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セカンド・ワールド〜女神救出から始まる物語〜  作者: 唯ノ蒼月
第1章 異世界転生

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第15話 旅の道中

「戻りましたぜ旦那ぁ」


安寧の地を求めて彷徨うその道中に立ち寄った街の城壁の外にて荷馬車の荷台に乗って待っていた俺に買い物から帰ってきたティガーが声を掛けた。


「おう、お帰り」


一緒に留守番してたフィアナと共に荷物を受け取り荷馬車に置く。

買い物に出掛けていたのはティガーとセレスティナとマリアで俺とフィアナ、ローナは留守番。

ルナ様とノルン様は俺に憑依してお休み中だ。

何故留守番か、それは案の定お断りされたからだ。

ルナ様達に聞くところによるとこの世界でのやりとりは基本的に文通らしいのだが急を要する要件等は魔術によって速やかに連絡されるらしい。

つまり俺の件は急を要する件と言うことだった訳だ。

幸いフィアナやティガー達は問題無く入れたので代わりに物品を調達して来てもらうことにした。

資金についてはアリシア様から頂いているので問題なし。

後3日程で魔族の領域付近へ到達する事からこの先街や村は減っていく一方だからな。

にしても女神側はかなり東部に追いやられているようだ、あの街と魔族と戦った丘の距離も近いし。

実際アリシア様達も丘での戦闘に直ぐ参戦する為に近場の街で療養してたらしいし。

荷物を積み終え、荷馬車は再び動き出す。

御者はフィアナに代わりティガーだ。


「湯船に……風呂に浸かりたい……」


ここ最近、と言うかこの世界に来てから湯船に入ってなくつい漏れた言葉。

この世界に来てからというもの戦い続きで休めてなかったのもあるが。

最近身を清めたのなんて桶に水汲んでタオルで拭くくらいなんだが。


「風呂だったら都に合ったわよ?」


そんな俺の漏れた言葉にノルン様が首の横からひょっこりと顔を出した。


「あったの?!入りたかったな……」


なんとあの神々の都に風呂があったらしい。


「都はアリシアのご飯食べて直ぐに出てきちゃったものね……」


「ルナ様のせいでは無いので気にしないで下さい」


今度はルナ様が申し訳無さそうに首の横から顔を出した。

右からルナ様、俺、ノルン様と一つの身体で3つの顔がある状態になってしまった。


「待って、昇ってアリシア姉様の手料理食べたの?」


「おん、お礼にって事で作ってくれました」


「あのアリシア姉様が手料理を振る舞うなんて……私も何かしてあげたかったのに先越されちゃったわ……そうだ!」


首だけ隣で何やら呟いていたノルン様だったが何か思いついたようだ。


「昇!私が貴方の未来を見て上げる!」


「ノルン様って未来見れるんですか?」


「そうよ、私は運命を司る女神だもの!力がある程度戻った今ならこうして貴方の未来も……あら」


「どうしました?」


「貴方魔王との戦いで死ぬのね」


「さらっと絶望するような事を言うのやめてくれません?」


凄い軽い感じで言ったんだけどこの女神。


「大丈夫よ、私の未来視は幾らでも変えれるの、だから貴方の死ぬ未来だって変わるわ。現に私達は捕らわれ敗北する未来から助かったのだし」


そう笑顔で告げるノルン様、凄い軽く言うから本当に驚いた。

そんなこんなで次の街へ向かって進む。


「おっと……」


「ん?どうしたティガー?」


ティガーが馬車を止めた。


「旦那ぁ今夜はご馳走にありつけそうですぜ」


そう言って指を差した先を見てみれば熊が居た。


「昇様、少し狩って来ますね!」


「ああ」


両手に剣を持ったフィアナと拳を握り締めたローナの2人が荷馬車を降りて駆ける。

接近する2人に熊は威嚇の声を上げたが2人は怯むことなく駆ける。

熊が両腕を振るうも加速した2人を捉えることは出来ず空を切る。


「はぁ!」


飛んで躱したローナが熊の頭に踵落としを決め。


「ふっ!」


回り込んだフィアナが腕や足を斬る。

熊は痛みに悲鳴を上げながら腕を振るうも2人はそれに捉えられるほど遅くない。

なんだったら振るう腕にカウンターみたいに剣で斬りつけてたりする。


「せい!」


「そこっ!」


ローナが熊の顎を蹴り上げ仰け反らせた所にフィアナが剣で首を切り落とした。

凄い息がピッタリだな。

思わぬ食材が手に入りうきうきするフィアナ達を乗せ馬車は再び動き出す。


昼。

馬に餌と水をやり休ませる、その間にフィアナ達に火を起こしてもらい昼飯の準備を始める。

昼は今朝入手した熊の肉を詰めた鍋だ。

料理はルナ様の事もあるので俺が担当する。

有難いことにティガー達が調味料を手に入れてくれたので使わせてもらう。

そうして出来たスープを木の器に移しフィアナ達に配る。


「はい、ルナ様」


「ありがとう、昇」


そうして全員に行き渡り、各々が食べ始める。

