第51話 補給路の確保
アリシア様達との話し合いをした翌朝。
今日から補給路の確保の為に道の整備と周辺の索敵、補給部隊の安全確保を行う。
俺は少し速くに目が覚めて折角なので朝風呂を味わおうと思い寝床を抜け出す。
「風呂入ってくるわ」
「ええ、伝えておくわ」
マリアにそう伝えて着替えを持って露天風呂へと向かう。
マリアに伝えた理由はまだ眠っているラニとラピスへの伝言役をやってもらう為だ。
依然勝手に居なくなった時にかなりパニックになったと聞きそれ以降は心配させないように他の人にこうして伝言を頼んでいるんだ。
風呂に入る前に湯を温めなければいけないので炉に火を入れる準備をする。
そうしていざ火を入れようとした時。
「やぁ昇」
「アリシア様」
ボゥ
後ろから声を掛けてきたアリシア様が奇跡を用いて火を入れてくれた。
「今日は朝早いね」
「目が覚めましてね、折角朝早く起きたので久々に朝風呂入ろうかと思いまして」
昨日丁度入浴施設が完成したからな。
それにたまには朝風呂も良いしな。
十分に熱くなった湯を水と共に入れて温度を調整し湯船を満たす。
「これも昇の世界みたいに簡単に温度調整出来る様にしてる最中なんだよ」
「そうなんですか、俺はイマイチ仕組みを理解してませんからね、アレ」
温度調整の器具が付いててそこで合わせれば適温の湯が出るよって位しか知らず、詳しい仕組みは全く持って不明である。
っと、湯が張れたので風呂に入ろう。
「では、アリシア様」
「うん」
アリシア様に一礼して脱衣場へと向かう。
服を脱ぎタオルを巻いて風呂へ。
タオルを巻く理由は単純にルナ様も一緒に入られるからだ。
つい先程まで憑依されていたのに脱衣場に着くや否や憑依を解かれ服を脱ぎ出したのだ。
スタイルの良い美女だから目のやり場に困るし何時まで経っても慣れない。
ルナ様からしたら俺と一緒に入るのが当たり前みたいになってるっぽいんだよな。
せめてもの抵抗でそのお身体にタオルを掛けさせてもらう。
流石に全裸は俺が持たん。
ルナ様と2人、湯船へと向かい、ルナ様のお身体にゆっくりとお湯を掛け、自分にも掛けたら湯船へと浸かる。
「やぁ昇、さっきぶり」
「…………………」
アリシア様が居た。
笑顔で手招きしているアリシア様が、其処に居る。
どうしよう……今からでも間に合うか……。
仕切り直す為に風呂を出ようと思ったらルナ様に手を掴まれそのまま連行されてしまった。
ルナ様とアリシア様に挟まれ入浴する事となってしまった。
何回か混浴してるとは言えこんな美女神と一緒に入浴など慣れはしない。
「儀式魔術の方はどうだい?」
そんな時アリシア様が話を振ってきた。
話をすれば多少は気も紛れるか……。
「順調ですよ、と言っても発動者であるマリアとセレスティナの同調がだいぶ上手くなったってだけで肝心の魔術の方は手つかずですが」
チュウ〜
儀式魔術で大事なのは行使する者同士の魔力の同調だ。
マリアとセレスティナにはその同調を訓練してもらっていて魔術の方はまだやっていない。
とはいえ、魔力の同調さえ出来れば魔術の内容の方は簡単じゃないかなと思う。
俺は魔術を扱えないから分からんし、儀式魔術も実際にやってみないと分からんからなんとも言えんが。
チュルッチュルッレロ
「ルナ様はさっきから何をしてるんですか?!」
「何って昇吸いしてるのよ、ほらあれよ、猫吸いみたいなものよ」
チュウ
そう言ってルナ様は俺の指を再び吸い出す。
抵抗無く指を口に加えて吸ってますけど大丈夫……舐めるのやめてもろて。
そういう事すると息子が反応するでしょうがぁ!
『息子です、なんなりとお申し付け下さい。腐☆腐』
棒オヤジィを思い出してしまった。
お陰で冷静さを取り戻せたよ。
双女神様との混浴をなんとか終え、朝食を取った後補給路の確保に動き出す。
「昇!」
ドンッ
後ろから誰かに勢い良くぶつかられた、と言うか手が前に回されて抱きしめられてるからぶつかったと言うより抱き着いてきたと言うべきか?
「何してんですか、フォティア様」
まぁ誰かは声で分かった。
「あはは!ごめんごめん!」
回されていた手が解かれたので後ろを振り向く。
燃えるように赤い髪をポニテにしている女神フォティア様。
見ての通り元気一杯で天真爛漫な女神だ。
「今日は宜しく!」
「宜しくお願いしますねフォティア様」
「ティアで良いよ!」
「ではティア様で」
「よろしい!じゃあ早速行こっ!」
本日俺達と共に行動するのはティア様だ。
ちなみにヴィシー様はアリシア様とシャルル達の方に付いて行ってる。
「元気な女神じゃなぁ」
「お前は何俺の頭の上に乗ってんだよ」
「良いではないか、良い眺めなんじゃぞ」
元気なティア様を見て呟いたリーゼロッテは何故か竜の姿で俺の頭の上に乗ってる。
「あはは!」
んでティア様は少し目を離した隙に泥だらけになってんだけど何がどうしたらああなるの?
「取り敢えず道の確保の為に木々の伐採と整地をしていくか」
「伐採や整地は俺らでやっとくんで昇様はフォティア様のお相手をお願いしやす」
「おう……」
俺にあの活発な元気っ娘女神様の相手をしろと……。
「リーゼロッテ、降りんと泥だらけになるかも知れんぞ」
「何、構わぬさ。泥だらけになったら主に洗ってもらおうかの」
それから俺はティア様に付き添って周囲を駆け回っていたのだが……。
「……」
「ごめん、はしゃぎすぎちゃったね」
体力切れで地面に大の字で寝そべってます。
そんな俺をティア様は申し訳無さそうな顔で覗き込んできていた。
俺とティア様、どちらも泥だらけだ。
無論頭の上に居たリーゼロッテもな。
「はぁ……はぁ……いえ、大丈夫ですよ、こういう風にはしゃぐのも楽しいですから」
「へ?」
俺の言葉にティア様はきょとんとした顔を見せた。
実際今の状況ではこんなふうにはしゃぐのは厳しいものがあるからな。
「ティア様さえ良ければまた付き合わせて下さい」
「っ……!勿論っ!」
ティア様は嬉しそうに眩しい笑顔を浮かべて頷いた。
「あはは!冷た〜い!」
「……」
その後俺はリーゼロッテとティアの身体を洗う事になった。
ティア様は仕方ないにしろ、リーゼロッテ……お前何で人の姿になったんだよ……。




