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カミーユとロザリーの話  作者: 十月猫熊
第2章 カミーユのお話
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54ダンジョン攻略~初めてのラスボス


ダンジョンの中はさっきの階段のように、壁に灯りがあって、暗いということはない。

でもこれも、ここのダンジョンの特徴であり、真っ暗なダンジョンもあるのだとか。そういうときはライトの魔法を使うらしい。


地下一階は簡単な迷路のようになっていて、ところどころで遭遇する魔物を足元のレンガに気をつけながら倒す。僕やロザリーにとっては敵ともいえないほどの弱い魔物だけだった。


こういう迷路のようになっているところを、マッピングといって、地図に起こしながら進むやり方も教わる。

マッピングは、そのパーティーで得意な者が担当するものらしい。


今回は練習のために僕だ。

四苦八苦しつつ、マッピングをしながら進む。


この階にいる全ての魔物を倒し終えたときに、また地鳴りのような音がした。


「時間短縮のために教えるね。ここに地下二階に行ける階段が出てるはず」


リュシーさんが僕が作ったマップの一部を指さして、階段の場所を教えてくれた。


未踏破ダンジョンだと、どこに階段が出るかも探さなければならないのか…時間がかかるだろうな…と遠い目をしてしまう。


地下二階も地下一階と同じような迷路のつくりになっていて、トラップは、タイル張りの床のとある模様のタイルを踏んではいけないというのと、壁に一切触ってはいけない、というものだった。


気をつけながらまたマッピングをしていくと、地下一階より明らかに広い。


「気が付いた?ダンジョンは、階層によって広さがまちまちなことが多いのよ。広い階層は、強敵がいる合図でもあるわね」


たまたま隣にいたオルガさんが教えてくれた。


「大きなダンジョンだと、数階層おきにそういった強い魔物がいるの。そして、一番最後の階層にいる、一番強い魔物を倒すと、地上に戻れる魔法陣が現れて、ダンジョンから出られるというわけ。ちなみに冒険者用語で、強い魔物をボス、と呼ぶわ。一番奥の階層にいる、一番強い魔物をラストボス、略してラスボスというの」


「もし、どうしても途中で引き返したいときはどうするんですか?」

ダンジョンは一方通行だとさっき聞いたばかりだ。


「ひとつ前の階層に戻る、とかは大抵できないから、外に出て、一からやり直すことになるわね。大きなダンジョンだと、途中の中ボスを倒したところでも地上に戻れる魔法陣が現れることもあるわ。あとは、魔道具で戻るのよ」


「そんなものが…」


「ダンジョン内は、ダンジョンの外とことわりが違うでしょ?だから、普通の転移陣ではダンジョンの外には出られないの。でも、ラスボスを倒した時に出てくる陣を模したものを展開してくれる魔道具があって。これが、くっそ高いのよー!しかも一回しか使えない使い捨てなの!」


