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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第1章 異世界転生

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第16話 双子の姉妹

ラピスSide


私達は忌み子だった。

白い肌に白い髪、そして赤い瞳。

他人とは大きくかけ離れた外見から村の人達は疎か両親からも忌避されていたのは何となく分かっていた。

両親は表面上隠してはいたけど。

外見以外にも忌避されていた理由がある。


それは【瞳】だ。


双子の姉であるラニは生まれながらにして盲目である。

双子の妹である私ラピスは生まれつき目が良い。


相手の魔力の流れが見えて、魔術の発動や魔術式から何の魔術を使おうとしてるかが分かる。

きっと私は母の胎の中で姉であるラニの目を奪ったのだろう、だからラニは盲目で私は瞳が良いのだ。


ただ目が良すぎるのも少し困る。

否が応でも魔力の流れ等が見え、その多大な情報量に目が疲れるし良く頭が痛くなるから。

だから普段はラニと同じく目隠しして過ごしてる。

目が良いからか目隠ししててもある程度は見えるから普通に生活出来るし。

けれど、それは傍から見ても不気味で忌避されていた私達だから、魔族が村に侵攻して来るって時に両親は私達を捨て逃げた。

村人も私達を助けようなんてせず、逃走。

残された私は盲目のラニを連れて行く宛もなく彷徨う。

幾つかの村を経て辿り着いたのがこの街。

幸い魔族に襲われなかったけどそれも時間の問題かな、街の人の話を聞くに直ぐそこまで来てるみたいだし。

だけど禄に飲み食い出来てないこの身体ではもう動くのも厳しい。

私達にはその日を生き抜くので精一杯なのだから。

少しでもラニのお腹を満たす為にゴミを漁る日々。

私達が飢え死にするか、この街が魔族に蹂躙されるのが先かと言った所か。


「魔族……来ないな」


「そうだね……」


それから何日も過ごした、けれど魔族は街へ来る事は無かった。

それどころか魔族が撤退したと街の人の話で知った。

どうやら私達が力尽きるのが先のようだ。


「ラピス、ずっと……ずっと一緒だからな……」


「うん……ラニ、ずっと一緒に居ようね……」


満足に食事を摂れない私やお姉ちゃんの声は小さく、その身体に力も入らない。

最期のその瞬間まで互いを感じる為に抱き合い重なり合う。

仄かに感じる温かさが徐々に失われていく気がした━━━━












嫌な夢を見た……。


「ラピス、起きたか?」


「ラニ……うん、起きたよ、此処は……」


見た所何処かの宿かな。

私達は路地裏に居たと思ったけど……もしかして人拐いにでもあったのかな……っ!?


「誰!?」


私とラニの直ぐ近くに人が居ることに気付いた。

私が気付けないなんて……。


「自己紹介は後、まずは腹拵えだ、食え」


私達のベッドの横にあるテーブルに置かれる温かいお肉やスープ。


「食べさせた方が良いか……?」


「……大丈夫、自分で食べれるから」


ラニにスプーンを握らせ、スープの入った器を持たせたら自分の物を持つ。


「目が見えてるのか?」


「あんたに言う必要はないよね……っ!」


このスープ、美味しいっ!お肉も柔らかくて凄く美味しい!

ちらりとラニの方を見ればラニもお気に召した様でがっついて食べてた。


「そんなに慌てて食わなくても飯は逃げない、おかわりもあるからな」


「……おかわり」


「はいよ」


「私もおかわり……」


ラニがおかわりし、私もおかわりをした。


にしてもこの人……魔力が一切無いなんて……お陰で気付くのに遅れた。


「腹拵えが終わったら次は身を清めるぞ、フィアナ!」


「はい、行きますよ2人共」


呼び掛けに応じて室内に入ってきた1人の獣人が私達を連れて室内を出る。

そのまま私達はフィアナと呼ばれた獣人とセレスティナと言うエルフによって身体を綺麗に洗われ新たな服に袖を通す。


そのままあの男の人が待つ室内に連れて行かれた、男の人は目隠しの取れた私達をじっと見つめた。


「……なに?」


じっと見つめられてつい口に出してしまったが聞かなくても分かってる。

きっとこの人も私達のこの外見を忌避して━━━


「いやなに、綺麗だなぁと思って」


「は?」


━━━━綺麗……?私達が?

忌避される事はあっても今回の様に綺麗なんて言われることは無かったから面を食らってしまった。

でも知ってる、それが嘘だって事は。

どうせこの人達も私達を捨てるに違いない。


「ジョン様、孤児院に預けた方が」


猫獣人がそう言った。

ほら、そうやってまた捨てられるんだ。


「一応見に行くだけ行って後の判断はこの子達に任せる」


「何?私達が嫌だって言ったらどうするんだ?」


怪訝そうにラニがそう言った。


「その時は拾った責任をちゃんと取るさ」


ジョンと呼ばれたその人はそう微笑んだ。


そうして私達は再び目隠しを付けた後、ジョン達に連れられ街の孤児院へと向かった。

街の外れにある孤児院に到着、扉をノックして出てきた1人の修道女。


「あらいらっしゃい迷える子羊よ」


金髪ロングのその修道女は人当たりの良い笑顔で私達を迎えてくれた。


「特に問題はなさそうですね」


「優しそうだし」


獣人のお姉さん達はそう判断した。

けれど私の【瞳】は、その隠された姿を正確に捉えた。

悍ましい人では無いナニカ。


嫌だ、こんな所行きたくない。

けれど威圧なのか、声が出ない。


たすけて……



「却下で」


その言葉を告げたのは他の誰でもないジョンだった。


「帰るぞお前ら」


「ショ、ジョン様!?」


「あら、残念ですわ……」


ジョンは私達を孤児院に預ける事は無く、そのまま宿に帰った。

もしかしてあれに気付いた……?

