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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第4章 吸血鬼の古城

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第77話 魔眼覚醒

魔眼の悪魔イビルアイがラピスを視た。

漆黒の瞳が赤い瞳を覗く。


「ア……」


イビルアイがラピスに干渉した事で得体の知れぬ気持ち悪さを感じラピスから声が漏れる。


身体の隅、手足の先からナニカが這いずる感覚に襲われる。

そしてその感覚は下半身、上半身と回り、首を通って最後は瞳へと進む。


女神エイアによって抑えられていたラピスの魔眼。

それがイビルアイによって今、解かれた。


魔眼の解放、それによりラピスの瞳はこの場の全ての魔力の流れを視認する。

そして此処は戦場である。

各々が目の前の敵である魔眼の悪魔イビルアイを討つべく魔術を行使している。


火、水、風、光などなど。

様々な魔術の多大な情報、それらが全て魔眼を通じてラピスへと流れ込む。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」

「ラピス!?」


流れ込んできた多大な情報に苦しむラピス。

ラニが駆け寄りその身体を支える。


魔眼がもたらす膨大な情報はその目を閉じてしまえば幾らか和らぐ。

初めて会った時にラピスがしていた様に。

故にラピスは目を閉じようとした。

未だに頭に流れ込む膨大な情報による苦痛から逃れる為に。


「な、なん、なんで!?なんでなんでなんでなんでなんでなんで?!?!?!?!」


瞳を閉じれない。

まるで筋が固まったかのようにまぶたがピクリとも動かない。

今なお自身に流れ込む膨大な情報による苦痛で涙が流れる。


まるで自分の目では無いような感覚。


ラニが頭を抱きしめる、少しでも情報を遮断させる為に。

けれど暴走した魔眼ではそれすらも意味をなさなかった。

魔眼はラニを透過し、世界を視る。


その情報量は今までの比ではない。


「アッ、ア゛ッ゛、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛━━━━」


イビルアイの手によって開かれた魔眼。

その魔眼から流れ込む膨大な情報量によりラピスの脳が焼き切れる。

そうしてこの世から居なくなる



















筈だった。


「シャルル!時間を稼いでくれ!」


「任せて!」


即座に昇が対応するべくラピスへと向かう。

イビルアイはただ嗤うだけ。

『もう遅い』と。


ラニとラピスの下へ駆け付けた昇は直ぐにラピスの肩を抱き自身へと凭れさせつつナイフで自分の左の手のひらを軽く切る。


「ラピス、ゆっくり飲むんだ」


「う゛ぅ゛……う……うん……う゛っ……」


ラピスの口元へ手のひらを近付け自身の血を舐めさせ、飲ませる。

ラピスが飲んでいる間に昇はもう片方の手で魔眼を手で隠す。


昇にとっては気休め程度のその手は、しかし特殊な肉体である為にラピスの魔眼からの情報を完全に遮断する。

昇の手が遮ってくれた、その安堵と昇の体温を感じられる程密着した事で安心感をラピスは得た。


(昇が私の中に流れてくるのが分かる……)


情報(苦痛)が遮られたことから余裕が生まれたラピスは自身の中を巡る昇を感じ取った。

イビルアイに視られた時に身体中を這いずり回ったあの感覚、だが今回は嫌悪感は無い。

身体の奥がポカポカと温かくなる。


女神達の気配を抑えれる昇の血を摂取すれば悪魔の力も抑える事は出来る。

昇がこの事を知っていた訳では無い、だが血を混ぜた外套など今までの経験から抑えられる可能性が高いと考えたのだ。

そしてその考えは正解だった。


悪魔の力さえ抑えられればラピスは自力で魔眼を制御し、抑えられるだろう。


悪魔に支配された肉体が息を吹き返す、気持ち悪さが消し飛ばされていく。


昇が私を包んでくれる。


(昇が私の中にいる異物(悪魔)を追い払ってくれるのが分かる……)


昇の血がラピスの中の悪魔の力を霧散させていく。

そうして完全に悪魔から解放されたラピスは自身の身体を抱きしめた。


「もう……大丈夫……ありがと」


そっと手を離した昇はラピスの顔を見つめる。

若干赤くなっている。


「クロエ━━」

「大丈夫!魔眼が暴走して熱いだけだから!少しすれば収まる!」


クロエを呼ぼうとし直ぐにラピスに止められた。

気になる所ではあるが今は戦闘中、昇は直ぐにシャルルの加勢へと向かう。


そんな昇を見つめつつ、ラピスはひと言。


「昇に全部見られちゃった……♡」


そう呟いた。


「ラピス……」


「ん……ラニもこの感覚を味わおっ」


そう呟き、ラニの口に昇の血が付着した自身の指をそっと差し込むラピス。


「っっっっっっっっ?!?!?!?!?!?!」


瞬間ラニの身体中を未知の感覚が支配する。


ラピスの指から昇の血を舐めたラニは昇が全身を包み込む感覚を味わった。


「あっ……私も昇に全部見られちゃった……♡」


ラピス同様に頬を染め、瞳を閉じて身体を震わせるラニ。

それは喜びからか、それとも……。

両手を頬に当てくねくねと身体を揺すっていたラニは少しして揺するのを止め。


「ラピス」


妹の名を呼んだ。


「うん、なんとなく分かる。昇が教えてくれた」


私達は2人で一つ。

互いに寄り添い閉じた瞳を開く。


ラニは右眼が、ラピスは左眼がより一層赤く輝く。


ラピスの魔眼の負担をラニも負担する。

そうする事でより負担を軽減する。


そこに昇の血が助ける。


昇の下を離れた血の遺志が、双子の思うように働き掛けてくれる。

ラニとラピスの望む情報以外を全て排除する。


「クソがぁ!!!」


ラピスに施した自身の力が霧散していく、再びラピスの魔眼を暴走させようと力を行使するもどういう訳か通じなくなっている。


更に目の前の勇者シャルルと昇。

この2人を主軸とした複数人の攻撃。

何故か魔眼ではその姿を捉えられない昇によって自身の優位性を潰される。

その事に苛立ちが募る。


「女神共を捕らえようと思ったがもういい!貴様ら纏めて殺してやる!」


翼を羽ばたかせてその場から飛ぶイビルアイは右腕を上げる。


火魔術。

極大の火球が生成される。

上げた右腕の肘から上を飲み込む程大きい火球。


当たれば一溜まりもない。


「「昇に」」


双子の声が響く。


「「手を出すなぁ!!!!!」」


魔眼を使用しイビルアイの魔術に干渉し火球を霧散させた。

更にラニの莫大な魔力を使用し2人で儀式魔術を使用する。


儀式魔術はマリアとセレスティナを見て覚えた。


双子の背後に現れる水の九頭竜。


「「行け」」


九つの頭を持つ水竜がイビルアイへと向かう。


「クソがぁぁぁぁぁ!!!!」


ラニとラピスが魔眼を用いて干渉し、魔術を掻き乱され発動できないイビルアイ。

そしてイビルアイは水の九頭竜に飲み込まれる。


「聖なる光よ!!!」


そこにクロエの奇跡による極光が降り注ぐ。

眩い光が収まれば床に倒れ伏すイビルアイの姿。


満身創痍の悪魔イビルアイはしかしついに立つこと無くその身体を灰にして消え去った。

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