メーア
今日も始まる鬼ごっこ。
鬼の数は多いというのに捕まえられない。
相手は一人なのに、小さいから隠れるのが上手いのだ。
やりたくないことから全力で逃げてるわけだし、こういう時の力は侮れない。
一番の捕まえ上手のレンは、フィンの仕事についていて今は留守だ。
手の空いている使用人一同で、とにかく探す。探して、やっと見つけても捕まえられず逃げられる。
「全く、メーアは何をしておるのだ。王女たるものしっかりと学ぶべきだというのに」
ぶつくさと言いながらもメーアを探すシエル。
レンがこの場にいればメーアを都合にシエルも逃げ出してますよねとか突っ込みが入っただろう。
逃げるメーアはというと、音を立てないように靴を脱いで歩いてローザの部屋の前まで来ていた。
近くで自分を探す声が聞こえて、ノックもせずにローザの部屋に入り込む。
真っ先に気がついて動いたのはマシューだ。
メーアだと認識した瞬間に、警戒をとき真摯な対応をする。
「これはメーア様。焦っているようですがなにかございましたか」
「しばらく匿ってちょうだい」
ここなら誰も探しに来ないだろうとメーアは長い髪を払いながら言った。
大方勉強が嫌で逃げ出したのだと予測はあるがマシューは尋ねる。
「べ――そう、シエルとかくれんぼをしてるの」
「ローザ様に確認してまいります」
部屋の奥でお茶を飲んでいるローザにマシューは確認をする。
「構わないわ。ちょうど相手が欲しかったのよ」
快く受け入れられたメーアはローザの対面に案内される。
「ありがとう、ローザさん。私、ローザさんとお話ししてみたかったの」
人懐こい笑みを浮かべるメーアは愛らしく、その天使のような笑顔にローザもつられて笑う。
本を閉じてローザは机の端に本を置き、メーアのお茶がきてからローザもカップに口をつける。
その動作は洗練されていて、美しい。
メーアは出された好みのお菓子に手をつけることなく、ローザを見つめていた。
「メーアちゃん?」
ローザに呼ばれて我にかえったメーアはごまかすようにお菓子を頬張る。
ローザと喋りながら、2回目のおかわりが淹れられる頃、メーアを探していた使用人が訪ねてきたのでお開きになった。
「ねぇ、ローザさん。また来てもいいかしら?」
「ええ、もちろんよ」
その後、ローザの立ち居振る舞いに憧れたメーアがしばらくローザの真似をして、城の人間たちに熱でもあるのかと心配されることとなる。
メーア様がやる気を出したとならないのがこの国の人たちです。
まあ、日頃の行いもありますが。




