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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第1章 異世界転生

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第21話 神々の話し合い

雲の上、太陽の光が照らす空中に浮く島の神殿。

此処は女神アリシアの領域である。

そんな浮島の中央の神殿にて神々はルナから提供された昇の記憶、それを読み取り昇の前世の世界を見る。


「凄い技術の進歩ね……」


一人の女神が呟く。

自動車と呼ばれる高速で地を行き交う鉄の箱にそれよりも早く飛ぶ航空機と呼ばれる鉄の鳥。

この世界とは全く異なる建築方法で建つ巨大な建物。

船ですらこの世界の様な木造の船ではない。

どれも自分たちの居る世界では見たことのない未知な物であった。


「この武器凄いね」


目を付けたのは銃、一撃が人に致命傷を与える武器。

アサルトライフル、スナイパーライフル、ショットガンと種類も豊富だ。


「これを開発出来れば此方側が有利では?」


「技術力を上げるにしても今に今ここまで上げるのは不可能だし、まずは似た時代の技術を取り入れようか」


「と言うと?」


「クロスボウ、バリスタとかかな」


神々は自分達の居る世界に似た時代の武器を選んだ。

自分達の信者達に教える為に早速その製造法を学ぶ。

昇がその製造法を知らなくとも、神々ならば分かるのだ。


「にしても昇はまた変わった娘達に懐かれたね〜」


「魔眼持ちの娘に竜の子供に終いには悪魔とは……彼は変わった娘達を引き寄せる能力でもあるのかい?」


神々の意志とは関係なく都を追い出された彼は付き添いのノルンによって何処に居るか、何が起きたかという報告がアリシアに上がる。

敗北寸前だった自分達を、女神アリシア達を救った彼に神々は感謝している。

だからこそ都を追われた彼が窮地に立たされた時少しでも助けることが出来るようにと付き添いを付けることにしたのだ。

それが神々に今出来る事だった。

今は悪魔達との戦いの真っ只中、自分達から離反する人族を抑えたかったのだ。

戦力の低下は敗北を意味するのだから。


そしてその付き添いに真っ先に名乗り上げたのがノルンだったというだけの話。

そんなノルンから定期的にアリシアに連絡が入り、ここの神々に知らされるのだ。


ラニとラピス、竜の子リーゼロッテ、悪魔のミミティの事もアリシアを通してノルンから伝わっているのだ。


「最初は驚いたよ、敵対している悪魔と会って戦闘になったと聞いた直後にもう仲良くなったと聞かされたんだから」


「驚かされたと言うとあの丘の件は心配したわ〜」


「たった1人残って魔族軍を恐慌状態に陥れて撤退させたやつね」


それは窮地に陥っていた神々を立て直し、反撃のチャンスを掴ませた1件。

昇が丘にて魔族を撃退した事で女神アリシア達や勇者シャルル達は力を蓄えられた。

それによって神々は再び前線を押し上げる事が出来たのだ。


「昇の特性に付いて話がある」


アリシアが声を上げた。

その声に周囲の神々は静まりかえる。

これから告げられるのは昇の傍に誰よりも長く居て、その特性を見てきたルナからの情報である。


「皆、昇が異世界の住民である事は知っていると思う」


一度言葉を区切り周囲を見渡すアリシア、神々がそれぞれ頷いた事を確認し言葉を続ける。


「異世界からの召喚という手法はあるが未だそれを施した事は無い。つまり昇は不測の事態によってこの世界の漂流してきた。それによって昇は良くも悪くもこの世界に定着していない」


月光昇は日本で事故にあって亡くなり、転生という形でこの世界に来た、それは間違いない。

だが本来は亡くなり、神々のうちの誰かによって導かれてやって来るはずが誰も認知出来ない状況でこの世界に転生してしまった。


「まさか昇君が魔力を持ち得ないのはそれが原因なのか……?」


「ほぼ間違いなくね」


この世界の誰もが持つ魔力、月光昇はそれがない。

それは適切な状態で転生出来なかった為。

故に昇は得られるはずの魔力を持たぬ身体で転生してしまった。


「またノルンからの報せでは昇に私達の加護を与えられない」


女神の加護。

それは与えられた者に様々な恩恵を与える。

魔術行使の時間短縮、状態異常無効化など。

勇者に選ばれたシャルルは対魔族特攻の力等も授けられた。


「定着しないからこそ昇は魔術の効果も受け付けないんだろうね、ただこの世界のキノコの効能等は受け付けたり受け付けなかったりとバラバラらしい事からもしかしたら効果を受け付けるとかも制御出来るかも知れないけど」


それはあくまで仮定の話。

ただ現状昇に神々が自身達の力を与えることは出来ない事だけは確かである。


「もし仮に昇に私達の奇跡を加護として刻めるとして、それが出来るのは私達の中で一昇と仲の良いルナか、莫大な力を持つ父上くらいだろうね」


とは言え、ルナは奇跡を上手く扱えないしアリシアの父であり神々の王たるレクスは消息不明であるため実質誰も彼に加護を刻めないのだが。


「さて、昇のお陰で私達も体勢を立て直せた事だし、悪魔達との戦争に勝つために動くとしよう」


アリシアのその言葉を皮切りに神々はそれぞれ動き出す。

自身の領域に戻るもの、自身の信者達に得た技術を授け武器の製造に移るものと様々だ。


「はぁ……」


自分以外居なくなった神殿でアリシアは大きく溜め息を付いた。


「エイアの奴、まさかあのまま昇の傍に居着くなんて……」


今日の話し合いの場に姿を見せていないのは常に昇の傍に居るルナとその連絡係のノルン、そしてつい最近ノルンからの要望で昇の下へ訪れたエイアの三女神だ。

当初の予定ではエイアは治療をしたら戻って来る筈だったのだがものの見事に彼女は昇の下に留まっている。


「まぁ予想通りと言えば予想通りだけど……」


実際他の神が呼ばれて訪れたとしてもエイアと同じくその場に留まるだろう。

だからエイアが昇の下に留まったのもアリシアとしては分かっていたことではあった。

不思議と彼の傍は心地良いのだから。


「私も近い内に昇の下に向かおうかな」


自身の力を授けた勇者であるシャルルや聖女であるクロエも向かったし、私が行っても良いよね、とアリシアは考えた。

そしてその行動が実際に起こされるまでもうしばらく。


「昇に私の加護を与えられたら良いのになぁ」


それが保護目的であるのが建前であり、親密な関係だと言う証をルナ同様アリシアも昇に刻みたいという欲求の表れである事は誰にも分からない。


悪魔達に捕まっている所を助けられたからだろうか、アリシアは昇に惹かれていっている。

今日、この場に居た神々が自分が捕らわれていた時に助けに来られない事はアリシアも知っている。

神々(自分達)を捕らえ、その力を抜き取る術があるのは亡くなったリューヌの件で痛いほど知らしめられた、だから危険を冒してまで助けに来ることなど無い。

そんな中で昇は状況をよく知らないとは言えアリシア達を助け出した。

そんな白馬の王子様の様な存在に惹かれるなという方が無理な話だろう。


「会いたいな……昇」


呟かれたその言葉は風に飛ばされ儚く散った。

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