うん、悪く無い味付けである。


「美味しいっ! 」


「うめぇ……!」


「昇様、凄く美味しいですっ!」


ローナ、ティガー、フィアナと好評で3人共ガツガツ食べてる。

ルナ様も美味しそうに食べてる中、ノルン様はというと。


「え……待って、アリシア姉様のより美味いんだけど……!」


なんか呟きながら固まってた。


「ノルン様?お口に合いませんでしたか?」


「!そんな事ないわよ!物凄く美味しいもの!」


お世辞かなぁと思ったらこれまた凄いスピードで食べ始めたので本心からの言葉の様だ。

しかもまさかの最初のおかわり要求者でもあった。

全員おかわりした所で丁度スープも無くなった。

片付けて少し休んでから再び出発。


「昇、あんた私の下に来ない?」


ノルン様からお誘いを受けた、折角の申し出だがルナ様から離れるつもりは無いのでお断りしましょう。


「ルナ様の下から離れるつもりは無いのでお断りします」


「振られたわねノルン」


「うっさいわね。昇、気が変わったらいつでも来なさい」


「考えときます」


それだけ言って憑依するノルン様。

ルナ様は俺をじぃと見つめていた。


「ルナ様?」


「昇、貴方は私から離れるの?」


「離れるつもりは無いのでご安心を」


「ふふっ良かった」


嬉しそうに微笑みルナ様も憑依して行った。


『何勝ち誇った笑みを浮かべてるのよあんた』


『聞いたノルン?昇は私の下から離れる気が無いって〜』


『貴女が一番最初に会った女神で付き合いも少〜しだけ長いものね〜』


『あら?負け惜しみかしら?』


『ぐぬぬ……』


中でそんな会話をする双女神(ルナ様とノルン様)

相変わらず仲は良好だ、ただお二方に言うと否定されるので黙っておく。


そうして進む事数日、魔族を撃退した丘から一番近い街に到着した。

この街は普通に入れたので今日は此処で一泊止めさせてもらう事にした。


「まさか入れてもらえるとは思わなかったな」


「それは昇、あんたが感謝されてるからよ。あの丘で魔族を撃退してくれたからこの街はまだ消えずに残っているの。だからこの街の人達は連絡を受けてもあんたを受け入れるのよ」


そう言ってくれるノルン様、フィアナ達も頷いていた。

俺のやったことがこうして残るのは嬉しく思うし、その行いが今回俺を助けてくれたわけか。


街に入ったら取り敢えず宿を探す、馬車を停めたいからな。

宿は何の変哲もない普通の所にした、俺は分からんがフィアナ達曰く馬の餌代やら駐車代やら含めてもそんなに高く無いとのこと。


「これも昇様が必死に戦って魔族を撃退したからこそですね」


そうセレスティナは微笑んだ。

ちなみにだが宿は2部屋だ。

女神様や女性陣、男性陣で分けるのだろう、つっても男は2人だけだが。

そう思っていたのに何故か俺、女神様とフィアナ達女性陣の2部屋に別れた。


ど  う  し  て  ?


ティガーはどうすんだよと思った所本人の希望であいつは馬の面倒見ながら馬小屋で過ごすとのこと、なら俺も其処にと思ったが「私達と一緒に寝るのが嫌なの?」とルナ様とノルン様から圧が掛けられ一緒の部屋で過ごす事となってしまった。


宿が決まったので次は傷薬や食料の調達だ、とは言え俺は適正価格が分からないのでフィアナ達に頼む。

流石に法外な代金を要求されたりはしないと思うが如何せん値段とか分からんからな。


と言うことで俺は狼の獣人であるローナと共に街の散策に赴く。

ローナはゴールドベージュのウルフカットにベージュ色の瞳の少女だ。


「何か私の顔についてる?」


「いんや何もついてないぞ」


整った顔立ちに綺麗な髪色だからついつい見惚れてしまった。

日本に居たら絶対人気者だろうな、同じくらい可愛かった友人達も人気者だったし。


ローナと一緒に果物を買って食べ歩いたり、雑貨を見て回っていた。

そしてふと路地裏に視線を向けた。


綺麗な白い肌に長く美しい白髪、だがそれに見合わない薄汚れ、破れた服を着て身を寄せ合う2人の少女。


「っ!」


立ち止まった俺に気付いた少女の片割れがびくりと身体を震わせ此方に顔を向ける、その瞳は布で覆われていた、盲目なのだろうか。

顔を上げた少女は今なお俯く少女の前に守る様に立ち塞がった。

痩せこけた身体、碌な食事をしていないだろうことは明白でそんな身体で無理をしたからか少女はグラリと揺れる。


「ラピスッ」


「っ!」


間一髪倒れた少女を抱き止める事は出来た。


「誰だ……?」


「話は後だ飯を食いに行くぞ」


「なっ?!は、離せっ!」


ラピスと呼ばれた倒れた子ともう1人の子を両脇に抱えて宿へと向かう。

弱ってる人を、ましてや子供を放置は出来ん。


「まるで人攫いだね」


「言うなって……」


悪戯っぽく笑うローナと2人で宿に戻りラピス達をベッドに寝かせた。

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