いざ、潜入
日が落ちきり、しばらくするとあたりが黒で染まっていく。町は入れ替わるように準備を進める。銅鑼の音が響き終え、余韻が消えると、始まった。
空間を捻じ曲げるように、次々と化け物が湧き上がる。町に散っていくが、その多くがある屋敷をめがけていた。
「どんなんだろうな、いったい」
「こっちにも居を持っている、あの金だけはあるカエルの旦那のことだ。きっとすごいものに違いねぇ」
「楽しみだな。料理を振る舞ってくれるんだろう」
話題は一つのことでもちきりだ。今初めて知った様子の化け物も方向転換して、そちらに向かう。
そんな町の様子を遠くから眺めている三人の人影がいた。
「凄いな。いつもよりも化け物が多い気がするが、気のせいか?」
「確実に多いわ。あのカエル、いろんなやつにばらまいたのね。屋敷に収まりきるかしら」
どこか呆れ気味の様子のブローナは隣を見やる。
「兄さん。早く行かないと入れないんじゃない?」
「心配ない。いざとなれば押しのけるからな。だが、そろそろ行くか」
懐からあの小瓶を取り出すと、口を開け、中に吹きかけた。
そういうことか! と納得する。
「中か! その発想はなかったな」
「もしかして、顔に吹きかけただけだったの? 道理で効果が薄れやすかったわけだわ」
そんな会話をしている間にネイガーはみるみる姿を変えていく。自分はこんな姿だったのだと、バックルはまじまじと見つめた。鋭い爪、眼光。狼と熊の中間のような見た目だ。かなり大きく見える。これも幻覚なのだろう。
完全に変わりきったのを確かめると、ネイガーは屋根から飛び降りていった。
「あれって本当に幻覚なのか? 体が慣れない気がして苦労したんだが」
遠ざかっていくネイガーを見つめながらバックルはは首を傾げる。酒瓶を持つのにも一苦労だったのを思い出した。
「ええ。幻覚よ。でも自分でも変わったと感じてしまえば、そういった感覚に陥るの。要は自分の問題ね。それに、体調が急変したりするとすぐ効果が切れてしまうわ」
そういうものなのかと、バックルは自分を納得させることにした。深く考えてもよく分からないものだってあるのだ。
「じゃあ、そろそろ私たちも行きましょう」
走り出したブローナを慌てて追いかける。相変わらず、素早い動きだ。軽々と屋根から屋根へと飛び移る。まるで、羽が生えているような軽やかさがある。その背を追いながら、バックルは、緊張から心臓が脈打つのを感じた。
(ついにこの日が来たんだ。しっかりしなければ)
気がかりなことがいくつかあるが、全てを取り戻す。そう覚悟を決めた。
***
「さあ。いよいよだのう。楽しみだ。今日は祝い酒を振るまおうぞ」
でっぷりした腹。薄気味悪い黄緑色の肌。笑いながら扇で仰ぐ様子は既に酔っているものと見られる。主催者なのに困ると、男は嘆息した。このカエルには今日こそは頑張ってもらわなければならない。自分の命運がかかっているのだ。
とは言っても、今のところ、すべて計画通りにいっている。カエルが酔ったところで、特に影響はないだろう。
「本日は旦那様には一段と頑張ってもらねばなりません。大変でしょうが、どうかよろしくお願いします」
「構わん構わん。コルタカよ。今のところ順調らしいのう。わしのためにもしかと頑張るのだぞ。早く魔界で優雅な生活を送りたいものだ」
今でも十分優雅なのだが、高望みしているようだ。何が順調なのか知りもしない。一度成功しただけでいい気になっているのだ。これからも成功が続くなどと甘い夢を見ているに違いない。しかし、金は持っていても、頭が悪いため、こちらとしては扱いやすくて大変助かる。今回の計画が成功しても、あちらの世界で十分に利用させてもらうつもりだ。金と地位を与えておけば満足だろう。
