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カミーユとロザリーの話  作者: 十月猫熊
第2章 カミーユのお話
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7魔術学院~第3学年


3年になると、クラス替えはあったのにもかかわらず、相変わらずロザリーとは同じクラスで、いつもと同じ一番後ろの席で隣同士だった。


その頃には、クラスの1番と2番がその一番後ろの席であることを知っていた。


そして3年の授業には少し選択科目が入り始めた。


学年初めに選択科目を選ぶ書類を書くときに、何を選ぶのか口に出していたロザリーと同じものを選ぶようにした。


そんなに深く考えてのことではなかったけど、ロザリーが口にしたものは自分にとっても興味深そうにうつっているものばかりだったから、もしかしたら耳にしていなくても結果的に同じだったかもしれなかった。


ようやく授業内容にも受けごたえのあるものが増えてきて、本を読んで時間をつぶす必要もなくなった。


常に心配してくれていた兄も卒業してしまったので、自分がしっかりしなくては、と気を引き締めつつ、調子の悪い自分の体と向き合って日々を過ごした。


夏季休暇は、ロザリーに会いに王都に遊びに行く以外、大半の期間を実家で静養した。


父の秘書として領地内を飛び回り、父同様滅多に顔を会わせなくなっていた兄には、このような急激な成長期はなかったので、夏季休暇で久しぶりに会った父と兄は、春の学年末休暇からまたぐんと背が伸びた僕に驚いていた。


我が家の専属医からも、急激な成長による体調不良だという診断が出ていたものの、家族や使用人たちが大げさなくらいに心配してくれるので、ほとんど自室で過ごして終わってしまった。


それでも、一月もたてば先月より大きくなったと分かるほどの僕を見て、両親は体調を心配しつつも嬉しそうに目を細めた。

女の子よりも背が低かった僕の身長があのままだったら、と実はかなり不安にさせていたのだと知った。


やがて、今までの面影はどこへ行ったのかというほどに、とうとう顔つきから女の子らしさは消え、手は細いままなりにごつごつとし、喉ぼとけができていて、身長は男子の平均より高いくらいまで伸びていた。


ほぼ1年でそれほど変化したのだ。

数年ぶりに訪ねてきた親戚が、僕がカミーユだと一瞬わからなかったのは無理からぬ変化っぷりだった。



体や心をどうにかなだめながら過ごし、16歳の誕生日を迎え夏季休暇が終わる頃に、ようやく体調不良が落ち着き始めた。


それでも本調子ではなく、体調が悪い日も多かったけど、少しだけマシになったのだ。



「ほんとロザリー小さくなったね」

「だからカミーユがでかくなったんでしょ、喧嘩売ってるの?」


休暇明けには、そんな会話が増えた。

選択授業で教室移動のときに、連れ立って廊下を移動する間の会話も楽しかった。


そして、いままでよりもさらに可愛らしくなってきたロザリーに、話しかけようと試みる他の男子がいることに、気が付き始めた。


僕はそういう男たちを、ロザリーに気付かれないように、先輩だろうがお構いなしに追い払うようになっていた。


幸いにしてロザリーは驚くほどの鈍感であったので、近づこうとする者を僕が片っ端から威嚇して追い払っても、全然気が付かない。


ロザリーに話しかけようと寄ってきたのに、急に顔色を変えて離れていく不審人物を見れば、何か気が付きそうなものなのに、「どうしたんだろ?お腹でも痛くなったのかな?」と首を傾げている。


そうして、三年の終わりにはロザリーには番犬がいる、という認知が広まって、だれも声をかけては来なくなった。


でも鈍感なロザリーは、僕が側に居さえすれば、周りに人が寄ってきていないことに気が付かないようだった。まあ、今までもそうだったのだから、変わっていないだけ、でもあったし。



ロザリーは僕の友人だ。

ロザリーにとっての一番の友人の座を誰にも譲りたくはない。


それは、女性の親友がいたうえで、男性の中では一番の友人、というものではなく、全ての友人たちの中での、一番、になりたかった。


寮でも以前にも増して、談話室で一緒に過ごし、男女ともに近寄るなアピールをした甲斐があったと思った。


ロザリーのルームメイトが強敵になるかと思ったが、彼女は3年になってすぐに5年の男子生徒と交際を始め、ギリギリの時間まで寮の部屋には戻ってこないようだったし、彼女ではロザリーの話し相手としては能力が足りないようだった。気のいい子ではあったようだが。


そんな風にして1年が過ぎた。

ちなみに成績は昨年に引き続いての体調不良と、僕がロザリーのことばかり考えてしまうせいで集中を欠いて…通年で定位置の2番だった。


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