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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第2章 攻勢作戦

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第28話 次の目的

荷物を載せ終えた荷馬車に俺達も乗り込み陣地を出発、まずは撤退し抜け殻となった魔族軍の陣地へと向かった。

俺の記憶が正しければ奴等は荷物等を残したまま逃げ出した、だから食糧とかがある程度残っていると思うんだ。


「それじゃ手分けして探そう〜」


荷馬車を降りたシャルルの指示に従いそれぞれが手分けして天幕等の捜索を始めた。

皆気にせずに血に染まった大地を歩いているけどやっぱり戦争中という事で当たり前になってんのかな。


「食糧見つけたよ〜」


「こっちも傷薬があった!」


あちらこちらから物資があったと報告が上がる。

思った通り奴等は物資の殆どを置いて逃げって行った様だ。

置いてかれた物資は有難く頂戴し、荷馬車に詰め込んでいく。

荷物運びはティガー達の他に竜種のリーゼロッテも手伝ってくれるから有難い。

竜種と言う事もありパワーがあるからな。


魔術の恩恵を得られない俺は皆と違い重たい物を運べず、皆の邪魔になってしまうのでラニとラピスの2人と共に荷馬車の縁に腰掛けて作業が終わるのを待つ。


「終わったぞ」


「あいよ、お疲れさん」


最後の荷物を運び終えたリーゼロッテが俺の居る荷馬車へと合流した。

労いの言葉を掛けるとずいっとリーゼロッテの頭が差し出された。


「褒美に撫でてくれぬかの」


「はいはい」


褒美を要求されたので言われた通り頭を優しく撫でる。

柔らかな銀髪が実に心地いい。

ラニやラピスもそうだけど皆肌触りいいよな。


「〜♪」


頭を撫でられているリーゼロッテは瞳を閉じて撫でられるのを満喫している、尻尾が左右に揺れている事からご満悦の様だ。


「昇様〜出発しますよ〜」


「分かった」


御者のフィアナから声を掛けられたのでリーゼロッテの頭を撫でるのを止めて返事をしつつ荷馬車に入って座る。

当たり前の様に俺の膝上にラニが座り、隣にラピスとリーゼロッテが座った。

ルナ様とミミティは当たり前の様に憑依している。

程なくして荷馬車が動き出した。


「今後の動きなんだけどさ、他の戦線の援軍に向かいたいんだよね」


俺の乗る荷馬車に何故か乗り込んでいたシャルルがそんな事を呟いた。

他の援軍に向かいたいのも分からんでも無い。

同士討ちをさせて魔族軍が撤退してくれたお陰で俺達はこうして前に進めるが俺達だけが突出しただけでは逆に包囲されて却って危険だからだ。

その事を言ってみればシャルルは満足気に頷いた。


「流石昇、やっぱり私と昇は心で通じ━━」


「ないない」


シャルルの心が読める訳では無い。

状況からして察しただけである。


「うっそだぁ〜心で通じ合ってなきゃそんな細部まで分かんないよ〜。だから私と昇は心の奥から通じ━━」


「おい」


シャルルとの話に膝上に座っているラニが割り込んできた。

機嫌が悪いのか、その声音は普段より幾らか低い。


「良い加減話を戻せ年増」


「年増?!」


かと思ったらそんな事をシャルルに言い放った。

どうやら脱線した話を戻そうとしてくれたようだ。偉いな、撫でてあげよう。


「誰が年増さ!?私はまだ1━━ってなに頭撫でてんのさ昇!?」


「え?駄目?」


「やめるな、続けろ」


そんな俺とシャルルとラニのやり取りにローナやラピス、御者のフィアナまで笑っていた。


「まったくもう……それで……何の話だったけ?」


「今後の話だ、やはり年━━」


「他の戦線に向かうのは構わんよ」


「ふごふご」


再び年増と言って口論が勃発しては話が進まないのでラニの口を手で塞がせてもらった。

とは言ってもシャルルはジト目で見つめてる事からなんて言おうとしたかは分かってそうだが。

それとラニ、頼むからこの状態で喋らないで。

息が掛って少しくすぐったい。


「他の戦線に向かうのは決定としてどうやって行こうかな」


「俺個人としては一度川の方へと向かって防御陣地を形成。その後陣地の防御隊と援軍の二手に別れれば良いと思ってる」


「?このまま進んだ所じゃなくてわざわざ川の流れる方へと行くの?」


首を傾げて聞いてくるシャルル、この娘仕草が一々可愛いんだが。

魔族軍を突破して前に進んだのにそれを無駄にするように川辺へ向かう事に抵抗があるようなので皆にも理由を説明する。


「あぁ、このまま進んだ所よりも川の方へと向かって川辺付近で陣を構えれば水の確保が出来るし最悪の場合魚とかを取れば食料も多少は確保出来るからな」


「なるほど」


無いと思いたいが川の上流から毒を流されたら水の確保が出来なくなるから全部を頼りにしてはいけないけどな。

幸い魔族軍が残した食料等があるから当分は持ち堪えられる。

シャルル達が思うように川辺へ向かう事でぽっかりと空いた前線の穴を魔族が詰めればその分無駄になってしまうが囲まれて退路を断たれてしまうよりは水や食料を確保出来、最悪の場合急造品のイカダ等で脱出出来る川辺の方が良いだろう。


「魔族に前線を戻されるのは癪だけど囲まれて全滅するよりは良いか……」


獣人のローナが渋々納得してくれたようだ。

今回、魔族の陣地を越える際に此方の損害が0だったから抵抗が低いのだろう。

もしこれで此方の損害もデカかったらもっと反対されていたんだろうな。

仲間の屍を超えて突破したのだから。

だからあれで正解なんだ……。


「川辺に陣地を構築してからシャルル達が出発してくれると有難いな、流石に防御陣地無しの状況で尚且つシャルル達が不在の中で魔族軍と戦闘して勝てる気がしないからな」


数的有利な魔族軍を防御陣地無しで迎え撃つなんてのは自殺行為に近いだろう、勇者のシャルルや聖女であるクロエが居るからこそ、防御陣地無しでも勝てるだけで。

俺達は勇者が居るという事で少数精鋭であり、他の前線と比べて圧倒的に兵数が少ない。

戦闘に勝てるどころか下手をすると全滅するだろうな。


「そうなると川辺に着き次第急いで伐採と整地を始めて防御陣地を構築した方が良いですね」


「フィアナの言う通り、シャルル達も援軍に向かう事を考えると急ぎだな」


「良しっそうと決まれば早速川辺に向かおー!」


俺の意見を聞いたシャルルによって荷馬車は方向転換、俺達は川の流れる方へと向かった。

また川辺に向かう間により早く作業を進める為に馬車の中で人員を分けてより効率を高めた。

作業人員の他にも陣地に残って防衛する側とシャルルと共に援軍に向かう側の人員も予め決めておいた。

川辺に付いた時に決めていては遅いからな。

とは言っても陣地に残るのは俺やティガー、フィアナ達なので今までと殆ど変わらないメンバーとなったがな。

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