でも他の人達は気付いてなさそうだし……たまたまかな?


「よし、ラ二達は此処で待っててくれ」


宿に戻って早々ジョンはそう言った。


「ジョンは何処に行くのですか?」


「悪魔狩り」


何処に行くのか気になって訊ねればそんな言葉が帰ってきた。

ああ、やはりこの人はあのナニカに気付いているのですね、だから私達を引き取らせなかった。







月光昇Side


これから再び孤児院に向かう。

ラニ達の護衛にティガーを置いていく。

何かあればあいつの腕力なら二人を抱えて逃げれるからな。


「そう言えばセレスティナは魔術の行使に杖を用いるんだな」


「はい、明かりを灯したり火を付けたり等の初歩的な事は無くても良いのですが、流石により高度な魔術の行使には必要ですね」


「大変だな、詠唱とか杖とか無くても放てりゃ良いんだが」


「え?何故ですか?」


「そりゃぁ相手にわざわざ、私は今からこの魔術を使います、って宣言してるみたいなもんだろ?それに杖が折れたら魔術使えなくなるし、無杖無詠唱が出来たら結構良いよなぁ」


漫画とかだと無詠唱とか無杖とか当たり前だしな。


「その発想は無かったですね……」


どうやら俺の発言がセレスティナ達に新たな気付きを与えたようだった。


ちなみに精霊であるマリアは詠唱はいるが杖はなくても魔術を行使出来る事から不可能では無いことが分かっている。


そうして再び孤児院へ到着。

今更ながら皆疑う事なく付いてきてくれて助かる。

孤児院の中へ入る為に扉を開ける。


「あら、先程の……どうされましたか?」


広間の両脇に並べれた長椅子に座っていた修道女が立ち上がり先程と変わらぬ微笑みを向けてくる。

うん、修道服を着ているがその頭部に生えた角や背中の羽に尻尾、どう見ても悪魔だろ。

こういう時は先手必勝。


「マリア」


「穿て」


俺が呼べば隣でスタンバってたマリアが容赦なく魔術を放つ。

生み出された人一人包める程の大きさの火球が修道女に当たり爆発する。


「あらあら……貴方、勘がいいのかしら、それとも頭が逝っちゃってるのかしらね?」


爆煙を払い現れたその姿は先程の様な修道服ではなく、露出の高い黒装束を身に纏い、金色の髪は黒く、青い瞳は赤く変わっていた。


「失礼だな、正常だよ」


「相手が悪魔だったから良かったけど、傍から見たら本当に狂人のそれよ?」


「撃ったのはマリアだからお前も同類だぞ、やったね」


「はぁぁ?!精霊の私を同類にしないでよ!?」


マリアとそんな話をしながら俺は目の前の悪魔に近付く。


「まぁ良いわ、私の名はミミティ、私の正体を知ったからには生かしてごほっ!?」


何を思ったのかミミティと名乗った悪魔は自信げに目を閉じて微笑み胸を張って何かベラベラと喋っていたが気にせずその顔を殴り抜ける。ミミティは避ける事も出来ずに吹っ飛び長椅子を壊して止まった。


「ちょっと本当に正気なの!?こんな美女の顔面を迷わず殴るなんて!」


「喋っている最中に殴るのは良いんですね……」


セレスティナの呟きももっとも、あと顔が良いのは認めるが敵だから殴る。


「良いわよっ!そっちがそんな風ならこっちも……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?ちょ、痛い!痛いわよ!?ボスがボスなら部下も部下ね!?倒れ伏す相手を足蹴にするなんて━━━いたたたたた!?」


何時まで経っても起き上がらないミミティにフィアナとローナが群がり蹴りを食らわした。

確かにあのミミティが言ってる事も分からなくは無いが今は敵だからな。


「はぁ……ようやく終わっ━━嘘でしょぉぉぉぉぉぉぉ?!」


フィアナ達の蹴りが収まったかと思えば今度はセレスティナとマリアから魔術攻撃を浴びせられるミミティ。

途中からなんか可哀想になったのでセレスティナ達の名前を呼んで攻撃を止めさせる。

取り敢えず埋もれた瓦礫から掘り出しその身体を起こしてやる。


「あ、ありがとう……」


「おぉん……」


やり過ぎてミミティが涙目になってた。

と言うかやられた相手に助け出されてお礼言うとか実は良い奴なのでは……?


「今日の所は帰るわ……そこの奥にここの元々のシスターが居るから……じゃあね……」


ミミティはボロボロなまま、とぼとぼと歩いて孤児院を後にした。

俺達はその後、あのミミティが擬態していた捕らわれのシスターを助けて孤児院を出て行く。

幸い孤児達が巣立った後なのが救いだった。

しかもちゃんとシスターにご飯を与えていたらしく拷問のような事もせずなんか世間話してたらしい。

ミミティの奴マジで孤児院経営しに来ただけじゃん……。

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