「そういえばお主、床の模様替えを行ったそうだのう。前の床をわしは気に入っていたのだが、わしに見合った立派なものなのか?」
「ええもちろんです。素敵なものでございます。旦那様の為を思い、準備いたしました」
「そうかそうか。それは楽しみだ。ご苦労だった」
満足そうに笑う様子で、本当に扱いやすい。こちらとしては便利な駒として働いてもらおう。
「では、私は準備がありますので失礼いたします」
頭を下げ、部屋を出る。これから仲間との初めての対面のために滞りなく準備を進めなければならない。手の内で転がされているとも知らないだろう仲間を思い、男———コルタカは微笑んだ。
***
屋敷には化け物が押し詰めていた。提灯を持った使用人が間隔をあけて並び、列を整える。誘導に導かれながら進むも、席につけるまで時間がかかりそうだ。そもそも収まりきるのかも分からない。飽きっぽい化け物は早々に出ていった。並ぶのが苦痛なのか、イライラが溜まり、あちこちで乱闘が始まる。そのうち死者が出るかもしれない。穏やかに待てる者などごくわずかだ。これだから化け物は困る。理性の代わりに力を持ってしまった。
「クッソ! なげぇ~んだよ! いつまで待たせる気だぁ!」
横からも声が上がれば、同時に拳が飛んでくる。狭い空間の中で避けることはできないため、ネイガーは大きな毛むくじゃらで、長く鋭い爪が覗く拳を、片手一つで難なく受け止めた。勢いに押されよろけることもなく静かに受け止められた拳を見て、化け物はさらに大声で喚いた。
「てっめぇ。なに受け止めてんだ。大人しく殴らせろや!」
ネイガーの手から拳を引き抜こうとする。しかし、どんなに強く引こうとしても、拳は微塵も動かない。
「やんのかこらぁ!」
苛立ちが最高潮に達した化け物は、空いている方の手で再び殴り掛かる。しかし、ネイガーが横目で化け物を見て、目を合わせると、化け物の動きはピタリと止まった。かと思うと、ガタガタと巨体を震わす。
「は、離してくれ」
ネイガーの目から視線を離せない。一気に小さくなった声で懇願すると、すっと拳が解放される。それと同時に化け物は足早に逃げるように立ち去った。
気づけば、ネイガーの周りには化け物一人分の隙間が円を描くようにできていた。周りの化け物も殺気に当てられ逃げかえったのだ。ネイガーはふんっと鼻を鳴らし、大人しく列が進むのを待った。もはや誰もネイガーの周りで暴れ出す者はいなかった。
***
やっと席につけたところであたりを観察する。できるだけ戸をあけ放ち、部屋を繋げたことで想像よりも広い会場となっていた。と言っても、今後の動きを修正しなければならない程ではないだろう。あらかた予想通りだ。部屋には特段変わった様子はないように思えた。
しかし、一つだけ引っかかるものがある。床に引かれた黒い線。それが無数に繋がっている。大きな会場ではそれが何を表しているのか分からない。さらに化け物が床に座っているため、誰も判別できる者はいなかった。ネイガーでさへ、これだけでは流石に分からない。だが、使用人に出勤停止命令を命じた理由は主にこれであろう。これだけの広さで使用人の手を借りず、描き上げる必要があったのだ。注意が必要だ。
全ての化け物がやっと会場入りした。椅子があるわけではなく、雑魚座りだ。ただ一つ大きな立派な椅子が置かれている。誰もが容易にそこに座る者を予想できた。自然と視線が集まる。
