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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第2章 攻勢作戦

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第40話 イニッツィオ会戦2

シャルルSide


昇の提案により本陣をイニッツィオ要塞手前の合流地点から後方に見える高台に移すこととなった。


確かに敵との距離が近い前線よりも後方の方が安全だ、それに高台に来て分かったけど此処なら昇の言う様に相手の動きが見やすいから直ぐに対処出来そうだ。


イニッツィオ要塞攻略の最優先目標を隣接する丘の制圧と言った時は驚いたけど理由を聞けば確かに理に適っていた。


敵の攻撃の届かない上から一方的に魔術攻撃を行う。

聞いた所、私達の力が回復するまでの時間稼ぎをしたあの丘の防衛戦でも使った手だとフィアナ達も言っていた。


それともう一つ、私は昇に感謝してる。


イニッツィオ要塞前に到着した時、布陣する魔族の大軍を見て私の奥底から最悪の記憶が呼び起こされた。

それは捕まったクロエやアリシア様達の奪還作戦にて魔族の大軍と衝突し強行突破した時の事。


強行突破したは良いけど無理をし続けた結果疲労の溜まった仲間達が次々と脱落していく。

それは仲間達だけで無く私にも言えた事で知らぬ間に溜まった疲労に私の身体は言う事を聞かなくなってた。

だから普段なら負ける事のない魔族達に私は負けてしまった。


駄目だと気付いた時には既に遅かった、これを好機と攻めてくる魔族を背に私達は撤退。


アリシア様達を助ける事も出来ずに敗走。

逃げてる時に思い返されるのは信者に騙された事で悪魔に捕まり、穢されて亡くなったリューヌ様。

私を狙って追い掛けてくる魔族、捕まったら最後、私も穢される。

そして飽きるまで弄ばれたら命を取られる、死が直ぐ傍まで来ている恐怖。


そんな恐怖に身体が震えた。

どうしても止められなかった。


そんな時だった。


「取り敢えず穴掘るぞ」


柏手を打ち意識を集めた昇が何時もの様にそんな事を言った。

けど私には直ぐに分かった、それが私の気を紛らわせる為だと。


「……はぁ……昇は全く……もぉ」


「モーモーモーモーって牛かお前は」


「この馬鹿っ!」


「痛い!?」


つい脛を蹴ってしまった、けれど昇は怒ること無く苦笑いを浮かべた。


「……ありがとう、昇」


「何のお礼だよ、さっさと穴掘るぞ」


彼はそう言って穴を掘り始めた。


「はいはい」


私はその姿にホッとしたんだ。

先程まで押し潰そうとしていた恐怖は既に無かった。


彼は何時もそうだ。

私達が困った時、絶対に助けてくれる。

敵の前線を突破する時も、消耗した私達が回復するまでの時間稼ぎをしてくれた時も、クロエやアリシア様達を救出した時も……そして敗走して包囲されて捕まる寸前だった時も。

昇は助けてくれた。


昇が傍に居てくれるだけで私は心から安心出来るんだ。

きっとこれはクロエも、アリシア様達も同じ。


「ほんっと……怯えてたのが馬鹿みたい」


「なんか言ったか?」


「べ〜つにぃ!」


高台にて陣地構築の為に隣で穴を掘る昇に答える。

昇が居れば大丈夫、この戦いもきっと勝てる。


依然として私達が数的にも不利だけれど昇が居るだけでそう思えるんだ。


陣地構築の作業も何度も繰り返した事から手慣れた作業だ。

身を隠す為の空堀を掘りその土壁に補強する為の丸太を組む。

侵入を防ぐ為の柵も作っては設置していく。


雨が降った際に地面が泥濘んで足が取られない様に板を敷き詰めて排水用の溝も掘る。


此方の作業が終わり高台の平場に戻る。

人数も居て同時に作業を進めていた事もあり本陣の指揮所も食糧庫も既に出来上がっていた。


「アリシア様〜作業終わりましたよ〜。……ありゃ?」


指揮所に居るであろうアリシア様達に作業終了の報告をしようと思い中に入ってみるも誰も居なかった。


「何処行ったのかな〜。あ、居た」


指揮所を出て周囲を見渡すと平場の隅の柵付近に

立つ昇の姿を見つけた。

その隣にはマリアやアリシア様達も居た。


「ショ〜ウ〜!!!」


その姿を見て後ろから抱き着こうと思い名前を呼びながら駆ける。


「駄目だよ、邪魔したら」


「わぷっ!?」


アリシア様が昇と私の間に割り込んだ事で私はアリシア様に抱き留められた。

豊満な胸に顔が埋まる。


「ア、アリシア様?!」


「ふふっ昇は今作業中でね、もう少しだけ集中させてあげてね」


「は、はい……」


微笑みながら頭を撫でてくれるアリシア様に身体を委ねつつ後ろの昇が気になっているとそれに気付いたアリシア様が身体の位置を調整して昇の姿を見れるようにしてくれた。


「ありがとうございます」


お礼を言えば小さく頷いて下さった。

こうしてまたアリシア様と触れ合えるのも其処に居る昇のお陰なんだよね。


「昇は今何をしてるんですか?」


ふと目に入った昇の目の前に浮かぶ透明な物質。

見た感じガラスの様に見えるけど何なのか分からず昇が何をしているのかアリシア様に尋ねた。


「偵察だよ、昇が魔術を受け付けないのは知ってるから魔術を用いて遠見の魔術の効果のある物を製造してそれで遠くを見てるんだよ」


「遠くを見れる物があるんですか?!」 


「うん、昇のお陰で最近分かってね。この中で一番魔術に精通してるマリアに協力してもらって簡易的に作ったのが今昇の目の前で浮いてるやつさ」


「……昇って本当に何者なんですか……?」


「それに付いては近々親しい者だけに話す……つもりだよ」


私達の知らない、話し方からして恐らくアリシア様達すら知らない昇の知識に彼が何者なのか疑問に思うのは普通の事でその事を尋ねるとアリシア様は苦笑いしてそう答えた。

やっぱり中々話づらい様だ。


「やっぱり陣取ってるわな……」


暫くして昇が呟いた。


「予想通り魔族が丘を陣取ってる為制圧に苦戦するかも知れません」


「分かった、指揮所に戻って作戦を練ろう」


アリシア様の言葉に私達は頷き、指揮所へと戻って作戦会議を行う事になった。


「こうして見ると此方側がだいぶ少ないな」


指揮所に戻る際、昇がそんな事を呟いた。

確かに下の平地で見るよりも全体を見渡せるこの高台から見れば私達の方が少ないのは目に見えてわかるよね。


「部隊を統合したい」


指揮所に戻って直ぐ、昇が意見を出した。

理由は個々の部隊でバラバラに戦うよりも軍勢として戦う方がより効果的だからだとの事。

アリシア様達もそれに納得した様で、アリシア様達が納得したのなら私達は何も言わない。

私達よりも詳しいアリシア様や昇が言ったことなのでそうする事に間違い無い。


そうと決まれば話は早く、直ぐに部隊の統合が行われた。

部隊は全てで1軍から4軍までに分けられた。

また第1軍を私、第2軍をクロエが担当する事となった。

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