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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第3章 雪の里

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第54話 雪の里の少女

雪の里、そこに響いた女の人の声。


「気の所為?」


「いいえ、はっきりと聞こえました」


俺の言葉は俺を守る様に立ち塞がったフィアナに否定される。


ティガーや、ローナ、リーゼロッテ達も身構えている事からやはり気の所為では無いようだ。


それはそれとしてリーゼロッテ、お前、構えるならせめて頭の上から降りろよ……。



声が響いた後なのに未だに人の気配が感じられない。

かと言って忠告に従って帰ってしまっては目的の達成が出来ないし、せめて人を見つけて話し合いはしたいところだ。


「どうする?進むか?」


シャルルに聞いてみれば彼女は静かに首を縦に振った。

危険である事は分かるが帰ってしまっては話が進まない。

そう言う事でゆっくりと里の中に足を踏み入れる事にした。


俺を中心に四方をティガー、フィアナ、ローナ、セレスティナが囲む形で進む。


まずは里の入り口付近に建てられた家へと侵入する事にした。


「人の気配、匂いもありやせんね……」


先頭のティガーが呟く。


「扉は固く閉ざされてますね……」


「でも内側からじゃないんだよね、何で外から板張り付けてるんだろ?」


フィアナとローナが首を傾げる。

目の前の家は扉が外側から板が張り付けて閉ざされている。

そう、外側からだ。

内側からかんぬきで閉ざすなら分かるが何故外側から張り付けられているのかが分からない。


外に出してはいけない者が居るのかと思ったが先程も言った様に中に人が居る気配は無い。


「板外して入ってみるか?」


「そうだね、周囲を警戒しつつ中に入ってみよう」


シャルルに確認した結果、俺とティガーで板を外し他が周囲の警戒をする。


板は釘で両端部を留めてある、壊しても良いが他人のお家なので1つずつ丁寧に外していく、留め金具は鉄釘。


「良し、これで入れるな」


「昇様は此方に」


玄関部の板の取り外しが終わりいざ入ろうとした所をフィアナに手首を掴まれ止められる。


「行くぞ」


俺の変わりにティガーが扉を開けるようだ。

ラニ達と一緒にシャルルに守られながら扉を開ける様子を見守る。


バン!


ティガーが勢い良く扉を開けて室内に侵入、それをフォローする様にフィアナ、ローナが入室した。


「入って来ても大丈夫ですぜ、旦那」


安全を確保した様だ。

ラニとラピスを連れて俺も家の中へ入る。


木造の平屋、その中にはテーブルに椅子、本棚等が置かれている。


「長い間使われてなさそうだね」


ローナが言った様にこの家は長らく使われていない様でどの家具も埃を被っていた。


念には念を入れてティガー達が隈なく調べるもやはりこれと言って特筆すべきものは何も無かった。


「他の家も調べてみよう」


「そうだな」


シャルルの提案に同意し板で封が成された他の家も調べて見ることにした。


板を剥がしては入る、剥がしては入るを繰り返す。


その結果。


「何も無いね」


シャルルの呟きの通り何も無かった。


家具の配置や種類と言う違いこそあれどその全てが長い間放置されていたのは明らかだった。


「放棄された里なのか?」


『いや、雪の里の民は昇の世界の遊牧民みたいに移動生活をするような者達では無いから』


アリシア様はそう仰るけどどう見ても使われてないよな……。

となるとやはり何か問題が起こった訳だが。


「昇、昇」


「どうしたラニ」


俺の服の裾を引っ張るラニ、どうしたのか聞いてみれば一言「あれ」と言って指を指した。

ラニの指を指した方を見れば一軒の平屋がある、あれはまだ見てない家だな。


「あれがどうかし━━━」


その家を凝視してラニが俺を呼んだ理由が分かった。


あの家は。

















空いている(・・・・・)のだ。



ラニの指を指した家は他の家と違い板による封が成されていない。

無論まだ俺達が行ってない家であり、一度入った家と間違えている訳でもない。


一軒だけ封印されていない家があるんだ。


「まさか……住んでいるのか?」


住まなくなった他の家は板で封をし、あの一軒だけが住んでいるのか?


仮に住んでいたとして何故他の家をわざわざ板で封じるんだ……?そのまま放置するか取り壊せば済む話だろう。


「……取り敢えず見てみよう」


考えていても始まらない、俺達は残った最後の一軒を調べる事にした。


外周を見て回って分かった事はやはりこの家だけ封がされていない。

他の家は玄関の他に窓も全て板で封じられていたがこの家は玄関にも窓にも板は取り付けられていない。

窓から中を覗いて見れば布で間仕切りされていたりと他の家との違いも見てとれた。


ティガーを先頭に慎重に家の中へと侵入していく。


「大丈夫ですよ」


セレスティナより安全の確保が出来たことが伝えられ俺とラニ達も家の中へと入る。


机に椅子、間仕切りの布、机の上や壁に付けられた燭台。


「埃も被ってないし、やっぱり住んでるよな……?」


「そうだと思うけど、今は人は居ないみたいだね……取り敢えずもう少し探ってみようか」


シャルルの言葉に頷き、俺達は数人に分かれて家の中を調べる事にした。


ラニ達子供組はセレスティナやフィアナに任せ、俺は単独で行動する。

単独とは言うがアリシア様やマリアが憑依してるから単独行動とは厳密には違うか?


間仕切りを抜けた先の部屋にベットと木箱が置いてある。

ベットには枕が2つ。やはり住んでいるようだ。


俺は木箱へと近付いた。

そして食料とかなら少し頂いていこうかなと思いながらその木箱を開ける。


「これは……」


開けた箱の中にあったのは、女性物の服だった。


「人様の家を勝手に物色してんじゃないわよっ!」


里の入り口で響いた声がまた聞こえた、と思ったら直ぐ後ろから女性の肉声が聞こえた。


「っ!?」


振り向いた先に、氷柱の先端が此方を向いて飛来して来ていた。


回避行動と共にマリアの火魔術が氷柱を溶かす。


アリシア『魔力の消費が無いっ、能力だよ!』


目の前には青黒く光る髪色、確か濡烏って言うんだったか……その長い髪を靡かせ周囲を氷柱を浮遊させている少女が此方を睨み付けていた。


「この侵入者!」


マリアの魔術で自身の能力では分が悪いと判断したのか少女は俺へ突撃を敢行、俺はそれを受け止めるも勢いを殺せず壁にぶち当たり。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ?!」


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」


「「昇っ!!!」」


背中の壁が壊れて雪の少女と共に落下した。

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