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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第4章 吸血鬼の古城

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第68話 聳え立つ城壁

馬車を進めること更に数日、皆の看病やルナ様の特製風邪薬のお陰で俺の体調も戻った。

体調が戻った事で再びラニ達とも同じ馬車に乗るようになり、ラニはまた俺の膝上に座って身体を預けている。


「にしてもデカいな」


数日進んだ事で俺達の眼の前には目的地であるアルト城塞が遠目ではあるが姿を現した。


山に築かれた城壁、その城壁は広範囲に築かれていた。


「魔族軍の配置は?」


「確認出来てないよ」


シャルルからの返答。

確認できてない?


「……居ないってことか?」


「う〜ん、一応魔術で索敵はしたんだけど魔族の反応が無いんだよね」


「あれだけの規模の城塞に魔族の反応が無いとなると逆に不気味だな」


「ね〜」


あの城塞の向こう側にある古城に目的の吸血鬼達が居る。

魔族、悪魔からしたら寝返るかもしれない中立、または無理矢理従えている者達と俺達の接触は避けたい筈だ。

だから普通なら守りを固めると思うんだが……そこに魔族の反応が一切無いなら何か仕掛けがありそうだな。


「取り敢えず第1軍の合流を待つか」


「そうしようか〜」


そうして始まる城塞攻略に向けての陣地構築。


俺はクロエの監視の下、荷馬車に腰掛けて皆の作業を見守ることに。

怪我を負ってからだいぶ日数が経過してそれなりに治ってはきたのだがまだ完治はしてない。


スコップくらいなら持てるんだけど当たり前の様にクロエから止められております。


まずは皆で空堀を掘り進める、ある程度掘り進めたら数人で見張りを立てて残りが後方の森に木々を伐採しに向かう。


無論俺は留守番、今では立派な作業員となったラニとラピス達が見張りとして留守番。


セレスティナ達エルフがティガー達獣人と共に伐採に向かった。

後方は比較的安全だろう、という事でシャルルとクロエはラニ達同様に此処の見張りである。


「昇、ちょっといいかな?」


「どうかされましたか、アリシア様」


荷馬車に腰掛け暇を持て余していると憑依を解いたアリシア様が後ろから話し掛けてきた。

話し掛けるのは良いんだが距離が近いんだが。

俺の後ろから顔を出す体勢のせいだからかルナ様に負けず劣らずの豊満な胸が背中に押し付けられる。


「実は昇の記憶の情報を元にクロスボウとは別の兵器を作ってね」


「ほう?」


「まだ試作段階ではあるけど、大砲が出来てね、この城塞の攻城戦で使おうかなって」


「やめましょう」


「え?」


予想外の返答だったらしくアリシア様は目を丸く見開いた、傍に居たクロエやシャルルも驚きを露わにしていた。


「つ、使わないのかい?」


「より正確に言うなら様子見です」


「なんで?」


シャルルが首を傾げて尋ねてきた。

俺の記憶を見て大砲の良さを知ってるからこそ疑問に思ったのだろう。


「まず目の前のアルト城塞だけど、不気味な程魔族の反応が無い」


「うん」


「確かに此処も重要だとは思う、だが此方の優位性を捨ててまで使う必要は無いと思ってるんだ、使うならもっと別の、激しい攻防が予測される最重要拠点の攻撃時に使うのが良いかなと」


「それはまた……どうしてかな?」


「アルト城塞で新兵器である大砲を投入した場合、他の重要拠点攻撃時にその対策を講じられる可能性が高いという事ですかね」


大砲が攻城戦において凄く役立つのは分かるけど。

敵が立て籠もってるならまだしも敵が全く居ない場合だと完全に無駄撃ちになっちまうしな。

下手すると何の成果も得られないのに相手に情報だけ持ってかれる可能性もあるわけだ。


「まぁ要するにマリア達のゴーレム兵で様子見、最悪の場合に使うって感じでいいかと」


「なるほど、相手に情報だけ抜き取られない様にする為って訳だね」


「そういう訳です」


出来れば大砲は今後絶対に訪れるであろう今以上に重要な局面で使用したい、だが此処で甚大な被害が出るのならば躊躇なく使う。

納得したアリシア様は再び憑依したが今度はルナ様に抱きしめられたので状況は変わらず。


伐採組が戻ってきて再び作業を再開。

掘った空堀に土留めを施し、またトーチカも作成していく。


また後方の平場にアルト城塞攻略の作戦本部を立てる。


ある程度形になった所で日が暮れたので火を起こし夕食の準備と見張りに別れる。

クロエから料理くらいなら良いと許可が降りたのでルナ様とヴィシー様の食事の準備を始めていた所、アリシア様達からもお願いがあり結果女神様達全員分の食事を作る事に。


まぁいうて肉焼いて塩コショウで味付けする簡単なやつだけど。


食事を終えた女神様達とミミティは当たり前の様に憑依して身体を休める。


俺達も見張りを代わりながら休む事になった。


俺はクロエとシャルルに前後から抱きしめられながら眠りに就く。



翌朝。


ラニを抱っこしながらラピスと手を繋いで朝食を摂りに向かう。


朝食を食べ終えたら城塞攻略に向けての準備をする、ノルン様曰く昼前には第1軍が合流出来そうとの事。


そして予定通り昼前に第1軍が合流したのでマリアとセレスティナの儀式魔術のゴーレムを城塞へと向かわせる。


儀式魔術の経験値稼ぎにもなり、偵察にもなるので一石二鳥。

ゴーレムは問題無く城塞へと向かっていく。

有効射程にとっくに入っているのに城壁の上には未だ人影は見えず。


「城塞内部への入り口を見つけたわ」


ゴーレムの視覚を共有したマリアが呟いた。

アルト城塞内部への入り口は普段は鉄と木の扉で閉じられている筈らしいが今は開かれているとの事。


「このまま進めるわよ」


「ああ」


ゴーレムを城塞内部へと向かわせる、その時。




ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!



「ゴーレムが数体やられたわ!」


突如地響きが鳴り響く。

次いでマリアからゴーレムがやられたと知らせが入った。


音のした方を向けばその発生源は直ぐに分かった。

マリアが見つけた城塞内部への入り口、そこから土煙が上がっている。


俺とシャルルはイニッツィオで用いた簡易望遠鏡を覗いてそちらを見る。


アルト城塞の内部への入り口、晴れつつある土煙の中に影を見た。


「……ゴーレムっぽいね、それもかなり古い」


「魔族の反応が無いのは守りをこういう奴に任せてるからか、マリア対処出来そうか?」


「無理」


「だそうだ、あのゴーレムの対処はこちらでやるしかないな」


「そうみたいだね……良し、他にも居るかもだし気を付けながら入り口の確保に向かおう!」


「了解」


「昇は戦闘禁止ね」

「昇は戦闘禁止です」


「えぇ……」


シャルルとクロエに戦闘禁止を言い渡されてしまった……。

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