「こらオルガ!無駄話禁止。カミーユ君、そろそろマップ見て気が付くと思うけど、ここは渦巻みたいに中心に向かって来てるの分かるかな」


確かに、行き止まりで引き返して、を繰り返しながらマッピングをしてきて、まだ真っ白いままなのは中心部だった。


「ここは、この中心にラスボスがいるのよ。そろそろ戦闘準備だよ」


弱っちい魔物は散々倒しながら来たけれど、いよいよ最後の魔物…ここのラスボスらしい。


緊張しながら迎えた戦闘だったけど…僕が放った氷の槍で四方八方から串刺しにされた魔物は、それであっけなく仕留められてしまった。

拍子抜けする。


「わお。カミーユ君、思ってたよりも強いんだね。これは頼もしいかも」


「うーん、僕ら今回何にもしなかったね」


ザコ魔物はアランさんが剣を一振りすれば倒れていたので、アランさんの中では何もしたことにならないらしい。僕も、魔物が弱すぎたので、弱い魔法で倒してきていた。


魔物を倒し終えると、宝箱と魔法陣が少し離れたところに現れた。


「ほらほら、カミーユ君開けてきて!あ、ボス戦ときの宝箱だけは絶対に本物で中にはいいものしか入ってないって決まってるの」


宝箱を開けると、中には金塊が入っていた。


「わー!金だーすごーい!」


「ね、カミーユ君、冒険者になったら、あっという間にA級になって、ギー達より有名になれるよ。運がいいから、つまりは実入りがいいし、装備とか魔道具とかも潤沢に買えるから、ますます死ににくくなるし。がっぽり儲かるよ!!」


リュシーさんが僕に冒険者になれと勧めてくる。


「ええと…僕、領地があるから…」


「は!そうだった!この子、既に領主様だった!!」


「はは、リュシー、せっかくパーティーを組みたくなるような相手に出会えたのに残念だったな…」


「でもま、明後日からの超難解暗号トラップダンジョンに一緒に挑むのは楽しみになったかな」


「さてと。魔物から出た魔石も拾ったし、行きますか」


アランさんの一声で、僕らは宝箱のそばで光っていた魔法陣の中に入った。

確かにその床に大きく展開している陣はあまり見たことのない系統のものだった。




魔法庁に戻ってすぐ、マルセルさんがホスキンさんに僕が宝箱から宝珠を出した、と興奮しながら報告をして、僕がマジックバッグからその宝珠を出すと、ホスキンさんも驚いていた。


「こ、これは…虹色に光るとは…妖精の涙なんて初めてみました」


「妖精の涙?」


「そうです、宝珠がでることは稀にですがあることはあるのです。ですが私は実物を見るのは初めてです」


「リュシーが鑑定もしたし、間違いはないですよ」


「妖精と関係がある宝珠なのですか?」


「そうですね、本当に妖精の涙なわけではないのです。もともとの宝石に、妖精が力を込めると、その妖精の力の特徴によって色が決まってきます。そして、複数の妖精達の力を帯びていると多色に光るのですが、このように虹色に光るとなると、一体どれだけの妖精が関わっていることか…所有権はあなた達パーティーにありますが、国の宝物庫に入れられておくべき価値があります」


「これを、カミーユ君のロッドにつけたいんだ」


「ああ、そうでしょうとも。今取り付けてある宝石ととりかえましょう。出発までには間に合わせますが、その前に宝玉とカミーユ君の力関係を調べなくてはなりません」


「そうだろうと思って私も付き合うつもりだ」


「マルセルさん助かりますよ…」


…僕そっちのけで魔術師のマルセルさんとホスキンさんが話を進めて決めてしまった。


僕には妖精の呪い…祝福ともいえると言ってたっけ…があるから、その関係もあって、妖精に所縁がより深い宝珠が出たのかもしれない。


「じゃあ、俺らはまた明日来るから、今日は帰るよ。あ、カミーユ君の鎖帷子だけど、銀製にしてくれ。あと靴はオルガと同じのがいいな。じゃ、また明日な」


ギーさんがそういうと、マルセルさんと僕を残して皆は帰ってしまった。


窓の外は日が傾いてきていて、夏で日が長い今は、残業をしていなければ、もう家で夕飯を作っている頃だ。


ロザリー、ご飯どうしたかな…お昼はお弁当を作ってあったからそれで済ませただろうけど。


その後、魔術師庁の人が何人かと、魔術師の塔からも数人が駆け付け、マルセルさんとともに宝珠に触れながら様々な術を行使したときと、触れずに行使したときの差異を調べられ続け…すっかり疲れてしまったのだった。


もちろん消費した魔力の分の食べ物は貰っていたのだけど、次から次へと、興奮した、研究したい人たちにあれこれ指図されるままに、というのは精神的に本当に疲れた…。


ようやく解放された時には、すっかり暗くなっていて、でもこの調査に基づいて、より最適なロッドを作ってくれるという話だった。


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