しばらくして、楽師団が楽器を奏で始めた。ここまでするなど、いやに力が入っている。その音楽に合わせるように、垂れ幕から立派な衣装を身にまとったカエルが現れた。キラキラじゃらじゃらと見せつけるように、これでもか! と身に着けている。本来の用途を理解していないのだろう。その中には魔石は見当たらない。カエルは、椅子の前に立つと、喉を震わせた。甲高い、耳につく声が響き渡る。
「あ、あああ。皆さんお集り頂きありがたく思うぞ。さぞかし面白いであろうものを用意しているので、楽しみにするといい。では、祝い酒をふるまっておくれ」
カエルの指示が出ると、使用人が次々に酒を持って現れる。化け物達は雄たけびをあげ酒を受け取ると、あおり始めた。勝手に飲み始めた化け物達を見ても、カエルは満足そうに椅子で足を組んでいる。既に酔っているのか、よほどご機嫌なのか、あるいは両方だ。
取り締まりのない会場はあっという間に酔っ払いや暴れるものが現れる。カエルはそれでも満足そうで、手に持つグラスを揺らし、仰いでいた。
程よく時が経ったところで、ネイガーは立ち上がる。酒にはまったく手をつけていなかった。任務に支障をきたすわけにはいかない。誰もが酔っていて、騒ぎまわる中、立ち上がってもなんの違和感もない。目指すはあの部屋だ。速やかに部屋を出ようとしたところで、誰かとぶつかった。
「おっと、すいやせんねぇ。よろけてしまって」
見ると、そいつも酔っ払いにぶつかられたようだった。よろけた先にいたのがたまたまネイガーだった。
「いや、いい。気にするな」
足早に立ち去ろうとするが、驚いた様子で呼び止められる。
「待ってくれよ。あれ、旦那。ほら、俺だよ。覚えてるか? 覚えてるよな?」
鬱陶しく思いながらも振り返る。もちろん相手は化け物だ。そもそも知り合いなどいるはずもない。
「いや、知らん。悪いが誰かと間違っているんだろう」
「いやぁ~この間とは雰囲気が違うなぁ。まるで別人だよ」
ネイガーの青筋が浮きだった。人の話をまったく聞かないで、まとわりついてくる男を引き離す。すると蛇のような体をくねくねさせた。
「あぁ~賭けに負けたから怒ってるのか? そういや払ってもらってなかったなぁ。まあ今回は見逃してやるよ。それよりも、あんたどうしてここに居るんだ? あんたも世にも珍しいってやつを見に来たのか?」
賭けという単語に引っかかる。どこかで聞いた気がする。自分が賭けをした覚えはない。だとすると、可能性として―――。
「おい、賭けって何の話だ? いつした?」
「おいおい、覚えてないのかよ。まぁ、あんたはあの後すぐにいなくなったからなぁ。ほら、あそこ、酒屋でしただろう? えぇ? してない? 俺がしようといったんだから、したんだよ」
ふと思い返すと、このしゅるしゅるという舌の音、声には覚えがある。実際に会ったわけでも、見たわけでもないから分からなかった。
どっちにしろ付き合っている暇はない。もう答えるのも面倒で、無視をすることにする。再びまとわりついてきた体を振り切ると戸の方へと向かう。
「だから待てって! おい、あんた。折角再会したんだから飲もうぜ。縁は大切にしないとよ」
捕らえられた腕と、掲げられる酒瓶を見て、ネイガーの苛立ちは頂点に達した。
(あいつ。あとで待ってろよ)
不穏な言葉を心の中でつぶやくと、奪った酒瓶を蛇男の口へと突っ込んだ。
***
ぶるりと身体が震えた。バックルは体を丸め、腕をさする。
「どうしたの?」
振り向いたブローナが怪訝な顔をする。
「ちょっと悪寒が……いや、なんでもない」
そう、と特に気にした様子もなく、ブローナは再び下へと目を移す。
