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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第3章 雪の里

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第61話 火の悪魔

昇と別れた先の一室でアリシア達は目的の悪魔と遭遇した。


身体の所々に火を纏う、火の悪魔フラムマ。


その存在を見てシャルルがアリシアの剣を構え前に一歩出る。

クロエがルミを庇うように前に、フィアナやローナ達がアリシア達を守る様に立つ。


「ほぉ……勇者に聖女、それに女神も……捕らえたい奴等が揃いも揃って来てくれるとは嬉しいねぇ!」


フラムマの感情の高まり、それに呼応するように身体に纏う炎も激しく燃え立つ。


「役立たずも少しは役に立ったなぁ!まさか女神達を連れてくるなんて!」


「ルミは役立たずなんかじゃないっ!」


「待てシャルルっ!」


ルミを侮辱された事で怒り、駆け出すシャルル。

それを見てアリシアが制止を掛けるもシャルルは止まらない。


シャルルの相手が1人であるという判断、それは間違っていない。


「火の化身」


しかし数が増えないという保証は無い。


「なっ?!」


フラムマより生み出される火の身体を持つ化身。

それが複数体、1体はシャルルに接近しながら炎の手を伸ばしシャルルと鍔迫り合いを行う。

残りはその隙を付いてアリシア達へと向かった。


「アリシア姉様とノルン姉様は僕の後ろに!」


「待ちなさいっ!同じ火を扱うティアじゃ荷が重いわよ!」


「でもノルン姉様よりは戦えるよ!?」


「はぁ?!私が弱いって言いたいのかしら?!」


「弱いじゃん!!!!」


「あ゛あ゛?!」


「こんな時に喧嘩しないでもらえますか!?」


喧嘩を始めそうになったフォティアとノルンにクロエが苦情を入れる。

既に火の化身は交戦距離に入っておりクロエが防壁を張りアリシアが剣で迎撃を始めている。

他にも接近してくる火の化身にマリア、セレスティナ、ラニ、ラピスの4名が水魔術で相手取っていた。


「喰らえ!」


「火の悪魔である俺にそんなもんが効くかよ!」


隙を見て火球を吐いたリーゼロッテ。

火球はフラムマに着弾するも傷を付けるに至らない。


「ティガー達は下がりなさいっ!こいつら相手には相性が悪いわっ!」


「でもそれじゃマリア達の負担が!」


マリアの言う通り水魔術を扱えないティガーやローナでは火の化身相手に分が悪い。

幾ら身体強化の魔術を施したとしても火の化身のその身から放たれる火の熱を防げる訳では無い。

特に獲物を用いないティガーとは相性最悪だ。


だがそうなるとフィアナの言うようにマリア達魔術師の負担が大きくなる。

負担を軽減する為にも早々に火の化身を倒したいフィアナ達。


頼みの綱であるシャルルはその力を危険視したフラムマによって既に数体の火の化身に囲まれて直ぐに動けない状況だ。


「シャルル!」


その状況を自身の展開する防壁越しに見たクロエから焦る声が放たれる。


「彼女は大丈夫よ!問題は━━━」


「そうだった」


ノルンの声に被せる様に言葉を放つフラムマ。


「貴様の力は未来視だったな……ノルン?」


「ノルン様っ!?」


直後、ノルンの背後から火の化身が飛び掛かる。


その燃え盛る手がノルンに伸ばされる。


「流石、私の自慢の妹ね」


ノルンの呟き、それと同時に彼女の背後に水の壁が生まれ火の化身を弾く。


「ありがとうヴィシー、助かったわ」


「間に合って良かった……!」


未来視でこうなる事を知っていたノルンは涼し気な顔をして平然としているが助けに入ったヴィシーはそんな事を知らない為、姉であるノルンの無事を確認してホッと一息つく。


「あら?勇者や聖女が居るにも関わらずたった1体の悪魔に苦戦しているの?」


「うっさいわね、相性が悪いのよ相性が」


