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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第2章 攻勢作戦

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第31話 迎撃準備

シャルル達が他の援軍に向かって数日。

俺達はようやく陣地を完成させた。

セレスティナやマリア達によって耐性魔術を掛けた事で耐久性も抜群、また伐採した木々から回収した葉っぱで隠したから侵入するまで時間も稼げる筈だ。


ちなみにシャルル達はノルン様曰く上手いこと魔族軍陣地を制圧出来ていると聞いた。

ノルン様が言う事に間違いは無いだろうがそれでも心配が消えて無くなる訳では無いけど。


「暖かいな」


日に日に厳しい寒さが増す中、俺達は陣地構築の際に使い、余った木材で焚き火をして暖を取っていた。

今呟いたのはラピスと俺と同じ毛布で一緒に包まり温まっているラニだ。


「昇様」


「ん?どうしたフィアナ」


そんな時、見張りをしていたフィアナが戻ってきて俺に声を掛けてきた。

世間話という様な雰囲気では無いので何か問題が発生したのだろう。


「周辺を巡回していたエルフ達が魔族の戦士を目撃したとのことです」


「遂に来たか」


魔族の襲来。

想定していた事ではあるが到着は予想より早かった。

やはりアリシア様達の気配が時折微かに漂う事で急いで追い掛けて来たか?


「セレスティナかマリアは居るか?」


「直ぐに呼んできます」


そう言って踵を返したフィアナを見送りつつラニ達と暖を取る事少し。


「どうかしたの?」


フィアナに呼ばれてやって来たのは精霊のマリアだった。


「魔術で相手の話とか盗み聞けるか?」


俺がマリア達を呼んだ理由はこれだ。

相手の目的や考えが分かればそれに対して対応しやすくなるからな。


「盗み聞く……試したこと無いけれど多分出来るわよ、風魔術で話し声を此方まで運んで来れば……」


「なら早速使って━━━」


「待ちなさい、此処で使うのは得策では無いわ」


物は試しと、早速風魔術を使ってもらおうとした所で止められた。


「理由は?」


「簡単だ、今此処で使っても相手の位置が分からず広域になるからだ。ある程度相手の居る位置を特定し範囲を絞った方がより効率的なだけだ、その分消費する魔力量も減るし消費魔力が減れば此方の正確な位置を特定されにくいからな」


答えは俺の懐から帰ってきた。

一緒の毛布で包まって暖を取って居たラニが答えたんだ。

流石ラニ、マリア達に魔術を教えてもらっているだけの事はあるな。


「流石ラニね」


笑顔でラニの頭を優しく撫でるマリア、可愛い弟子に甘々だな。


「触るな、髪が乱れる」


「ご、こめんなさい」


師匠より弟子のが立場が強いってなんなん?


「昇、無でろ」


「はいな」


とか思ったら指名されたので優しくラニの頭を撫でる。

ちなみに拒否られたマリアはラニの変わりにラピスを撫で始めていた。


ラニのさらさらな白髪を堪能して少し、俺はマリアと2人で陣地の外へ出て森の中を進む。

ラニ達は危ないのでフィアナとミミティに任せて陣地に置いてきた。

外に出た目的は魔族の戦士。

遠目でも良いから取り敢えず見つけたい、見つけさえすれば風魔術で会話を盗み聞けるから。

2人で移動するのも大勢で行くよりも少数の方が見つかりにくい筈だからだ。

マリアと一緒に姿勢を低く草木に身を隠しながら進む。


「!……しっ、居たわ」


「!」


マリアが魔族の戦士を見つけた。

俺はその場で伏せて息を潜め、同じく伏せたマリアに小声で話し掛ける。


「何処だ?」


「ほら、あそこよ……結構離れてはいるけれど」


「……あぁ、確認した」


草木の中でマリアが指差した方を見れば確かに遠くに魔族の戦士と思わしき者を発見、人数は2人だ。


「始めるわよ」


「頼む」


相手を発見したので本来の目的である盗み聞きに移行する。

マリアが風魔術を発動した。


〔━━━この辺に居るはずなんだよな〕


〔この付近から女神達の気配を察知したから間違い無い筈だが……どういう訳か気配を察知するのも時折で察知出来ない事のが多いが……〕


そして聞こえてくる男の声が2つ。

風魔術による盗み聞きは成功したようだ。


「やっぱり完全には此方の位置を把握出来ていないようね」


「そうみたいだな」


聞こえてきた声から相手は此方の大体の位置しか分かっていない事が判明。

アリシア様達の気配も時折察知されるだけで察知出来て無い時間の方が多い様だ。


〔落ちてる物は拾うなよ、こっち方面の敵は落ちているものを何らかの方法で爆発させるからな〕


「流石に分かるよな」


「丘での出来事がよっぽど堪えたようね」


そう思って今回の罠に落ちている物を利用した物は無い。

罠が作動した結果爆発する事に変わりはないがね。


「戻るぞ」


「もう良いの?」


「あぁ、これ以上の情報は出てこないだろうからな」


風魔術による盗み聞きを止め、俺とマリアは見つからない様にその場から離れて陣地へと戻った。


「おかえりなさいませ、昇様」


「ただいまフィアナ」


陣地に戻り出迎えてくれたフィアナ。

そのままフィアナとマリアを連れて皆の下へ向かう。


「どうでした?」


「盗み聞きは成功、やっぱり此方の大まかな位置はバレてるけど正確な位置までは把握されてないな」


尋ねてきたセレスティナにそう答えつつフィアナが持ってきてくれた水を一杯飲む。


「ではこのまま隠れて迎え撃つ感じですか?」


「いいや、不意打ちを仕掛けてそのまま罠のある場所まで奴らを誘い込む」


シャルル達が他方面の援軍に向かった事で此方が数的に不利だ。

陣地での防衛戦になる前に出来る限り相手の数を減らしておきたい。

それに俺達だけで無く全体を見た際、シャルル達が勝っているとは言っても未だに此方側が不利である。

ならば出来る限り最小限の被害で敵に大きな損害を与えておきたい所だ、それが後々此方の勝利に繋がる筈だ。


「相手の陣地または部隊は確認出来てるか?」


「見回りに出ていた者が移動中の敵部隊を確認しています」


「よし、セレスティナ達エルフを中心とした少数部隊を編成してくれ。準備出来次第出発して相手の部隊を強襲、そのまま誘い込む。待機組は何時でも撤退出来るよう船の準備を怠るなよ」


既に脱出用の船も製作済みだ、ティガー達にその船をいつでも動かせるよう準備させつつセレスティナ達の編成に混じる。


「昇は待機組よ、こっち来なさい」


「昇様は大人しく待ってて下さい」


そうしたらミミティとセレスティナに手を引っ張られてフィアナ達待機組の方に連れてかれた。


強襲を掛けて誘い込む部隊はセレスティナを中心としたエルフとローナ含む足が俊敏な獣人が編成された。

マリアとより魔術に長けたエルフは待機組になった。陣地を用いた防衛戦で重宝するだろうから魔力を温存させとく様だ。

実際一番激しい戦いは陣地防衛戦だろうからその判断は間違いでは無いだろう。

陣地の防衛戦も魔術による迎撃を主に考えているし。


「行ってきます」


「行ってらっしゃい」


セレスティナ達が出発したのを見届け、俺達はそれぞれ見張りと船の準備に別れた。

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