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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第2章 攻勢作戦

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第37話 大規模作戦準備

援軍に駆け付けたシャルル達のお陰で魔族は撤退、俺達は誰一人欠けることなく陣地を防衛する事に成功した。


〔昇!無事ですか!?〕


魔族の声とは違う少女の声が陣地内に響いた。

シャルルと共に他方面に援軍に向かっていたクロエだ。

マリアと同じ様に魔術を用いて此方に連絡を寄越したようだ。


「呼んでるわよ、昇」


「いや何で俺だけなんだよ、普通皆に呼び掛けるだろ」


「ハハッ、そりゃぁ旦那がまた抜け出したと思われてんでしょ」


他獣人「そいつぁちげぇねぇ!」


ティガーの言葉に周囲から笑い声が漏れる。


クロエ〔昇ーーーー!!!〕


「ほら、早く返事してあげなさい」


「全く……お陰様で無事だよ!」


クロエとマリアに催促され、俺は生存を報告した。

マリアの風魔術で運ばれる俺の声にはきっと周囲の仲間の笑い声も運ばれている事だろう。


雨が降る中何時までも外で待たせる訳にもいかないので俺達は直ぐに迎えを送る。

迎えを送った理由は単純に魔族に対する見張りも兼ねてである。

折角出入り口がバレる事なく撤退させたのにシャルル達を迎えいれる所を見られたら意味が無いからな。

周囲を見回り魔族の姿がない事を確認出来たのでシャルル達を陣地内へと迎え入れた。


「ただいま〜!」


「ただいま戻りました」


「ああ、おかえ━━」


陣地内にてシャルルとクロエを迎えた俺は2人と会い挨拶をしようとして、固まった。


━━━衣服が張り付いて、透けているのだ。


戦闘を終えたからか白銀の鎧も外しぴっちりとした黒いインナー姿のシャルルと法衣を脱いで薄着となったクロエ。

2人の服は雨に濡れて肌に張り付いている訳で、そんな中で下着を付けてない2人の胸は、確かにくっきりとその形を露わにして━━━━


『閉ざせ』


『照らせ』


そして突如閉ざされた視界、その真っ暗な闇の中で突如強烈な光に襲われた。


「うおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」


「昇!?」


俺は目を押さえて蹲った。

誰かの名前を呼ぶ声が聞こえたが誰だか分からん。

もしかしたらその場の皆かも知れない。


《あ、ごめんなさい、つい……》


《あ、ごめん、つい……》


そしてルナ様とアリシア様から謝罪の言葉を掛けられる。

何時ぞやの二の舞であった。


「昇、大丈夫?」


未だに視力が戻らんが、今の声は誰か分かったぞ、シャルルだ。


「俺は良いから早く着替えて来い、身体を冷やすと体調を崩すぞ」


「体調崩したら昇に面倒を見てもらおっと」


「嫌です」


「なんでぇ!?」


「良いから早く行きますよシャルル」


戻りつつある視力はシャルルを引き摺るクロエと引き摺られながらもジタバタと暴れているシャルルの姿をぼんやりと映した。





味方の援軍に向かっていたシャルル達は見事に味方の前線を押し上げる事に成功した。

再び進軍を開始して魔族から周辺地域の奪還をする前に俺達は少しだけ休息を取る事にした。


他方面に援軍に向かい急いで戻って来たシャルル達と数日間陣地に立て籠もり防衛戦を行っていた俺達双方は少なからず疲労していると思ったからだ。


「全然っ!まだまだ余裕だよ!」


両腕でこぶしに力を入れてひじを曲げて力瘤を作ってそう言うのはシャルル。

やっぱ可愛いな。


シャルルの他にクロエやティガー達も似たような事を言っていたが全員却下してやった。


自分が気付いていないだけで確実に疲労は蓄積されている、その目に見えず気付かない疲労はいつか己の首を絞める事になる。

故に焦らず、少しだけでも疲労の回復に努めようと言うのが俺の意見である。


女神側の最高戦力であるシャルル達が疲労に気付かずそのまま戦い続けて倒れでもしたら此処までの努力が泡となって消えてしまうからな。


だからそんなに頬を膨らませて抗議してもこの決定は覆らんぞ、シャルル。


無理してでも動かなきゃいけない時があるのも分かる、だがそれは今では無い。


「それよりも今は休息だ、つまり風呂だ」


「昇って本当にお風呂好きだよね〜」


休息を取ることに納得しきれていないシャルルだがそれでも言う事はちゃんと聞いてくれる。

可愛い奴だな。


幸い近くに川があるのでそこから水を引き、風呂を作る。

作り方はいつもと同じく穴掘って石を敷き詰めるだけ。


なお撤退した魔族は未だに近くに駐在しているので見張りや防衛部隊などに別れて休息を取っている。

先日までと違い今は勇者と聖女も居るから迂闊に攻めてはこれまい。


さて、風呂も出来た事なので早速湯に浸る。

長い事引き篭もっていたからか中々に気持ちがよい。

現在は夜、空を見上げれば地球では見れない星々が輝いていて非常に良い感じだ。


「気持ちぃねぇ〜」


隣に平然と居るシャルルを除けばな。

お前何で居るんだよ……。





「このまま順調に行けばこの周辺の要所であるイニッツィオ要塞の攻略かな」


そして風呂にて始まる今後の話。

こういうのって普通もっとちゃんとした所で話さない?


ちゃっかりクロエも居るし、2人……いやルナ様達も居るから複数人居るけどそれにしたって此処で作戦会議はしないでしょ……しないよね?


「昇、何か案は無いかな……?」


そんな縋るような目で俺を見るんじゃない。


「……その要塞の特徴は?」


「川近くの丘の横の平原に円形の形で作られた要塞で侵入を防ぐ為に周囲を木柵で囲まれています」


「要塞内部に常に数百から千人の戦士が生活してるよ」


「それに合わせ撤退した魔族の戦士達も合流するでしょうから数千もの軍勢になると思います」


「……」


数千、数千と来たか。

いやまぁ手が無い訳では無いし、此方も他方面の部隊が合流するだろう。

それにしても厳しい戦いとなるだろう。

聞いた話では要塞を攻めるには,最低でも相手の3倍の兵力が必要らしいからな。


要塞に籠った相手を無視する、というのも一瞬考えたがこれは却下。

これを無視して進んだ場合、こちらの補給路が断たれてしまう可能性が高くなる。

その他にも包囲や挟撃の危険性が高くなる、脅威を取り除く為にはやはり攻略するしかないか。


「今はただその要塞に向けて進軍するしかないな」


「うん、そうだね」


それ以降シャルル達は口を閉ざした。


俺達はその後のぼせない内に湯から上がり眠りに就いた。

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