ヴィシーの背後からやって来たルナの一言に若干苛つきながらノルンが返事をする。

ルナとしても相性云々は分かってはいるのだが、囮があったとはいえ単独で討伐を果たした昇と比べてしまうのだ。


「お前は……ルナ!」


ルナの姿を視認し声を上げるフラムマ、それに連動してか火の化身の動きが鈍る。

その隙にシャルルが斬り裂いてクロエ達と合流を果たすがフラムマは特に気にした様子は見せない。


「ああ、これは良かった。リューヌをヤってから悩んでいてな、この剣」


背中にずっと背負っていた布に巻かれた物、剣を手に取る。

スルスルと布が解かれ現れたのは蒼色の刀身をした剣だ。


「それはっ!ルナのっ!」


柄が布で巻かれた剣。

アリシアの言った通りそれはルナがリューヌの為に与えた剣だった。


「お前がこれの主をリューヌしか認めていないからか直接触れなくてな、お前を捕まえて屈服させようと思った矢先に逃げられ困ってたんだ」


フラムマはルナの剣を掲げうっとりとした様子で呟く。


「お前の妹、リューヌは良かったぞぉ」


アリシア「お前がリューヌをっ!」


「ああそうさ!俺があいつを殺した!他の奴等と散々その身体を楽しんだ後になぁ!ルナ、お前の妹リューヌは実に良い声で鳴いた!お前に似ているリューヌを犯す度に!お前を犯す日が待ち遠しかったぁ!」


ルナに駆け寄るフラムマ。

近づけさせまいとその間に割り込み剣を構えるシャルル。

だがフラムマの勢いは止まらない。


「今度こそ穢してやる!ルナァァァァァ!!!」


「俺の女神様に触るな」


割り込む声とフラムマの目の前を通過するナニカ。

フラムマはそれに気付き足を止める。

壁に当たり転がったソレはフラムマの足元に止まるがフラムマはそれを投げ付けた者へと興味を示し投げ付けられた物を見ない。

見ていればシャルル達同様に動揺して少なからず隙が出来ただろう。


「魔力の無い人間?ガムビチェインが興味を持ちそうだが……」


物陰に薄っすらと浮かぶ人影、それを見たフラムマはその特徴に気付き首を傾げた。


「そいつならてめぇの足元に転がってるぞ」


フラムマは嗤った。

同じ悪魔であるガムビチェインが魔力すら無い人間に負ける筈が無いと。

それに投げ付けられた物の大きさはどう考えてもガムビチェインより遥かに小さいもの。


(魔力も持たない人族が虚勢を張って勇者達の為に隙を作ろうとしているのは明白)


そう考えたフラムマは笑みを浮かべたまま足元を見る、勿論勇者達を警戒しつつ。

わざと相手の挑発に乗り襲ってきた勇者を返り討ちにする。

上手く行けば人質に出来る。

そう思って下を見た。


「は?」


フラムマから呆けた声が響く。

それは紛れも無くガムビチェインの顔だった。

偽物でも何でもない、本物の首。

恐怖に歪んだガムビチェインの顔だ。


「薄ら笑いが消えてるぞ」


「はっ……ごっ?!」


動揺、そしてその隙を付いて接近を許してしまったフラムマは顔面を殴られ吹っ飛ばされる。

その辺に置かれていた棚や木箱が破損し保管されていた羊皮紙が飛び散る。


「がぁぁ……クソ、が……あ?」


悪魔の殆どは痛みに弱い。

これまで痛みとは無縁だった為。

痛みに悶えながら身体を起こした時、自身に重なる影にふと顔を上げる。


それは肉体であった。

首のない肉体、ガムビチェインの肉体だ。


「ごっ……は━━━━?!」


落ちてきた肉体に潰され、その肉体を退かすよりも速く、背中に付けられた物体がフラムマの前で眩い光を放ち。


ドォォォォォォン!!!!!


爆発した。


予めガムビチェインの肉体に即席の爆弾を括り付けていたのだ。

その肉体を投げた、それだけの事。


だが痛みに耐性の無いフラムマの動きを止めるには十分であり。


「は?」


「がは……」


昇は止めを刺そうと近づいた時、奥の暗闇から鋭利な物がフラムマを貫いた。

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