「とりあえず、宴会会場では目立った動きはなさそうね。カエルに関してもただ酔っているだけで、動く気配はないわ。それにしても……多すぎて兄さんがどこにいるか分からないわね」
再び身体が震えたが気にしないことにする。その時、後ろから声がかかった。
「旦那!」
振り返ると、バックルらと同じく、屋敷に潜入した西の里の男が近づいてきた。それを見て、ブローナは下へ視線を戻す。
「どうした? 何かあったのか?」
「いえ、今は何も……。そっちはどうですか?」
「目立った動きはないと思うぞ」
「そうですか……」
男は肩を落とした。当然だ。男らが奪われたのは魔石だけではない。昨夜、酒屋で暴れた化け物により、里長が連れて行かれたのだ。里長は相当強く、そこらの化け物など相手にならないはずなのに、一瞬だったそうだ。
あまりのことに呆然とした男らは店を閉めた後、しばらく立ちすくんでしまった。その時、酒屋のそとで何かが弾かれる音がした。出てみると、里長がかけた術のおかげで、壁に刺さらなかった矢が、戸の前に落ちている。括り付けられていた紙を見ると、この屋敷への地図が描かれていたそうだ。
そのことを朝知らせに来てくれた時、男らの顔はひどく青ざめていたが、目だけは怒りで光り輝いていた。今男の顔は項垂れているため見えないが、きっとその目は強く、揺るぎない決意で満ちているだろ。
「落ち込むな。絶対に見つけるぞ。魔石も里長も」
バックルが励ますように声をかけると、男は顔を上げしっかりと頷いてくれた。
男が立ち去るとブローナが呟いた。目は下を向いたままだ。
「旦那ねぇ。あなたいつの間にかかなり慕われるようになったのね」
バックルは苦笑する。
「俺よりも年上のはずなんだが……。本人達によると年齢の問題じゃないらしい」
ブローナは何も返さなかった。西の里に関しては複雑に感じるのだろう。
バックルも何も言わず、下に目を向ける。
その時、悪寒ではない、寒気がした。途端身体の震えが止まらなくなる。ブローナも動きを止めた。
何かが迫っている。そう感じた瞬間先ほどの男の声が悲鳴に変わったが聞こえた。
咄嗟に振り返るも暗くて何も見えない。それでも目を凝らすと、何かが揺れた気がした。
「逃げるぞ!」
合図と同時に二人は駆け出した。唯一の光であったランプを置き去りにする。後ろを振り返ると、ランプの横を何かが通り過ぎたのが見えた。
(何なんだ? 一体!)
高さのない屋根裏では逃げるのも一苦労だ。暗闇にまだ目も慣れない。しかし、二人は生まれ持った感性と鍛えられた身体によって、柱を避けながら素早く駆けていく。
「止まって!」
前にいるブローナからの声で慌てて停止する。見ると、前方でも何かが揺れていた。左右に走ろうとするも、いつの間にか黒い何かに周囲を囲まれている。目が徐々に慣れてきたはずなのに、正体が全く分からない。黒い何かはキラリと光る刃物を取り出した。途端殺気に襲われる。強烈な殺気。殺されると本能が叫んだ。
バックルは立ちすくんでしまったが、ブローナの反応は早かった。バックルに襲い掛かった刃物をすんでんのところで受け止める。ブローナは、あまりの重さに顔をしかめた。
バックルは我に返ると、隙をつき、思いっきり蹴り上げる。感覚は、した。良かった。相手は人だ。正体不明の何かよりはましだ。相手が少しよろけた間にブローナがバックルの腕を掴んだ。何をする気なのか瞬時に悟る。
相手が再び刀を振り下ろした瞬間、二人は下へとすり抜けていった。
バックルはブローナを咄嗟にかばい、落下の衝撃をやわらげる。落ちた先は予想通り、宴会会場から離れた小部屋だ。位置間隔は間違っていなかった。それにしても、あまりの偶然に疑わないではいられない。
(誘導された?)
