ほどきは受けてたみたいで強いのよ」

「そうだったんですね」

「そう、こう言っておけば余計な詮索はされないだろうし」


 それから何人かと話し、アルレッキーノ王国での初めての夜会は終わった。



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