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カミーユとロザリーの話  作者: 十月猫熊
第2章 カミーユのお話
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37寝落ち


そして、しばらく待って…女の子だからお風呂に時間がかかるんだな、と思っていたけどそれにしても遅い?と気が付いて、さらに水音が一切していないことにも気が付いた。


さっきロザリーが『水音がしなくなったら寝落ちしたと判断して踏み込むからね』と言っていたことを思い出して、浴室の入り口をノックする。

「ロザリー?」声をかけても静かなままだ。


ブノアが、僕が夜遅くに疲れて帰ってきたときにお風呂に入ると、お風呂で寝てしまっていないか、時間を見計らって確かめに来る。

疲れていないときはそんなことはされないのだけど、ブノア曰く、お湯に浸かっているうちに眠り込んでしまうと、かなりの確率で溺れてしまうのだそうだ。


今日の僕らはまだ疲れが残っている。

さっきまさに、僕もうとうとしてしまったじゃないか。


数度声をかけても反応がなくて静かなままなことに不安を感じて、怒られてもいいや、とドアを開ける。

はっ、とした。

眠り込んだロザリーの体は、口元まで水面に浸かり、あと少しで溺れてしまいそうだった。

ブノアの言う通りだった。


「ロザリー!」声をかけても目を覚まさない。


『いったん眠ったら全然起きないんだー』、とは本人からも何度も聞かされたし、ロザリーの実家に泊りに行ったときに、家族がロザリーが起きないことに手を焼いていたのも知っている。


しばらく迷ったけど、お湯も冷めていって風邪もひくかもしれないし、と、浴槽のお湯を抜いて、水瓶に残っていたお湯を温め直して全身をすすいでやって、タオルで体を包む。


…ここまでしても起きないって、これ、寝てるっていうより、意識失ってるってやつじゃない?

心配になるほどだ。


最初はロザリーの裸をなんとか見ないように心掛けたけど、無理だった。


お世話するのに見ないままなんて、無理。


どうにもならないので、タオルで包んだロザリーを寝室に運ぶ。

まだ水気が残っている体に、裸のまま毛布をかけるのも、と思い、バスローブをなんとか着せ付けることが出来た。

髪も、温風を作り出して乾かしてやった。


やましい気持ちは…、これだけ無防備に裸体をさらされると、ただの服を着てないだけのロザリーさんですね、それが何か?という気持ちだった。


どんなおっぱいなのか想像してみたことも無かったけど、目にしてみたら、ああ、ロザリーだったらこんなでしょうね、という感じだったし。


あの、討伐のときに感じたような、あそこがむずむずしてきて熱くなってくるようなことは、今回に関しては起こらなかった。


とにかく、いろんな意味で汗をかきまくりながらロザリーを無事にベッドに横たえ、毛布で包んでホッとしたら、僕の服がびしょ濡れなことに気が付いた。


お湯の中に手を突っ込んだし、濡れたロザリーを抱えて運んだし…。

そして、ロザリーの救命?に小一時間もかけた僕は疲れ果ててもいた。


…もう、いいや…眠い…。


今からこの濡れた状態でまだ底冷えのする夜明け前の町を、巡回する警備の目をかいくぐってそれなりの距離を歩いて帰ることを想像しただけで、気力が萎えた。


僕は濡れて気持ちの悪い服を脱いで、ロザリーがパジャマにするといい、と言っていた服を着た。

かぶりタイプのワンピースで、すとん、と着られたけど、丈が短くて膝上だった。

さっき借りたバスローブがもう乾いていたので、それをもう一度ワンピースの上から着こむと、ソファーに横になってみる。

手すりに頭を載せると、反対の手すりまでの間に上半身がギリギリで、足がまるまるはみ出てしまう。

毛布もないのに風邪をひくな、と思い、横になるのを諦めて、普通に座り、ひざ掛けを足にかけて背もたれに体をもたれかけさせると…疲れているからだろう、すぐに眠ってしまった。


すぐに眠ったとはいえ、寝心地も良くなく、頻繁に目を覚ましてはまたうとうとしているうちに、明るくなっているのに気が付いた。

時計を見ると、そろそろ仕事なら出勤しようか、という頃でもあり、体が同じ姿勢でいることに悲鳴を上げてもいたので、起き出すことにする。


顔を洗ったりしていると、また空腹を覚えたので、夕べ作ったスープの残りを温め、丸パンと一緒に食べた。


まだ眠いし疲れているしで、ぼーっとする。

食べながら、服を洗濯させてもらおう、と思いつく。

数日着たままだったし、夕べ濡らしてしまって、脱ぎ捨てたままだった。


今のままでは、帰りたくても着て帰る服がない。

ブノアかフレデリクに服を届けるなり迎えに来るなりしてもらいたくても、この地区に入ってくることもできない。


食器を片付けた後、またエプロンを借りて、浴室のたらいで洗濯をする。

学院の寮にいたときに、ブノアを手伝ったのがこんな時に役立つなんて、と思いながら自分の服を一式洗い終えたところで、ちょっと考える。

浴室の隅にある洗濯物入れの籠の中が、洗濯物でいっぱいなのだ。


石鹸水を作ったところだし、ついで、だな、と洗濯籠の中身も次から次へと洗っていく。


学院の特別室に住んでいたから、掃除も洗濯もお金を出して寮の職員にしてもらうのではなく、ブノアがしていた。

それを暇なときに手伝ったおかげで、僕は自分が意外とメイドのするような仕事は嫌いではないのだな、というのを知っていた。


今も無心に洗濯をしてしまっている。料理のときにしても、その作業に集中できるのがいいみたいだった。


大量の洗濯物をご近所さんを真似て、窓の外の物干しと、室内に作り付けの物干しとに干していく。

僕の服を室内に、それ以外を外に干していくと、大量すぎて干しきれなくなってしまった。


仕方ないので、籠に入れたままでしばらく置いておいて、掃除をした。風魔法や水魔法を組み合わせた掃除の仕方はブノア直伝だ。


そのあと、昼食を仕込むことにする。僕も服が乾くまではここに居させてもらいたいし、それなら昼食も食べたい。

夕べもざっと見ておいたけど念入りに食糧庫を見ていき、保冷庫の中ものぞいて、思いついた献立で作っていく。

オーブンにパイを入れて、あとは焼きあがるのを待つのみ、となったところで、洗濯物を干すのを再開する。


既に少し風に当てたシーツを半分の幅にたたんで干し直し、空いたところに残りを干す。

最後にさっきより間隔を詰めて、ロザリーの下着とか靴下などの小物類を室内に干していたら、「おはよ…」と髪もぼさぼさの目も半分しか開いてない感じのロザリーが起きてきた。



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