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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第4章 吸血鬼の古城

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第69話 城塞手前

アルト城塞への入り口、その前に現れたゴーレムを倒す為シャルル達と共に駆ける。

とはいえ俺はシャルルとクロエから交戦を禁止されてるけど。


今なお敵ゴーレムはマリアとセレスティナの儀式魔術のゴーレムを薙ぎ倒しているようで土煙が上がっているのが見える。


「なぁ、シャルル」


「なにかな?」


俺はふと気になった事を隣を駆けるシャルルに聞いてみようと思って名を呼ぶ。

シャルルはチラリと視線だけを此方に向けた。


「儀式魔術のゴーレム、弱くね?」


「逆だよ昇、儀式魔術のゴーレムが弱いんじゃなくて敵のゴーレムが異常なんだよ」


「私達の知っているゴーレムとは全く別の存在って思った方が良いですね」


シャルルの言葉にクロエも賛同した。

シャルル達の知る、この世界のゴーレムとは全く異なる存在。


その姿を視認出来る距離まで近付いた。

全長はおおよそ2mほど、鎖で繋がれた身長とほぼ変わらない大剣。


何より異様なのはその姿。

顔に該当する部分に目、鼻、口は無い。

形を分かりやすく言うなら人型棺の様なもの。

その人型棺は包帯でぐるぐる巻きにされた人を模されている。

人型棺の背後から伸びる鎖で繋がれた大剣、棺が回転してその遠心力で剣を振るっているようだ。


だが人型棺と思って甘く見てはいけない。

動きを見てれば分かる、ゴーレムの様にもっさりとした動きは一切なく、素早い動きをしてる。

しかも飛ぶは跳ねるわでよく動く。


マリアとセレスティナの儀式魔術で作られたゴーレムが簡単に打ち倒されているのも頷ける。

此方のゴーレムの攻撃が当たらないから一方的に狩られてるんだ。


「はぁっ!」


『!!!』


マリア達のゴーレムが気を引き、背後から接近したシャルルがアリシア様の剣を振るうも気付いた奴が回転し剣を打ち付ける事で防がれた。


『!』


「っと!」


仕返しにと振るわれた大剣をシャルルは後ろに飛び退いて回避。

俺はシャルルの着地を守る為に地面に転がっている石を人型に投擲。

それを器用に操られた鎖で防がれたがこれでシャルルは安全に着地できる。


「戦闘禁止ですよ!」


「言ってる場合か!」


クロエから注意を受けてしまったがそんな悠長な事を言ってられる状況では無いので気にせず戦闘に参加する。

クロエも分かっているからそれ以上追及はない。


そうこうしてる間にもシャルルは人型と2度、3度と刃を交えている。


「凄い反応速度だっ!」


再び攻撃を飛び退いて回避しつつ此方に合流したシャルルが呟く。

相手の反応速度に舌を巻いているようだ。


「慌てるな、攻撃パターンは単純なんだ、よく見ればやれる」


反応速度は凄まじいが人型棺の形である為どうしても攻撃方法が限られる。


「っ!来るっ!」


棺の回転を見てシャルルが俺の前に移動しながら剣を構える。

振るわれる大剣をアリシア様の剣で受け止め上へと弾く。

弾かれたことで大剣は空を舞った、動きが不自由な今の棺に空にある大剣を素早く引き戻す術は無いだろう。


「光の矢」


淡々と呟かれるクロエの言葉。

その手に光り輝く弓と矢が出現し棺に向けて狙いを定め━━━━放たれる。


光の矢は寸分違わず人型棺の頭部に向かって飛翔。

たが当たる直前に棺が回避行動を取ったことで頭部の左の一部分が欠けるに留まった。


パラパラと崩れる左目付近、その中から現れたのは閉じられた鋼色の目だった。


「うわ……」


「どうしたの昇?」


その目を見てある事が脳裏を過ぎり、つい声が出てしまった。

その声を聞いたシャルルが剣を構え、棺から目を離さないまま尋ねてきた。


「いやさ……あの棺壊したらあの鋼色の奴が動き始めてそのまま第2戦になりそうだなって……」


「普通にありえそうで嫌なんだけど」


本当に嫌そうに呟くシャルル。

だが動くにしろ動かないにしろ倒さねばならない事に変わりはないが。


空に弾かれた大剣が地面に突き刺さる。

棺はまた回転を始めた。


「あの程度では退いてはくれないらしい」


「そりゃそうでしょ」


アリシア様の剣を構えながら一歩前に出るシャルル。


「一気に片付けるね」


シャルルの持つアリシア様の剣が金色の光を放ち始める。

その光は次第に強くなっていく。


それを脅威と捉えたのか棺がシャルルへと大剣を振るう。

シャルルは剣を構えたままピクリとも動かずその身体を無防備に晒したままだ。


迫る凶刃、だがその刃はシャルルの柔肌に到達する前にクロエによって構築された光の防壁によって弾かれる。


「面倒だから!お前ごと後ろの城門を吹っ飛ばしてやる!!!」


眩い光を放つ剣を頭上に構え、そう息巻いたシャルルは勢い良く剣を振り下ろす。


シャルルの聖剣から放たれる光波。


その凄まじい光の奔流は盾にした大剣ごと棺を無慈悲に飲み込み、そして宣言通り後方の城門まで吹き飛ばす。


光の奔流が収まるとシャルルの目の前から城門の少し向こうまでの地面が抉れていた。


「すげぇな……」


モーゼの海割りみたいだな。


「これがまた使える様になるまで回復したのも昇のお陰だよ」


剣を地面に突き刺し此方に微笑むシャルル。

これが万全なシャルルの実力かぁ。


「それじゃ行こうか」


シャルルを先頭に破壊された城門へと向かう。


城門の向こうにて佇む影を発見。


「仕留めるつもりだったのに渋といなぁ」


城塞内部にて今なお棺は立ち塞がる。

だがその姿は全体が大きくひび割れているし、また大剣もヒビ割れている。


パキっ━━パキパキパキッ


大剣のひび割れがどんどん進み、最後には全て砕け散った。

その中から現れた鋼色の剣。


「鋼色の肉体に鋼色の剣、鋼尽くしだな」


「と言うか石像の剣から鋼の剣になっちゃいましたけど、あれ切れ味が上がってしまったのでは……?」


「「…………」」


クロエの言葉に俺とシャルルは黙る。

チラリとシャルルを見れば同じタイミングでシャルルも此方を見た。


「「…………」」


流れる無言の時間。

気まずくなったのかシャルルは視線を逸らす。


シャルルの攻撃で相手がパワーアップしてしまった。


『やらかしたわね……』


「ごめんなさいぃ!!!」


響くノルン様の声に謝罪するシャルル。


『仕方ないよ、まさかあの一撃に耐えるなんて』


「それにこっちの攻撃でパワーアップするとも思わんじゃん」


俺とアリシア様は即座にシャルルのフォローに入る。

実際あの攻撃で倒すどころか相手がパワーアップするなんて誰も思わんだろ。


切れ味が抜群に上がった敵の攻撃に緊張感が漂う。

そして奴が動き出す。


「あ?」


かと思ったら棺は鋼の剣を引き寄せその場から大きく跳躍し姿を内部の奥深くへと消した。

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