第23話 アリシアの訪問
エイア様に続いてやって来たアリシア様。
ただエイア様の時と違ってアリシア様は呼んだ訳では無い。
突然の訪問、それも女神であり神々の最高戦力の一角であるアリシア様だったから余計人集りが出来ていたようだ。
寒い中外で立たせたままなのも悪いので急いで家へと招き入れて寛いでもらう。
その間に俺は身体の温まるものを作る。
まぁちょっとしたスープだけど。
作り終えたら人数分器に掬って木の盆に乗せて運ぶ。
皮の防寒具を脱いだアリシア様とノルン様が隣り合わせに座りその対面にルナ様、エイア様が座る。
何故かルナ様とエイア様の間に俺が座らされた。
「美味しい……!」
俺のスープを飲んだアリシア様が目を見開いた。
「良いなぁルナは……こんな美味しいのを毎日……毎日?」
自身の言葉で何かに気付いたアリシア様は隣のノルン様、対面のエイア様を交互に見つめた。
そして微笑む。
「ふ〜ん……私に内緒でこんな美味しいもの……それも昇の手料理食べてたんだね〜」
「あ、い、え、その……ごめんなさい……」
「別に怒ってないよ〜」
たじたじになりながら謝ったノルン様に微笑みながらアリシア様が告げたが絶対怒ってる。
エイア様やノルン様は怒っているアリシア様を宥めようとあたふたとしている、そんな御二方と違いルナ様はどこ吹く風。
ルナ様からしたら関係ないのだろうか。
「そんな事より貴女何しに来たのよ?」
「理由も無しに会いに来てはダメなのかい?」
ルナ様の問に笑顔で答えるアリシア様。
実際アリシア様が何の用で訪れたかは分からない。
神々の最高戦力の一角でもあるアリシア様が何の用も無く来るとは思えないが。
しかしルナ様とアリシア様は仲が良いし何の理由もなく会いに来る事もあるか。
「周辺を見させてもらったけど、昇はこれから此処に住み着くつもりなのかな?」
「いえ、これ以上前進すると魔族の支配地域に入るので取り敢えず此処に拠点を構えただけですよ。近くに川もあって水の心配もないですから」
「なるほどね、ところであの悪魔の娘は?」
「名前はミミティ、能力は擬態ですね。最初は敵対してましたが今は仲良くなって此処で一緒に生活してますね。フィアナ達とも上手くやってくれてますし生活してて揉めることもなく上手く溶け込めてますよ」
「そうかい」
微笑みながら聞いてきたアリシア様に嘘偽りなく答える。
一度咳払いをしたアリシア様は居住まいを正し真剣な眼差しで俺を見る。
「その……さ、もし良かったらなんだけど、これからもシャルル達の手助けをしてあげて欲しいんだ」
「シャルル達のですか」
勇者であるシャルル達の手助け、それはつまり敵対している悪魔、魔族と戦うと言うことだろう。
恐らくこれがアリシア様が此処に来た本題だろう。
「助けられた事からシャルルは勿論クロエも昇の事を気に入ってるし信頼してる。勿論私達も信頼してる。そんな君が近くにいると思えば安心してシャルル達も戦えるだろうし気合も入るだろうからね」
「シャルル達の手助けで良いんですか?てっきり本格的に魔族と戦ってくれって言われるかと思いましたけど」
「確かに戦って欲しいと言う気持ちもあるよ、なにせ私達は戦力不足だからね……人手は多いに越したことはないし。けれど昇のお陰で自分達でも盛り返せる状況まで来たんだから少しは自分達でどうにかしなきゃね。心配しなくともシャルルが勝てばそれが全体の勝利に繋がるから」
苦笑いしながら答えるアリシア様。
本音を言えば俺にも戦って欲しいらしいが俺はそこまで戦いたくないのが本音である。
第二の人生なんだ、それにようやく落ち着けてきて命の危機からもある程度脱した中再び死線を潜るのは勘弁願いたい所だ。
ルナ様の為になるのなら頑張るが。
