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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第4章 吸血鬼の古城

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第65話 敵陣地への挟撃

ルミ達の里を出た翌朝。

俺達は先に進む前に補給路の確保に移った。

別に山道を通ってルミ達の里を経由すれば補給は受けれるのだが、仲間とは言え知りもしない他人に無人の里を通過されるのはルミとルイナさんは嫌だろうから山を大きく迂回して補給路を設けることにした。


問題はその迂回路の先、山と山の間の谷を通らなきゃいけないのだがそこに魔族軍が居座ってるとの連絡を受けた。


そこで俺達は味方と連携し挟撃を仕掛けることにしたんだ。

近くまで来ているのは第1軍から別れた部隊、その部隊にはアリシア様達と連絡の取れる連絡要員の少女が随伴している為簡単に連絡が取り合える。

また挟撃に当たる部隊が第1軍に配属されていた者達なのも助かった、これが第2、第3軍とかだと一悶着ありそうだからな。


「この辺で良さそうだね」


挟撃には全員参加する訳では無い、その為荷馬車でお留守番する組と攻撃に参加する組と二手に分かれる為荷馬車を置く場所を探していた。

そしてシャルルが指示した場所に荷馬車を停める。


「良し、それじゃ手筈通りに頼む」


「了解しました」


事前に話していたように皆が動き出す。


俺もやっても良いのだがクロエを中心に皆から止められてしまったのでルイナさん達と一緒に荷馬車内で待機。


ティガー達にやってもらっているのは荷馬車をカモフラージュする為の葉っぱの確保だ。


登山道、と言って良いのか分からんが道から外れた所に荷馬車を停めた。

だが幾ら森の中に隠したと言っても何もしてないと直ぐに見つかる可能性が高い。

その為に荷馬車に葉っぱを被せて隠すんだ。


ティガーやローナに伐採と共に葉っぱを確保してもらってる間にフィアナ達が木々の加工に移る。

加工した木々を使って簡易的な雨避けを作りその中に馬を入れる。

そのままではやはり目立つのでこれにも葉っぱを被せよう。

十分な量の木を伐採したし、簡易馬車小屋も出来たので早速葉っぱを被せて偽装させる。


「いや待てよ?」


「どうしたの?」


ふとある事が浮かんでつい呟いた言葉にルミが反応した。


「いや何、谷間に居座ってる魔族って1日で制圧出来るのかなって思ってな」


「出来るんじゃないの?」


「出来れば問題はたいしてないが……いや出来てもあるか」


「???」


首を傾げるルミ。

まぁ普通に分からんだろうし分かりやすく頑張って説明しようか。


「此処に残る俺達は高確率で今日このまま此処で過ごす事になる」


「ええ、そうね」


ルミの隣にやって来たルイナさんが答えた。

人が増えたが気にせず説明を続けよう。


「仮に此処で過ごす場合、夜に料理を作ったりする際に焚火を起こす訳だ」


「うん」


「そうね」


「そうじゃのぉ」


「暗い夜の時間に焚き火をすると折角隠れててもその明かりが周囲に漏れて居場所がバレてしまう訳だ」


「「なるほど……」」


「そうじゃのぉ」


ラニ「そうだな」


ラピス「昇は頭良いね〜」


なんで徐々に人が増えていくんですかね……?


「そういう事でリーゼロッテ」


「なんじゃ?」


俺はリーゼロッテに声を掛けつつ後ろを向いてスコップを取り出す。


「掘れ」


「えぇ!?ワシだけ?!」


スコップを押し付ければリーゼロッテは目を見開いて戸惑いながらも受け取る。


「冗談だ、ちゃんと俺も掘るさ」


「いやお主は大人しくしておれ」


「えぇ……」


俺も掘ろうと思ったがリーゼロッテに止められた、しかも渡したスコップとは別に取り出したスコップを示し合わせた様に動いたラニとラピスに強奪されたという。

取り敢えず俺は掘らずに皆に何処から何処までをどのくらいの深さで掘ると言う事を指示する事にした。

指示していると材木片手にティガーが寄ってきた。


「あの半地下の建造物ですかい」


「よく分かってるじゃん」


「ってなると高さはこんくらいで」


「そうだな」


俺の記憶をシャルル達と見たティガーはその中で今作ろうとしてる物を正確に把握しており、直ぐに材木を適正の長さでカットし掘り終わった後ろから建て始める。


おれが今作ろうとしてるのは半地下の簡易拠点だ。

穴を掘り半地下とし、木々で屋根を作りその上に草木を被せ偽装することで隠す。


ちなみに半地下にしたのは俺の趣味だったりする。

既に馬車小屋が出来ていて高さがある為無理に半地下にして隠す必要は無い。

馬車小屋も穴掘って高さを下げればまだ効果はあるだろうけど。


そんなこんなで半地下の陣地が完成。

直ぐにシャルル達攻撃組は支度をする。


居残り組は現非戦闘員である俺と子供達とルイナさん、そして見張りにティガーとローナだけだ。


「行ってくるね」


「気を付けてな」


そして支度を終えたシャルル達は俺達の見送りを受け、攻撃に向かった。







昇達と別れたシャルル率いる攻撃組は森の中を駆け抜け魔族の陣地へと向かう。


新しく昇の血が混ぜられた外套を着ることでシャルルとクロエに与えられた女神アリシアの気配を極限まで抑え込むことで可能となった勇者達の隠密行動。


それによってシャルル達は魔族に察知されること無くその背後へと忍び寄ることを可能とする。


「魔族を確認」


森の茂みの中、挟撃する魔族陣地を視認したシャルル。

姿勢を低くし魔族に見つからない様にその陣地内を確認する。


「こっち側は警戒してないね」


「私達が既に回り込んでいると言う考えは無さそうですね」


陣地内の魔族の配置を見て話し合うシャルルとクロエ。

魔族陣地後方部、つまりシャルル達の居る方への警戒は一人もおらず防護柵すら作られていない状況であった。

内部の魔族も前方の守りを固めているだけでシャルル達後方の魔族は焚き火を起こし休息を取っている。


「これなら前方で囮になってもらう?」


「そうですね……戦わせずに姿を見せるだけに留めてわざと警戒させた所を背後から強襲を仕掛けるのはどうでしょう?」


「悪く無いわね、ならより成功率を上げる為に夜間に仕掛ける?」


勇者と聖女の話し合いに精霊のマリアが参加した。


「賛成!」

「賛成です」


マリアの提案に2人が賛成、マリアが周囲を見渡せば近くに居る全員が頷いた。


「決まりね」


「なら連絡するわよ」


昇の外套に身を隠した女神ノルン、彼女は交信を用いて連絡要員へと纏った話の内容を伝えた。


そして全員が息を潜めて日が落ちるのを待つ。


太陽が沈み辺りが夜の闇に染まる中、陣地の焚き火の明かりだけが周囲を照らす。


「来たわ」


マリアの呟きと共に内部を見るシャルル達。

内部の魔族は慌てたように全員が前方へと向かっていた。


「予定通り始めたわ」


「分かりました、皆行くよ」


それを見てノルンが交信をし、手筈通りに味方が前方に姿を現し牽制を開始したと情報を入手。

敵の注意が前方に引きつけられているこの好機を逃すこと無くシャルル達が内部へと雪崩込んで行った。


一方その頃・・・











「ゆっくり歩きましょうね〜」


「は〜い」


「お姉ちゃん楽しそうだね」


焚き火に照らされる半地下の中で昇の手を掴んで歩く練習をしていたルイナ達だった。

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