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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第1章 異世界転生

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第17話 悪魔のミミティ

ミミティSide


私がこの街に潜入したのはほんの少し前。

脱走した女神達の捕獲に向かった魔族達が敗北した事で女神達を捕まえるのに失敗したからだ。


潜入先に悩んでいた私は運良くシスターが1人川に水汲みに来たのを見て襲い、気絶させて拉致した。

それから目を覚ましたシスターに普段何をやっているか尋ねた後に彼女に成りすまして街に溶け込む事にした。

私の能力は擬態。

その擬態を発動してシスターに化けるの。

捕らえたシスターは孤児院を経営してたからその建物の奥に幽閉、但し殺しも拷問もしない。

ただ静かに幽閉されてもらうだけ。

孤児院の子達は全員巣立った直後だったらしくシスター1人。

気まぐれで話し掛けて見たけれどこの娘、滅茶苦茶良い娘だった。

他の悪魔共は人間などクソだとよく言っていたけれどこの娘全然良い娘よ。


本来の目的はシスターに成りすまし女神達の情報を探る筈だったのにいつの間にかシスターの子の為に孤児院をより良くしようと掃除とか壊れた所の修繕とかしてたわ。

シスターも疲れてたみたいだし今だけ私が彼女の代わりを務めシスターには休んで貰いましょう。


その数日後、初めてのお客様が現れた。


2人の可愛らしい女の子を連れてやって来た人達。

人族に獣人にエルフとこれまた変わった組み合わせね。

此処は印象良くする為に笑顔で対応!

恐らくだけれど2人の子をこの孤児院に預けたいのだろう。

けれど、結果は却下されちゃったし女の子達も怖がらせちゃったみたい。


長椅子に座り反省、シスターの為にもここでへこたれてられないわ、次こそは!


そう決意を新たにした所、再び来客。


「あら、先程の……どうされましたか?」


来られたのは先程のお客様。

良し、今度こそ良い印象を!

そう思って微笑みを浮かべた時。


「マリア」


「穿て」


精霊が合図に応え、容赦なく魔術を放つ。

生み出された人一人包める程の大きさの火球が私に迫る。

即座に魔術で防壁を構築した直後火球が防壁に当たり爆発する。

シスター服を破り捨て擬態を解く。


「あらあら……貴方、勘がいいのかしら、それとも頭が逝っちゃってるのかしらね?」


……何なのよあの男に精霊の小娘っ!?普通問答無用で魔術ぶち込まないわよ?!

結果として私が悪魔だったから良かったもののこれが本当にあのシスターの子だったらどうするのよ!?死んでたかもしれないのよ?!

きっと勘が良いんじゃなくて頭が逝っちゃってるのね!


「失礼だな、正常だよ」


「相手が悪魔だったから良かったけど、傍から見たら本当に狂人のそれよ?」


「撃ったのはマリアだからお前も同類だぞ、やったね」


「はぁぁ?!精霊の私を同類にしないでよ!?」


「まぁ良いわ、私の名はミミティ、私の正体を知ったからには生かしてごほっ!?」


男と精霊が話している間に私は心を落ち着かせながら悪魔の威厳を保とうと目を瞑りつつ胸を張った数秒後に顔面に激痛を感じたと同時に吹き飛び長椅子にぶつかった事で止まったわ。


「ちょっと本当に正気なの!?こんな美女の顔面を迷わず殴るなんて!」


「喋っている最中に殴るのは良いんですね……」


「良いわよっ!そっちがそんな風ならこっちも……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?ちょ、痛い!痛いわよ!?ボスがボスなら部下も部下ね!?倒れ伏す相手を足蹴にするなんて━━━いたたたたた!?」


顔の痛みが引くまで休んでようと思ってたら獣人が群がって来てそのまま蹴りを浴びせてきたわ!?

本当になんなのよこいつら?!


「はぁ……ようやく終わっ━━嘘でしょぉぉぉぉぉぉぉ?!」


獣人達の蹴りが収まったかと思えば今度はエルフと精霊から魔術攻撃を浴びせられたわ。

そんな私を見て可哀想とでも思ったのかしら……男が攻撃を止めさせて瓦礫を退けて私の身体を起こしてくれた。


「あ、ありがとう……」


「おぉん……」


「今日の所は帰るわ……そこの奥にここの元々のシスターが居るから……じゃあね……」


流石に分が悪いし今日の所は撤退する事にし、歩いて孤児院を後にした。


ふ、ふふ、そうよ、私は悪魔。

決して人族達とは相容れないっ!

シスターは良い子だったけど!


それから魔術で身体の傷を癒し終えた私は早速行動に移す。

どうも獣人達はあの男に従ってるみたいだし、あの男に化ければ良い。

名前についても会話で聞いて覚えてるから大丈夫。


男の名前はジョン、誘い出す女はエルフのセレスティナか精霊のマリア。

この2人のどちらかにタイミングを見計らってジョンの姿で接触すればいけるわよね。

ということで早速ジョンに成りすまして街へ潜入。

服装についても擬態で服装ごと変われば問題なし。


「あれ?あなたは……」


「あら?」


声を掛けられて振り向けば其処に居たのは金髪ロングに黒いローブを着たエルフの娘。

目的の1人であるセレスティナじゃない!


