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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第2章 攻勢作戦

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第46話 イニッツィオ会戦7

イェーガーを退けた俺達は魔族軍の簡易拠点に置かれた台車を拝借し物資を幾つか頂いて帰還。


指揮所にてノルン様とエイア様に帰還報告をするとお二方から抱き着かれ、ルナ様が引き剥がしていた。


イェーガーとの戦闘もありそのまま眠りに就き翌朝。


シャルルと第1軍の何名かを連れて昨夜の魔族軍簡易拠点より物資を全て回収し陣地に火を放つ。


火を放った理由はイニッツィオ要塞に籠城中の魔族への知らせの為。

援軍に来た魔族軍が敗北したと知れれば籠城中の奴等も降伏するだろうと思っての事だ。


物資も来ないとなれば食糧が減る一方で精神的にも追い詰められる。


だからこうして火を放って教えたんだが降伏はしなかった。


状況的に不利なのは相手、だが無理に攻めると此方の被害が大きく出て形勢逆転する可能性がある。


「シャルル、確か要塞内部は木造の建物が多かったよな?」


「そうだけどどうかした?」


「ちょっと考えててな」


俺と一緒に指揮所のある高台から要塞を眺めているシャルルに確認し情報に間違い無い事を確認する。


「考え事って?」


「どうやって早く降伏させようかってな……あむ」


「あー!昇が握り飯食べてる!」


ルナ様助けた時もそうだけどこの世界普通に米がある。

ただ此方の主流はやはりパンとからしい。

ちなみに今食ってる握り飯を作った米は俺がアリシア様に言って貰ったものだ。


シャルルが「私も私も!」と言うので仕方なくもう一つの握り飯を渡す。


「シャルル、それ食ったら丘で待機中のセレスティナに連絡してくれ」


「ひひよ〜ひゃんてひふの?」


「食ってから喋れ」


「……んっ、良いよ〜、何て言うの?」


「放つ魔術は火属性のみにしてくれ」


「分かった〜」


相手が降伏するまでは此方も丘の上から攻撃魔術を放っている。

と言ってもその殆どを相手が展開した魔術防壁によって防がれてしまうんだがな。

だがそれでも少しずつと防壁を越えて要塞内に被害を与えているのは確認している。


攻撃魔術を放つタイミングを一定間隔では無くバラバラにして相手に攻撃されるタイミングを読ませないことでいつ攻撃されるか分からない緊張感を与え続ける。

また包囲された事で補給路を断たれたと言うこともあり相手が疲弊してミスが出始めたのだろう。


徐々に追い詰めているのは間違い無い、そこに更に火属性魔術のみという追い打ちを掛ける。


要塞内は木造建築のみ、つまり燃える。


そんな所に火属性魔術による攻撃が降り注げば相手からしたら恐怖そのものだろう。


「昇、始まったぞ」


シャルル同様俺と一緒に居たラニが指を指す、その先は丘から放たれる魔術の光が要塞へと降り注いでいた。


ここから見える魔術の色は赤一色、つまり火属性魔術のみだ。


放たれた魔術の殆どを展開された防壁で防がれたが何発かは防壁を抜けたのを確認した。

きっと今頃内部は大慌てじゃなかろうか。


それから繰り返し火魔術を放ち続ける。

何度も繰り返される砲火に魔族は疲弊していったのだろう、魔術の着弾数が増えていきやがて要塞内から煙が上がった。

しかしそれでも降伏する事は無かった。


一瞬魔族は降伏しない種族なのかと思ったけど丘で捕虜になったりしてるからそれは無い。


魔術攻撃は夜になっても変わらず放つ。

真っ暗闇を大量の真っ赤な魔術の火が一点に振り注ぎ、その日が要塞内部へと引火し火の手を上げた。


要塞内に立て籠もった魔族軍は翌朝には降伏する形となった。

これでイニッツィオ要塞の戦闘は終わりを告げた。





「一先ずはこれで安心かな」


イニッツィオ要塞攻略の為に作られた高台の指揮所内にてアリシア様が一息付いた。

イニッツィオ要塞が此方の手に渡った事で魔族はこの周辺での影響を弱めるだろうとの事。


「これからどうするんです?」


「引き続き進軍だね、後は損傷したイニッツィオ要塞の補強とか」


そうだよな……イニッツィオ要塞における戦闘は終わったが悪魔と神々の戦争そのものが終わった訳では無い。

だからイニッツィオを手中に収めたら次へと進むよね。


「進軍しながら各地に散った仲間達との合流や魔族側に与してる他種族との交渉とかもありますね」


「他種族との交渉?」


アリシア様の横に座るクロエが呟いた事が気になった。

各地に散った仲間はまだわかる、神々側は魔族、悪魔達に追い詰められて敗走を繰り返したと聞く。敗走した際に仲間が散り散りになったのだろう。

だが魔族側に付く他種族との交渉とはなんだ?


「魔族も一枚岩じゃないんだ、中には仕方なく従っている者達も居る。そういった者達は魔族の支配から脱せれば此方側に付かないにしても中立にはなってくれる筈だよ。現にイニッツィオにて捕虜なった子達の中には此方に協力的な子も居たでしょ?」


「言われてみれば確かに居ましたね」


魔族なのに喜んでイニッツィオの補強をやってくれる者も確かに居た。

そうか、魔族も全員が全員戦争をしたい訳では無いよな。


「ちなみに他の種族ってどんなのが居るの?」


「昇は知らないんだ、珍しいね」


シャルルが珍しげに呟いた。

そりゃ俺この世界の住民じゃないもん、知ってる種族なんてフィアナ達獣人とリーゼロッテの竜種、ミミティの悪魔しか知らんよ。


「う〜んそうだねぇ雪山とかに住む女だけの種族、吸血鬼、ドワーフなどなど」


「へぇ」


俺の事情を知るアリシア様が苦笑いしながら答えてくれた。

それはそれとして女だけの雪山の種族って雪女じゃね?

吸血鬼とかも居るのか、流石異世界。


「昇は今後どう動きたいとかあるかい?」


「そうですねぇ……安寧の地とかは探したいですかね」


「安寧の地ですか……?」


安寧の地と言うのに疑問を持ったクロエが首を傾げたので分かりやすく説明しとこうか。


「おん、第1軍は良いけど他からは歓迎されてないからな、俺とルナ様が追い出されない、落ち着いて居る事の出来る所とか探しときたい」


行く先々で追い出されては休まるものも休まらんからなぁ。

この戦争が終わっても追い出されずにのんびり出来る何処かは欲しいよな。


「当分はシャルル達について行きながら見て回る感じかな」


「付いて来てくれるの!?」


「行く当てが無いからな、シャルル達に付いていって見て回った方が良さそうじゃん」


イニッツィオを奪取したとは言えまだまだ魔族の支配地域は多く安全では無いからね。

なんだったら魔族との戦いを終わらせてからでも良いよな。

平和になった世の中を見て回って永住地を探す。

そういった旅も面白そうだよな。


「取り敢えずはこのまま橋渡って北上するつもりだよ〜!昇も行きたい所あったら遠慮なく言ってね〜!!」


「ふふっよろしくね昇」


「よろしくお願いします、昇!」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


アリシア様達との旅もまだまだ続くかな。

読んでいただき、ありがとうございます!


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次回より第三章となります。

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