第22話 初雪
この世界に転生してから約一ヶ月、ミミティ達がこの地に住み着いて数日が経過した。
「寒っ……」
朝、暗い家の中目を覚ました俺は寒さを堪えながらシャルル達が持ち込んだ蝋燭に火を灯して明かりを確保する。
「雪か……」
窓から外を見れば一面真っ白。
そりゃ寒い訳だ。
日に日に寒くなっていたがとうとう雪が降り積もるほど寒くなったな。
毛皮の防寒具を着て外に出る。
朝早く起きてるのも見張りをやっている者の少数だけ。
「おはよ、昇」
「おはようローナ、朝早いな」
ローナに後ろから声を掛けられて振り向きながら挨拶を返す。
「昇だって早いじゃん」
そう言いながらローナは尻尾を揺らして隣にやって来た。
ザクザクと積もった雪を踏みながらローナと一緒に周囲を見て回る。
雪が積もってはいるが壊れているような事は無かったな。
とはいえこのまま雪が積もり、折角建てた家が潰れてしまっては堪らない。
シャルル達もいる中、寒空の下で夜を過ごすのは申し訳無いし。
と言うことで屋根に登って雪を落とすことにした。
ローナと2人、木で作った梯子を掛けて屋根へと登り慎重に雪を落としていく。
雪を落としていく間にフィアナやティガー、シャルル達も起きて外へと出てきた。
「凄いぞラピス!一面真っ白だ!」
「そうだね!」
そんな中でも一番はしゃいでいるのがご覧のラニとラピスの姉妹である。
ラニにとって初めて見る雪。
そんなラニと雪を一緒に見れたことがラピスは嬉しいのだろう。
「わっ!?」
「きゃっ!」
そんな2人を見ていて悪戯心が生まれた俺はつい2人に雪を投げつけた。
それが2人の顔に直撃。
「不味かったか……?」
俺の投げた雪玉の直撃を受けた2人は黙ったまま俯いていた。
「「やったなっ!?」」
「おっと!」
「ちょっ!?昇━━━」
やらかしたかなぁと思っていたら笑顔の2人が即座に雪玉を作って投擲してきたので俺は急いでローナを盾にした。
雪玉は2つ共ローナの顔に当たった。
「昇ーーーー!!!」
ローナが大声を上げた。
だが怒ってはいない、尻尾は逆毛立って無いしむしろ楽しそうにブンブン振り回してるから。
なんなら顔が笑顔である。
ラニとラピスからの投擲を避けローナから逃げつつ他の人達にも雪玉を投げつける。
「きゃっ?!ちょっ!昇!」
顔に直撃したミミティは頬を膨らませて怒った。
「甘いわ!」
ミミティとは違いリーゼロッテは尻尾を振って雪玉を迎撃、即座に雪玉を作って此方に投げつけてきた。
にしてもミミティの奴あんな寒そうな格好で良く外に出るな。
胸だけを隠す黒い半袖のシャツに黒いミニプリーツスカート、どう見てもこの冬の季節に着るような格好ではない。
リーゼロッテも半袖のショートワンピースと寒そうではあるがミミティのが露出が高くマシに見える。
「やったな〜!?」
雪玉を食らったシャルルが応戦、直ぐに雪玉を作って投げ付けてきたが外れ、運悪く近くを通ったクロエの顔に当たった。
「あっ……」
「シャ〜ル〜ル〜?」
「ち、ちがっ!クロエを狙った訳じゃっ!」
ボスッ
シャルルに向かって行ったクロエの後頭部に雪玉を軽く投げ付ければものの見事に当たった。
当たったクロエはその場で立ち止まり、ゆっくりと此方に向き直った。
笑顔、但し瞳は笑っていない。
「昇っ!!!」
怒ったクロエが雪玉を投擲、避けて背後のローナに直撃。
そこからフィアナやティガー達を巻き込んで始まった雪合戦。
火付け役は俺だがそそくさと離れてラニとラピスの2人と合流を果たす。
「ラニ、ラピス、楽しいか?」
「ああ、最高に楽しい!」
「凄く楽しいよ!」
満面の笑みでそう答えた2人。
2人が楽しんでいて良かった。
楽しく遊ぶラニとラピスの様子を見ながら雪合戦を観戦しようと思ってたんだが。
「昇、玉作ったわよ」
「私も作ったよ弟君!」
大量の雪玉を持ってきたノルン様とエイア様。
どうやらまだ戦わなければいけないようだ。
一先ず俺は途中参戦したルナ様達と一緒に雪をかき集め身を隠す防壁を構築。
ルナ様達と一緒に両手に雪玉を持って争うクロエやシャルル達に投げつけた。
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白熱した雪合戦も終わりそれぞれが作業に戻る。
ちなみにシャルルはクロエに徹底的に雪玉で追撃されて叩きのめされてたのが傍から見て面白かった。
雪合戦が終わった後、俺はラニとラピスと一緒に雪だるま作ってた。
小さな2つの雪玉をコロコロと転がして大きくしたら重ねて目と鼻と口を描き木の枝を両側に刺して手を付ければ完成。
「折角雪が沢山あるしかまくら作るかな」
「なんだ?かまくらって」
小首を傾げるラニ。
そうか、かまくらとか知らないよな。
「簡単に言うと雪で家作るんだよ」
「こんな柔らかいのでか?」
まぁ想像付かないだろうから取り敢えずやって見せよう。
と言っても雪をかき集めて中をくり抜くだけなんだが。
「「凄いっ!」」
そうして完成したかまくらを見てはしゃぐラニとラピス。
2人は早速中へと入っていった。
そして早々にかまくらを満喫したラニとラピスを連れて俺は家へと戻る。
「あら、おかえり」
「おう」
寒いからか、雪合戦後すぐ俺の家に引きこもり布団に包まってゴロゴロしながら出迎えてくれたミミティ。
当たり前の様に過ごしているがほんの少し前までは敵同士だったんだよなぁ。
「そんなにじろじろ見て何よ?」
「いや、いつ見ても寒そうな格好だなと」
「仕方ないじゃない、これしか無いんだもの……」
「そこにあるやつでサイズが合うやつ何でも着て良いぞ」
「え?!良いの?!やった!」
嬉しそうに悪魔の尻尾を揺らして服を物色するミミティ。
悪魔とはいえ女性なんだなと再認識。
そんなこんなで楽しい日々を過ごしつつ、これからどうしようかと考えていた時。
「昇様ー!来客ですっ!」
「今行く」
慌てた様子でフィアナが家に入ってきてそう告げた。
今日はこれと言って訪問予定は無かった筈だし、仮に訪問者が居たとしてもそれはミミティが居た近くの街から来る行商人くらいで俺にわざわざ知らせる必要は無いわけだし。
一体誰が来たのか、脱いだ毛皮の防寒具を着てフィアナと共に外に出る。
外に出れば一箇所に人集りが出来ていた、その中央に見える皮の防寒具に身を包んだ金髪の長い髪に金色の目の女神様と目が合う。
「えへっ来ちゃった♡」
アリシア様がお忍びで来ちゃった。




