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カミーユとロザリーの話  作者: 十月猫熊
第2章 カミーユのお話
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21辺境での討伐


半年ほど、仕事の合間に熱心に体を鍛えた甲斐があって、自分でも体に厚みが出たように見えたし、疲れにくくなったように感じ始めると、魔法を使っていても、安定性が増している気がした。


そのことを先輩に何げなく話をしたら、興味深い、ということになって、他の部署で魔術師の塔との共同で、体力と魔力量または魔法行使の際の安定性について、というテーマで研究することになったと聞いて驚いた。


僕みたいに普通の人より体力がなく、普通の人より魔力量が多い、というパターンは大抵、塔に就職するので、体を鍛えてみたためしがあまりなかったようなのだ。


なので、騎士団の鍛錬場に行かなくても、研究所内で鍛錬できるようになって、僕も少し楽になった。

騎士さん達は僕が行かなくなることを残念がってくれていたけど。

きっとあまりに毛色が違う僕みたいのが混じることで、鍛錬の場が和んでいたのかもしれない。


それでも、もとが華奢なつくりであるせいか、鍛えてもなかなかマッチョにはならず、騎士さんのような体は諦めてとにかく体力をつけること、に割り切った。


そのおかげで、二年目の夏には、国境沿いに大量の魔物がでた、と辺境伯からの支援要請があったとき、僕たち三人もその調査と討伐のメンバーに選ばれた。


僕はもう20歳になっていた。


夏から秋にかけて三カ月ほど王都を離れることになった仕事だったけど、ここ1年の努力の成果が出て、熱を出すようなこともなかった。


荷物も、空間魔法の陣を縫い込んだマジックバッグと呼ばれる鞄を用意していたので、長期だった割に見た目の荷物も少なく、体が楽だったのかもしれない。


大量発生の魔物は、ゴブリンだった。

ゴブリンがいつの間にか繁殖していて、ゴブリンの村が出来て、さらにそこに統治者としてオーガまでいた。


そんなに簡単にはいかなかったけど、結論から言えば、辺境伯の領軍と協力して魔物を討伐できた。


だけど…。

さんざん日にちをかけて調査して、罠も仕掛け、じっくり作戦を練ってその日は挑んだはずだったのだけど、戦闘が始まってみたらオーガが思っていたより手ごわく、一旦退こうか、という雰囲気になった。


そのとき、何を思ったのか、ロザリーがオーガを挑発した。

それにのったオーガとロザリーが、なんと一騎打ち状態で戦い始めたのだ。


ロザリーは、オーガからの攻撃は短剣と魔法で作る障壁で受け流していたものの、そういった物理攻撃を受ける戦闘の訓練などほとんどしてこなかったので、いなしたりかわしたりが上手くできず、体中かなりあちこち傷だらけになっていた。


力任せに攻撃をしてくるオーガに、ロザリーは見ていてもゾッとするような火炎の魔法をぶつける。

あまりの熱さに、怒りで我を忘れたオーガが、めちゃくちゃに武器を振り回す。


ロザリーはひょいひょい、とそれを跳ねるようにして飛び退きながら、また魔法をぶつけていく。


僕は後ろから補助魔法や回復魔法を飛ばすのが精いっぱいだった。


でもさすがはヴィリエなのか、少々長引いたものの、結局ロザリーはほとんど一人でオーガを倒してしまった。



そしてオーガを倒した後には、魔力も体力もほとんど残っていなかったようで、立つこともできなくなっていた。


僕ら魔術師は、本来後方から魔法で攻撃したり、補助魔法をかけたり、回復魔法をかけるものだから、物理攻撃の戦闘には慣れていないのだ。


タンク役の兵士を差し置いて、自ら挑発をして一騎打ちとは、全くバカなのか!


ロザリーの放つ火炎の威力が規格外だったのでなんとか倒せたけど、あと少し長引いていたとしたら、どうなっていたことか。


僕は頭に来ながら、まだあちこちで残ったゴブリンとの戦闘が繰り広げられている中をかいくぐり、最前線で倒れたロザリーのもとに駆け寄った。


やれるのか、と不安に思いつつも、膝裏とわきの下から背中に腕を差し入れてロザリーの体を持ち上げてみたら、すんなり抱え上げることが出来て、ホッとした。


ロザリーは気を失っていた。

すぐさま回復魔法をかける。


先輩が後処理はこっちでやっておくのでロザリーを頼む、と指示もくれたので戦線を離脱し、テントに運んで、ロザリーの看病に専念した。


ちなみに、後で分かったことだけど、その後は数が多いだけのゴブリンの相手、こっちも数はいたので、その後まもなく戦闘は終了したらしい。

最終的に怪我人は多数出たけど、こちらに死者が出なくて何よりだった。


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