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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第4章 吸血鬼の古城

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第71話 アルト城塞上層部

アルト城塞上層部。

その名の通り城塞が一段上へと上がった区画。

振り向けば先程進んで来た城壁や城門、そして街中を一望出来る。


「マリア、そこに階段が見えるが」


振り向いた先、その角に下層から上層に上がれる階段がある。

なんならこっちの方が近い気がする。


「古すぎて危ないから迂回させてもらったわ」


なるほどね、よく見るとこの階段は組み立て式で階段の下が空洞だ。

俺達の来た所は城壁同様下から積み上げられていて崩れる心配が無いからそちらから迂回して来たのだろう。


「と言うかゴーレムで登ったら落ちたのよね、ほらあそこ」


マリアの指差す先を見れば確かに木製の階段に一部穴が出来ていた。


「帰り道も此処は通らない方が良いな」


そう考え前を向く。

聳え立つ巨大な両開きの扉。

普通に考えて押し引きして開く様な物では無いし、何か開く為の仕掛けがありそうだ。


「どうする?壊す?」


聖剣片手にシャルルが聞いてきた。

どうするかなぁ、壊した方が速いよな……。

でもその衝撃で城壁が崩れてきたり足元が崩落する可能性もあるよな。


「壊すのは最終手段だ……ん?」


デカい両開きの扉にばかり目が行ってその傍にある通常サイズの扉に気付かなかった。


「あるじゃん扉」


良かった良かった、これで壊さずに済……。


ガチャガチャ。


ですよね。


「鍵掛かってるわ」


「仕方ないわね、私が開けるから退きなさい」


マリアにそう声を掛けられ扉から離れた途端マリアが扉を蹴り壊した。

脆すぎるだろとか、開け方が力技過ぎるだろとか色々と言いたいことがあるけど、まぁ開いたし良しとするか。

扉を蹴破って侵入した場所は小部屋だった。

大きなレバーがある以外何も無い部屋。


「多分これが両扉の開閉レバーだろうな」


「開ける?」


シャルルがレバー片手に此方を見ながら言ってきた。


「いや、止めとこう。何せ古いからな、機能するか分からんし崩れたりしても困るからな」


此処は古すぎる、振動とかで今居る所が崩れたりしたら敵わんからな。

そう告げると渋々手を離すシャルル。

どうやら引いてみたかった様だ。


入って来た扉とは別の扉を開けて外に出れば大扉の反対側に出れた。


下層の土の道と違い石畳が敷き詰められた大通りの一本道、これを真っ直ぐ行けばあの古城へと行けそうだ。


「わざわざここだけ石畳を敷き詰めたのか」


「下層が後から作られてたりしてね」


シャルルの言った通りかも知れんな。

元々はこの上層だけで後から下層の街と城壁が作られた。

まぁどちらでも良いか。


マリアとセレスティナの小型ゴーレムに先を行かせて安全を確保しながら俺達も進む。


「異常なほど静かね」


マリアの呟きが聞こえた。

彼女の言う通り確かに此処は静かだ。

中立に近いとは言え、話し合いがなされてない吸血鬼達。

故に此処はまだ敵地である。

だと言うのに迎撃の手が一切無い。

唯一あったのは城門前のあの人型棺だけである。


「敵の反応は?」


丁度傍を歩いていたセレスティナに聞いた。

下層に居ないだけで上層で待ち伏せているのだろうかと思ってそう聞いてみたのだが。


「無いです」


返ってきた答えはNO。

下層はおろか上層にすら居ない様だ。

はっきり言って不気味である。

城門前で攻撃を受けたから尚更。


これだけ強固な城塞だ、それなりに抵抗を受けると思って身構えていた。

最悪の場合此方の切り札である大砲を使わざるを得ないと思っていたが、まぁ温存出来るしいいか。


「また迂回ね」


「そうですね……昇様、この先の大通りが建物の倒壊で塞がっているので迂回しますね」


「了解」


マリアと話し合い、結果を知らせてきたセレスティナに頷く。

使役しているゴーレムの視覚共有で先が塞がっているのが見えたのだろう。

大通りから路地へと入り迂回する。


狭い、と言っても車椅子でも通れる道幅なので特に苦戦すること無く進める。

まぁマリアとセレスティナがその辺気を使ってくれてるみたいだけど。


「悪いな、ありがとう」


「気にしないで」

「気にしないで下さい」


2人にお礼を言えば微笑んでそう言ってくれた。


進む先、壁の一部が壊れ道に瓦礫が散乱していたりする。

その都度ルイナさんを俺が抱きかかえてティガーが車椅子を持ち上げて進む。


路地を抜け、城壁沿いの階段を上がる。

徐々に古城に近付く。


「ゴーレムが古城前の広場に着いたわ」


「依然として敵の姿は無いですね」


マリア達のゴーレムが古城前まで到達、敵の邪魔は未だに無い。


「警戒しつつこのまま古城前まで行こう」


全員が頷いたのを見て古城に向けて行進を再開。

既にゴーレムによって索敵を終えて安全は確認済みだが警戒は解かずに進む。

魔族の姿どころか城門にて交戦したあの敵の姿が見当たらない事に気持ち悪さを感じつつも古城前へと到着。


古城の入り口にある古びた両開きの扉、大きさは上層入り口よりは小さい。


シャルルを先頭にゆっくりと入り口へと進むその時。



ドォォォォォォン!!!!



古城の上より何かが落ちてきた。


直ぐに飛び退き剣を構えるシャルル。


土煙が晴れ、現れたのは城門前にて戦闘を行ったあのヒビが入った人型棺だった。

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