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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第4章 吸血鬼の古城

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第70話 アルト城塞内部

「退いた……のか?」


アルト城塞内部にて。

交戦していた人型棺が跳躍して姿を消した後身構えるも戻ってくる事は無かった。


ともかくこれでアルト城塞内部への入り口も確保出来たのでマリア達に連絡を入れて、複数の大型ゴーレムを俺達と変わらぬ大きさの小型ゴーレムに変えてもらい先行してもらう。


「見た感じ人の気配は無いんだよね」


ゴーレムが家に侵入し敵が居ないか調べているのを窓の外から見たシャルルが呟く。

確かに家の中に生活感はまるでない。

城塞内部の建物は一階建てや二階建てと様々だ。

屋上のある家もあるし。


「ここは既に敵の手の中だ、慎重に進もう」


「探索はゴーレムに任せて私達は一度後方に戻るよ」


進もうとした所、シャルルがそう言って俺の右手を掴んで引っ張って行った。

シャルルとクロエに連れられる形で俺は本陣へと戻る。

シャルルとクロエの変わりに今度はラニとラピスが傍にくっついた。


「「お腹空いた」」


「まだ食べて無かったな、丁度良い昼にしよう」


あの人型棺との戦闘で昼どころじゃなかったからな、取り敢えず腹拵えとしよう。

昼の準備をしてそれぞれ席に着いて食べ始める。


「あの棺、厄介だね」


シャルルの呟き。

城門前にて戦闘になったあの人型棺の敵。

魔物なのかなんなのか知らんがあの硬さ、非常に厄介である。

なんせシャルルの聖剣による光波を物ともしなかった。


「しかもあの感じ、倒しても2回戦目がありそうだし……」


「どっちかって言うと2回戦目のが本番っぽいよな、あれ」


シャルルの光波を受けて露わとなった鋼の剣。

最初の大剣の時よりも小さくなった変わりに恐らく切れ味が上がっているであろう武器。

また棺の頭部一部が欠けた事でその下から露わとなった剣と同じ鋼色の目から察するにあの棺の下にも鋼色の肉体があるのだろう。

棺を破壊したら鋼色の肉体が動くと思った方が良い。


昼食を終え再び城塞攻略に動き出す。

あの棺が他にも居る可能性も考え今回はフィアナやティガー、魔術師として優秀なラニ達も向かう。


「昇は私とラピスが守る」


「安心してね昇」


護衛として俺の傍に居るラニとラピス。

リーゼロッテは気に入ったのか竜形態で俺の頭に居る。


城門を通って内部へと再び足を踏み入れた。


「「「わぁ……」」」


ラニ、ラピス、ルミの3名から感嘆の声が漏れる。

始めてこう言った物を見ればそうなるよな、ルイナさんだって声には出てないだけで表情は驚いているし。

俺は驚きよりも警戒心のが強かったからな……。


さて、マリアやセレスティナの話では今の所、城塞内部に敵の姿は無いようだ。

奥に見える目的地のあの古城に行く為にはまず城塞の城壁を登り上層へ行かなければならない様だ。


「案内するわ、着いてきて」


ゴーレムとの視覚共有で道を知っているマリアの案内の下アルト城塞を進む。

まずは城門付近の広場から下に降りる階段を通る様だ。

ルイナさんは車椅子なので一度抱き上げて下まで降りる、車椅子はティガーに運んでもらい降りたら車椅子に再びルイナさんを座らせる。


「ありがとう」


「どういたしまして」


進行を再開。

土の家が建ち並ぶ通路を進む。


「改めて見ると小さな街みたいだね」


「実際街だったのかも知れんな、魔物とかの脅威から身を守る為に城壁を設けたとか」


「なるほど」


シャルルと喋りながら進む、勿論警戒しながら。

俺の傍に居るラニとラピス、少し後ろを進むルミとルイナさんは家の様子を見て少しワクワクしているのが見て取れる。

こうしてみると遺跡観光っぽく見えるな。

上を見れば両側の屋根の上をそれぞれ警戒しながら進むフィアナとローナの姿が見える。


流石猫と狼の獣人……身軽だな。


そんな風に進む事数十分ぐらいだろうか、城壁の上へと向かう為の階段に辿り着いた。

此処までの接敵は最初の人型棺だけである。


再びルイナさんを抱き上げ、ティガーに車椅子を持ってもらい階段を上がる。

階段は城壁の上まで直通、また途中に幾つかの踊り場を設けられている。

木製の手すりがあるが古びている為安心は出来ない、幸い階段は幅が広いので城壁側を歩けば落ちることは無いだろう。

何事も無く城壁の上まで辿り着いた。


「わぁ……やっぱり高いですね」


「15、16m位だからな、そりゃ高いさ」


クロエの言葉にそう返す。

城壁自体の高さが15m程あるしその上で山に築かれた事もありかなり高く見えるのだろう。


「凄い!お姉ちゃん見て!凄い景色!」


「こら、あんまりはしゃがないの」


「まぁまぁルイナさん、今だけですから大目に見ましょう」


「もぅ……あまりルミを甘やかさないで、昇」


ルイナさんは困ったように笑う、そんなルイナさん自身も見慣れない風景にワクワクしてるのは見て取れる。

だからあまりルミに強く言えないのも分かる。

安全は確保してるんだ、少しくらいなら良いだろう。


「ほら、ルイナさん」


「ちょっ、昇!?」


座ったままでは城壁の外が見えないので車椅子からルイナさんを起こし支える。


「……」


「綺麗だろ?」


「……えぇ、凄く綺麗……」


山、それも城壁の上からの景色は遮るものが一切無い絶景だ。

特にルミもルイナさんも自身の能力で今まで雪で遠くが見られなかっただろうからね。


「ふふっ……本当にありがとうね、昇」


「どういたしまして?」


「なんでそこで疑問形なのよ」


呆れたように、困ったようにルイナさんは笑った。


「くふふ、たまには空では無く、こうして地の高い所から見渡すのも乙なものじゃな」


そう笑うのは俺の頭の上を陣取るリーゼロッテ。

リーゼロッテは竜だから空を飛べる、此処よりももっと高い所から下を見ていたのだろう。

逆にこんな風に地上の高い建物から周囲を見渡す事の方が少ないのかもしれない。


「そろそろ先に進もうか」


景色を楽しむのも程々にし、ルイナさんを車椅子に座らせて先に進む。

進んだ先で次の区画に行く階段を登っていく。


そうして俺達はアルト城塞の上層へと足を踏み入れた。

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