またシャルルの勝利が全体の勝利に繋がると言うのは恐らく士気の向上だろうな、勇者であるシャルルが勝てば各地の戦士達の士気も上がるだろう、士気が上がれば勝つ確率も少しは上がるだろうし。
「分かりました、暫くはシャルル達の傍に居る事にします」
まぁシャルルの手助けなら後方に居るだけで良さそうだしそうそう死ぬ事も無いだろう。
「!!本当かい!?ありがとう助かるよ!!」
了承した俺にアリシア様は身を乗り出して両手を握って感謝の言葉を口にした。
少なからず自分の命が危険に晒されるわけだが、こうして目に見えて喜ぶアリシア様の姿を見ると受けて良かったと思える。
それと、これから行う事が巡り巡ってルナ様の為になると良いな。
少しでもルナ様の悪い話が薄れ良い話に切り替わりルナ様を信仰し信者となる者が増えればそれはかえってルナ様の為になる筈だから。
まぁ信者にも良し悪しあるからその辺は気を付けて貰わないと駄目だけど。
「何時まで握ってんのよ」
「あっ、もう少しくらい良いじゃないか」
「駄目よ」
何時まで握りしめてるのだろうかと思っていたらルナ様に叩かれて渋々手を引っ込めたアリシア様。
俺も机の上に何時までも出しておくのもあれだなと思って引っ込めたら今度はルナ様とエイア様が握りしめてきた。
「エイア、何してんのよ」
「何って弟君の手を握ってるんだよ?」
「離しなさいよ、さっきまでアリシアが握ってていい加減昇も自由になりたいでしょうから」
「そう言うルナだって握ってるじゃ〜ん」
「私は良いのよ」
俺を挟んでそんなやり取りをするルナ様とエイア様。それを微笑ましそうに見守るアリシア様と羨ましそうに見つめるノルン様。
後でノルン様にも握られよっかな。
そうして俺の手が自由になるまでもうしばらく掛かった。
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「まさか露天風呂まで作るなんてねぇ」
「良いでしょ〜」
「頑張って作ったんですよ〜!」
「そっかそっか、頑張ったねノルン〜」
「えへへ♪」
湯に浸かりながら露天風呂の自慢をするルナ様、頑張って作った事をアリシア様に頭を撫でられながら褒めてもらい嬉しそうにするノルン様。
それを微笑みながら見守るエイア様と俺。
何故当たり前の様に俺は女神様達と露天風呂に入っているのだろうか……。
俺の両隣を陣取るルナ様とエイア様。
目の前には姉妹仲良くじゃれ合ってるアリシア様とノルン様。
眼福であり、目の保養でもあり、男としては嬉しい状況だが下手すると俺の命の危険にも繋がるこの状況。
何故なら相手は女神であり、その力の大半を既に取り戻している事から俺程度何時でも消せるだろう。
故に俺はただじっと固まりルナ様やエイア様にされるがまま可愛がられる事にする。
可愛がられると言っても後ろから抱き着かれたり頭撫でられたりするくらいだからなんとかなるだろう。
「昇、本当にありがとうね」
そう思ってたのに前からアリシア様に優しく頭を抱擁された。
顔に素肌で柔らかく大きなアリシアの胸が触れる。
この、幸せ。
今日が俺の命日だろうか……。
「それじゃお休み」
「「「お休み〜」」」
「お、お休み、なさい」
そして当たり前の様に俺を抱き枕にして眠るルナ様とアリシア様。
女神様達が俺の家で寝泊まりしてる事からアリシア様も寝るんだろうなと思ってたけどまさかルナ様と一緒に俺を抱き枕にするとは思わなかった。
ちなみにルナ様が前、アリシア様が後ろである。
御二方の大きな果実や身体中の柔らかな感触、女神様達の良き香り、吐息等から眠りに就くまでかなりの時間と精神を浪費したのは言うまでもない。
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また次回より第二章となります!