「セレスティナ、ちょうど良かった話があったんだ、此処では何だし、付いて来てくれるか?」


「分かりました」


「ありがとう」


良しっ!このまま街外れまで連れて行った所で倒して情報を聞き出せば良いわね!

エルフっ娘を街外れの広場まで連れて行き、いざ気絶させようとした所で。


「で、貴女は何やってるのよ?折角孤児院で見逃したのに」


振り向いたその先、エルフっ娘の隣にいつの間にか居た猫獣人の娘。


「何言って、俺はジョ━━」


「嘘言わないで頂戴、貴方の匂い、ジョン様の匂いじゃないのよ」


ふんっと鼻を鳴らす猫獣人。

え、匂いで気付かれた……?


「それにジョンは魔力が無いのよ、上手く魔力を隠蔽してるみたいだけれど、どうしても微かに残ってるのよね」


猫獣人の次はあの精霊が姿を現す、他にも狼娘に虎の獣人の男まで居た。

まさか初めからか気づかれてた?!


「もっと言やぁ旦那は今頃ルナ様と風呂でも楽しんでるぜ、なんせずっと楽しみにしてたからな」


!、ジョンは女神ルナのお気に入りのようね!他者に興味を持たない事で有名なあの女神と一緒に入浴出来るなんて……!

これは有益な情報ね……!

けれど今はこの状況をどう脱するかよね……

正体もバレてるしジョンから本来の自分の姿に戻る。


「にしても相変わらず見事な擬態ね、なんでジョン様は分かったのかしら?」


「え?見事?」


「ええ、ジョン様や私達以外の誰かに擬態してたならまずわからないでしょうね」


この猫獣人、良い子じゃないの!!!

そうよ!私の擬態はそう簡単に分かるはずがないのよ!今回はたまたまバレる要素が多かっただけで!


「もう!そんなに褒めてもお菓子くらいしか出せないわよ!いる?」


「あ、頂きます」


ホットパンツのポケットに入っていた焼き菓子を見せるとエルフっ娘が受け取ってその場で食べてくれた。


「これ美味しいですね!」


「ふふ!そうでしょう!」


暇な時に作った手作りのお菓子を美味しいと言ってもらえて嬉しくない奴はいないわ!


「それでどうするのかしら?私達は戦うつもりはないけれど……」


正体もバレて対多数戦で圧倒的に私が不利……だから。


「帰るわ!」


猫獣人は戦う気は無いと言っていたから帰らせてもらうわね!


「気を付けて帰りなさいよ、あそうそう、孤児院のシスターが何時でも顔見せてって言ってたわよ〜」


「分かったわ!教えてくれてありがとうね!」


手を振りながら教えてくれた精霊にお礼を言う。

揃いも揃って手を振るなんて!良い子達じゃないの!!!


取り敢えず今日はこの辺にしといて言われた通りシスターに会いに行けば彼女は満面の笑みで私を迎え入れてくれた。

私はシスターのお言葉に甘えて孤児院に一泊させてもらう事にした。


そして翌日の朝、私は再びセレスティナ達と街で出会った。


「今度はルナ様に擬態したの?」


「ええ!ジョンは何処かしら!」


女神ルナの情報なら捕らえた時に幾つか得たし、この目で姿も見て覚えているから擬態には自信があるわよ!

この姿をジョンに見せて驚かせてやるんだから!


「まだ寝てますよ。ジョン様なら今夜街を一望出来る丘に行くそうですし、夜に行ってみてはどうでしょう?」


「そうなの?ならそうさせてもらうわね!」


シスターの居る孤児院の清掃をしながら夜を待つ、そして街を一望出来る丘にて。


「ジョン」


「は?」


丘で立っていたジョンを見つけた私は彼に話し掛けた。


「ふふっ、呆けちゃってどうしたのかしら?」


ジョンはただ目を見開いて立っているだけ、でもなにをそんなに驚く事があるのかしら?


「見事な擬態だ、ミミティ」


「ふぇ?」


……今、ミミティって言った……?


「何を言ってるのかしらジョン?」


「一つ、良いことを教えよう……ルナ様は俺の事をジョンとは呼ばない、昇って呼ぶんだ」


「は……?」


ショウ……?ジョンじゃなくて?一体どういう……。


「ジョン・ドゥは偽名で月光昇が本名だ、それとルナ様だが」


「残念だけど一緒に居るのよね〜」


彼の首の横から女神ルナの顔が出現した。


「ちょっと待ちなさいよ?!なんで女神が憑依してて全く気配がしないのよ!?それになんで平然としてられるの?!」


「気配がまた全くしないのは俺にも分からんし、平然としてるのも平気だからとしか言いようがないからな」


ショウはそう言って此方に歩み寄ってきたかと思えば目の前で立ち止まった。


「な、何よ」


「擬態の完成度は凄かったぞ」


ジョンが笑顔でそう言ってくれた。


『姿を似せることしか出来ない役立たず』


『相手を真似るしか能が無いゴミ』


『使えるものなどその豊満な肉体だけ』


他の悪魔には散々酷く言われてきたこの擬態をジョンは褒めてくれた、それが何よりも嬉しかった。


「……そう、なら私の用は済んだし帰るわ」


褒められる気恥ずかしさを感じながら擬態を解いた私はジョンに見送られて丘を後にし孤児院へと帰った。

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