1 裏切り救世主
▼金城コミン(ヴァーサー・クーラー)
本作のメインヒロイン。夢見が丘高校1年A組の女子生徒であり、金髪ニーソで学園随一のアイドル生徒会長。学園では滅多に姿を見せず、目撃情報があると学園内は大混乱する。裏の顔は魔女と恐れられる、全世界から指名手配されたフィシス教派のボス、ヴァーサー卿。武器の呪い仕掛けなヤリはどんな相手でも一撃で倒す。身長163cm。
▼アクガリ
主人公と別の高校に潜伏する女子生徒であり、ヴァーサー卿に故郷を滅ぼされた騎士。狂暴で暴力的、フィシス教派を憎んでいる。主人公からヴァーサー卿の情報を聞き出すため襲ってきた。身長156cm。
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▼クレイジーソウル
汚れに集まる悪い言霊で攻撃的。悪いことが怒る予兆であり、ヴァーサー卿に恋焦がれている。
▼謎の黒騎士たち
ヴァーサー卿の手下であり、マリアたち騎士を凌駕する強力なカースの魔法を使う。
▼学園地下の囚人たち
祖国を破壊して追放され、主人公たちの学園の地下牢に投獄された魔族の囚人たち。ヴァーサー卿に恋焦がれ、彼女がいつか牢から救いに来ると待ち続ける。
【本編】
「裏切りハロはどこにいるなの!? 手間かけるなっつーの!」
「ハロ、かくれんぼは終わり、出てくるぅ!」
「決して逃がさないです、裏切り者は殲滅です――」
「い、痛いガル! 騎士ちゃん、離すガル!」
「ハロがヴァーサー卿と手を組んでいるとパーティの魔族たちが白状したです。ハロがフィシス教に加担しているかもです」
「知らないガル! 敵の騎士ちゃんなんかに教えないガル!」
「ペッ! ペッ!」
「生徒魔族たちが学園を脱出できたのは、ハロが支援したからですか?」
「変態エリートがウチらを騙していたかもなの! それ、超めんどくさいなの!」
「まずはフィシスに加担した生徒魔族たちを連行し、拷問してハロの容疑の手がかりを吐かせるです」
マリアたちから逃れ、胸の痛みをこらえながら隆起した岩陰に身を潜める。
周囲では地響きが鳴り、コミンが走り去ってからは急速に夢見が丘が崩壊している。
マリアたちが俺を探している! ここに隠れていたらやばい! 早く逃げなきゃ谷の底だ!
意を決して俺は走り出すが、やはり体中に痛みが走る。
「胸がッ! ごほっ、ごほッ! ……痛ッ!」
「誰です? そこに誰か隠れているですか? ハロですか?」
「まずい! ――うぐッ! 胸が痛ッ!」
再び立ち上がろうとするが、すでに目の前にはマリアが立ちはだかっていた。
「捕まえたです……ハロ!」
「――すみません、マリア先輩! 全て学園のためで――!」
マリアが俺を見降ろして、さらにポポ、クゥが囲む。しかし、最初は怒りと不安の表情だった3人は、すぐに目を見開き驚きを見せる。
「――あなたは……」
マリアたちは目を丸くする。
「――誰です?」
「ハロじゃないなの!」
3人は全く他人、というより知らない魔族を見るように俺を警戒している。
「……その首の紋章、フィシス教徒です」
「――これは、その……!」
俺は首元を隠す。
「別のヴァーサー卿の手下です! 連行するです」
「俺は敵じゃない! 逃げたりしないですから! ――ぐっ……!」
胸がきしみ、激しく痛み始める。
「ガルナビ、助けてくれ……、頭が……胸が、張り裂ける――!」
「え? 誰ガル!?」
ふらふらと立ち上がるとマリアたちと目線が同じだった。それに体に違和感があり、激しい倦怠感と痛みを感じていた。
体にヤリでも刺さっているのだろうか。体を見下ろす。
「……え?」
「フィシス教に堕した”その黒騎士”も捕まえて連行です。さあ手錠をするです」
「……うそ?」
「魔女の黒騎士! 追い詰めたなの! って、ずいぶん大人しいなの!」
「……うそだろ?」
「すぐ連行するぅ!」
「なんてことだ――」
「……黒騎士、話を聞いているですか?」
「ちょ、ちょっと、無視するなっつーの!」
「――お、俺の体が! なんなんだこの姿は!? この女の体は!?」
突然、俺の肩に赤い気味の悪い精霊が乗っかった。それはグシシと笑うと、俺の周囲を浮遊してけたけたと笑い始めた。
「またクレイジー・ソウルです!?」
「しぶとい悪霊なの!」
俺の頭上で、赤く不気味に笑うクレイジー・ソウルが浮かんでいる。
「そう! ヴァーサー・クーラー様が召喚された、フィシス教の新しい救世主! 邪魔する騎士たちを倒し、この世を女神の理想世界へ誘う黒騎士殿であるのだ!」
「やはり、フィシス教徒の黒騎士だったです!」
「お前たちなんでついてくるんだ! 俺は魔女の手下じゃない!」
「グシシ! 黒騎士殿の初陣を祝うのだ!」
ぎらついた目に狂気を秘めたクレイジー・ソウルは俺の前に躍り出て、マリアたちに対峙する。
「――、黒騎士、無駄な抵抗はやめるです!」
クレイジー・ソウルは黒い衝撃波を繰り出し、マリアたちがひるむ。
「うわッ! す、すごい汚れたソーサリィを感じるなの! あの黒騎士たち、ヤバいなの!」
「はぅ!? 黒騎士の攻撃、ちゅよい! か、体がしびれて動けなぃ!」
「今がチャンスだガル! 生徒魔族たち! 騎士ちゃんがひるんだ隙に学園に退くガル! 学園内なら拷問できないガル!」
「そこの黒騎士! ハロがどこにいるか知っているですか?」
「――それは……ぅぐ――ッ! 苦し……!」
とにかく俺はその場から逃げ出したかった。
「待つです! ハロを返すです!」
「黒騎士殿には閣下から大切な任務があるのだ――! ここは通さないのだ――グシシ!」
「はあっ、はあっ! 誰か、た、助けて――くれ……うぐっ」
俺は夢中でパーティ会場から駆け出すが、途中で記憶を失った。
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