恐ろしい疑問が頭に浮かぶ。そんなわけがない。バックルは振り切るように頭をふった。
「離してちょうだい」
近くでブローナの声が聞こえた。
「大丈夫か?」
体を離し、のぞき込むとブローナは口を尖らせた。
「あなたにかばわれなくても、私の方がよっぽど上手く着地できるわ」
「えっ、あっ、悪い悪い」
手を大人しく離していた方が正解だったらしい。だが、大丈夫だと思っても、どうしてもブローナの腕を見てしまう。先ほどの光景があの時と重なってしまった。
それに気づき、ブローナは口を開こうとする。
「これはこれは! 驚きました」
しかし、遮るように、別の所から声がかかった。引かれるように見ると、仰々しく腕を広げた男が入り口付近に立っている。
「まさか上から人が降ってくるなんて。運命的な出会いですね」
芝居がかった台詞を吐く男を見てバックルは眉をひそめた。白いフードを被った男は人だった。この化け物達が集まる屋敷で、堂々と立つ男を見れば、一つの答えが浮かび上がる。
(やはり、嵌められたのか!)
このタイミングでこの部屋に居る男。悪い予感しかしない。隣を見ると、ブローナの顔はどこか青ざめていた。
「せっかくの運命ですから、ご一緒に参りませんか? あなたがたの求めている物と、お探しの方が居ますよ」
にこりと笑う男はバックルの後ろを見やる。そこには大きな本棚が置いてあった。ちらりと見た後、バックルは体勢を低くする。ブローナは小刀を構えた。
「おや。物騒ですねぇ。どうするおつもりなのでしょうねぇ」
バックルは構えを崩さず、男に視線を合わせる。
「全てを返してくれないか」
男はにっと口をもたげ、さも愉快そうに答えた。
「嫌です」
途端バックルとブローナは男をめがけて飛び出した。こうなったら実力行使に出るまでだ。
しかし、バックルの拳が、ブローナの刀が男の前でピタリと止まるなり、二人は崩れ落ちた。体が動かない!
「なっ……!」
男は倒れた二人の後ろの棚へと歩いていく。
「ああ~あぶねぇ。やっと効いたか。これ即効性じゃないのかよ」
口調が崩れた男はお香入れを持ち上げ、火を消した。二人の前にしゃがみこむと顔をまじまじと見つめる。
「最近のお子ちゃまは聡くて困るねぇ。君のお兄さんはもっと手強そうだ」
男は面倒くさそうにため息をつく。そこで男はふっと笑った。
「でも、さっきは見事騙されてくれたねぇ。黒い奴が恐ろしかった? あれほとんど幻覚なんだけど見破れなかったの? 北の里も幻覚は得意だと思うんだけどなぁ。思ってるよりも進歩してないのかな? 生きているのはたったの一人だったんだけどねぇ。似たような策で君らの家族も騙したんだよ」
ブローナは目を鋭くして男を睨んだ。
「お、まえ。よくも魔石を、家族を!」
口の筋肉も徐々に力を失うなか、必死に言葉を紡ぐ。
「まぁ、落ち着けって。君の家族も里の魔石も無事だよ。今のところはね」
ブローナは悔しそうに唇を噛んだ。
「痺れ薬。まだ効ききってないのか? 口は動くんだ。おーいマゾ。こいつらさっさと運んでくれる?」
天井へ向けて声を出すと、天井の一部が、素早く、きれいに円状に切り込まれる。ぽっかりと開いた穴から黒い男が飛び降りてきた。
「あ~あ。この子みたいに天井をすり抜けられたらいいのにな」
「申し訳ございません」
「お前は相変わらず堅いって。そんなに真面目に謝らなくてもいいのにさ」
さて、と男が本棚に向き合うと、いくつかの本を取り出した。すると、部屋全体が揺れ出すとともに、本棚がゆっくりとスライドする。
「さあ、マゾ。さっさと運んじゃって。後は兄の方を連れてこなくちゃね」
意識はあるものの、身体を動かすことのできない二人は、抵抗もできず、ただ運ばれるだけだ。マゾと呼ばれた大男は二人を難なく肩に乗せると、男の後ろに付き従って部屋へと続いた。




