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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第4章 吸血鬼の古城

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第67話 季節の変わり目

あれから数日経ち、物資の補給と陣地への人員配置が終わったので出発する事となった。


目的地は吸血鬼達の根城である。


場所はルミ達の里より更に北へ向かった山々が連なった連山の頂上にある古城だそうだ。

つまりまた山を登らなければいけないという事だ。


まぁ登るのは良い、問題が別にある。


話を聞くにその古城に辿り着く前に立ち塞がる城塞を攻略せねばならないらしい。


【アルト城塞】


古城が建てられた山の全体に大きく設けられた城塞だそうだ。

だからどう攻略するか頭を悩ませている訳だが……まぁ道中は長い、ゆっくり考えるとしよう。

また攻略対象が城塞と言う事もあり今回は第1軍からも援軍が向かっている。

アリシア様達が俺の記憶から製造したクロスボウとかの新兵器を携えて。


それとルミにもシャルル達同様に近接戦の手解きをする事になった。

無論俺の記憶も見てもらったし異世界人と言うことも既に知っている。

ルイナさんは取り敢えずは足のリハビリに専念してもらい一人でも問題無く歩ける様になってから参加予定だ。


ガタゴトと揺れる荷馬車、俺はその中でルナ様の膝を枕に横になっていた。


「ごほっ……」


理由は単純に体調を崩したからだ。

今は季節の変わり目の様で、季節で言えば春から夏へと移ろいゆく時期。


春から夏と言えば、寒暖差や気圧・湿度に急激な変化があるらしい、それにより自律神経が乱れる「寒暖差疲労」や「春バテ」が恐らく俺の体調不良の主因だろうと言うのがエイア様の話。

なおこれらの情報も俺の記憶を見てその世界の情報を読み取ったとか言う訳分からんこと言ってた。


俺が体調を崩したという事でこの馬車は御者であるフィアナと護衛であるマリアを除いて誰も乗っていない。

風邪を移すと悪いからな。

ただ女神様達はルナ様以外全員憑依してるけど。


ルナ様に膝枕されながら頭を撫でられながら進むことどうだ、数時間は経っただろうか。

荷馬車がピタリと止まった。


「昇様、お加減は如何でしょうか」


「見ての通りよ」


様子を伺ってきたフィアナに答えるよりも速くルナ様が答えられた。


「昇の事は私が見てるから良いの、それよりも馬車を停めた理由を言いなさい」


「はい、昼の時刻になったので昼食を作ろうと思いまして」


「えぇ……いらない……」


正直言って食欲が無いんだよね……。


「駄目です、しっかり食べて栄養を付けなければ治るものも治りませんよ」

「駄目よ、しっかり食べなきゃ治るものも治らないんだから」


ルナ様とフィアナに叱られてしまった。


「それに食べなきゃルナ様の血で作った昇の風邪薬が飲めないでしょ?」


そう言ったのは護衛として近くに待機していたマリアだ。

痛み止めと言い、風邪薬と言い、全てルナ様の血を媒介にしなきゃいけないとは難儀な身体よのぉ……。


「ルナ様の分は━━」

「いらないわ」

「ふふっ、そうでしょうね」


相変わらず冷たいのにフィアナは微笑んで答える。

だがルナ様だけご飯無しは俺が嫌だし……作るか。


「ルナ様の分は俺が」

「昇は大人しく寝てなさい、私達神々は別に食べなくても死なないんだから」


そう思って身体を起こしたら伸ばされたルナ様の手に掴まれ膝に逆戻り。


ルナ様の膝に押し留められてから数十分が経った頃。


「「昇ーー!!!」」


綺麗な白髪の双子がトレーを手に姿を現した。

ラニとラピスの後ろにはセレスティナの姿もある。

こうしてみると保護者みたいに見える。


「治ったか?」


「まだ治らんな……」


「じゃあまだ一緒に乗れないの?」


「そうだ」


「「むぅ……」」


二人して膨れっ面しても駄目なものは駄目です。

万が一にも移ると嫌だから。

食欲は無いがご飯が来たので取り敢えず身体を起こす。

ルナ様に身体を引っ張られ凭れさせられた。


「昇様、食べれますか?」


俺の前にトレーを置いたセレスティナが尋ねてくる。


「正直に言おう、食欲ないねん」

「ですが食べないと━━」

「食欲ないねん」

「いえ、だから━━」

「食欲な「病人は黙って食べろ〜!」ごほぉ?!」


俺の身体から伸ばされた手がトレーからスプーンをひったくり、食べ物を掬って勢い良く俺の口に突っ込んできた。

声で分かった、フォティア様だろ。


「セレスティナ、こういう時は問答無用で食べさせるに限るよ!」


憑依を解いたティア様は腰に手を当ててそう告げた。


「問答無用にも程があるでしょ、死ぬかと思ったわ」


「でもこうでもしないと食べないでしょ?」


「食欲が無いだけで食べない訳では無いですよ」


「うっそだぁ、この間食べなかったじゃん、僕知ってるんだからね〜」


「そんな事ないですよ」


「思いっきり目逸らしてるじゃん」


「はい昇君、あ~ん」


「……」


ティア様から目を逸らした先でヴィシー様がスプーン片手に待機してるんですが……?


「ご、ごめんなさい、嫌だったよね……ごめんね」


「あむ」


「あっ……ふふっ♡」


目に見えて落ち込まれるとこっちも申し訳ないのでヴィシー様の食べる、すると嬉しそうにヴィシー様は微笑んだ。


「弟君あ~ん♡」


「「昇、あ~ん」」


そしたらエイア様やノルン様、アリシア様まであ~んしてくるようになったんだが……?


仕方ないので全員から差し出された物を食べる。

味?普通に美味いよ。


「はい昇、あ~ん」


そして食後にルナ様から差し出される赤色の丸薬。

そう、ルナ様の血で作られた俺専用の風邪薬である。


「ルナ様?その、あ~んじゃなくても……」


「嫌……?」


「頂きます」


悲しげな表情で見つめるのは反則だと思います。

ルナ様の指を口に含める形になってしまうが致し方あるまい……。


「あむっ」


「♡」


自身の指が他人の口に入ったというのにルナ様は嫌がるどころか嬉しそうに目を細めた。


取り敢えず、ルナ様の風邪薬を飲んだし悪くなる事は無いと思いたい。


そうそう、話は変わるがルナ様がアリシア様の料理を食べれるようになった。

100全て食べれるって訳では無い、俺がメインで作った物をほんの少しアリシア様が手伝って下さった物をだ。


それでも今まで食べれなかった物を食べれる様になったのは進歩だろう。

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