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カミーユとロザリーの話  作者: 十月猫熊
第2章 カミーユのお話
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6魔術学院~第2学年


学院で2年目に入り、クラス替えがあったのだけど、僕とロザリーは無事に同じクラスになれた。

そして、昨年同様、席も隣だった。


教室の一番後ろの窓側にロザリー、その右隣に僕。

去年と同じ配置に、学校側がペアを組ませる相手を考慮して決めていることを確信した。


2年目でも、授業内容は僕らにはなまぬるくて、授業中はさらに難易度の高い魔術書を読む合間に授業を聞くような状態が続いた。


寮や学舎での食事の時間は、ロザリーが一緒にいるのであるなら、兄と一緒じゃなくてもいい、という許可が出たのは大きな変化だった。


1年の半ばから、兄と僕とロザリーの三人でご飯を食べることも徐々に増えていたので、ロザリーが兄からの何か試験のようなものを合格したのかもしれなかった。


夏季休暇に入ってすぐに僕の誕生日があるので、僕は15歳になった。


実家に帰っても、兄は友人たちと何かと約束があってあまり家におらず、妹や母と過ごす毎日がつまらなく感じて、何かと用事を作っては王都に出かけて、ロザリーと会った。


王都の公園を2人…厳密にはブノアもいるけど…で散歩するだけでも楽しかった。


それに、ロザリーと二人だと、街中を歩いても、注目はされても、何故かあまり話しかけられたりしないで済むのだ。


なんでだろう?と思わずつぶやいたら、ブノアに「お二人で作り上げている雰囲気に入り込もうと思えるずうずうしい神経の持ち主は、そうそういないでしょうねえ」と言われて、どんな雰囲気なのかと聞いてみたけどそこは曖昧に誤魔化された。


ふと思いついて、夏季休暇中の課題を一緒にやらないか、と誘ってみたら、大いに乗り気になってくれて、ロザリーの家に泊まり込みで取り組むことになった。


二人で集中してやると、一人でやるよりもはかどる気がして不思議だった。



夏季休暇の終わりごろ、ロザリーの姉のルイーズさんが嫁いでいった。

僕も結婚式の後のパーティーには招待されていて、もっぱら、「お姉様ーお嫁に行っちゃ嫌ぁー」と泣くロザリーの慰め係だった。


新郎も新婦も美男美女で、とても幸せそうで、大人になったら僕もあんな風に誰かと結婚して幸せそうに笑う日が来るのかなあ、とぼんやり思った。



学校が再開し、普段の生活に戻った僕は、今度こそ一番を目指してきちんと勉強をした。


なのに、前期の期末テストは、ある科目のテスト中に僕がどうしてもお手洗いに行きたくなってしまって、テスト開始20分で答案用紙を提出してお手洗いに駆け込んだので…。


結果としてはやっぱり僕が二番でロザリーが一番だった。



テスト休暇でロザリーの家に滞在中に、お腹が痛くなってお手洗いに駆け込んだせいで満点を取りそびれたはずだ、と嘆いていたら、「お腹を冷やしちゃいけないのよ?」といって、腹巻というものを毛糸で編んでくれた。


編みあがっていくのをずっと見ていたので、受け取ってからは嬉しくて毎日つけていたら、お腹にあせもができて、ブノアから寝るときだけにしてください、と叱られた。



そして、2年の後期に差し掛かったころ、急に身長が伸び始めた。

それと同時期に声変わりも始まった。


入学してからずっとロザリーより小さかったのが、やっと同じくらいになっていた程度だったのに、ブノアが服の用意が間に合いません、と泣き言を言うほどに急に大きくなりはじめたのだ。


そして、ひどい体調不良に襲われることが多くなった。


ただ廊下を歩いていただけなのに、急に気分が悪くなってめまいがしたかと思ったら倒れてしまったり、体のあちこちが痛くて夜眠れなかったりした。


そして声変わりも始まって半年ほどたつと、自分でも見た目が男に変化していることを実感した。

そして、『男』になっていく変化を目の当たりにして、いかに自分が今まで女の子に近かったかをようやく理解した。


髭もうっすら生えるようになったときには、感慨深かった。


声を出そうとすると、ひどくかすれたりひっくり返ったりするので喋るのが億劫になってロザリーといても無口がちになった。


「本当の本当に、男の子だったんだねえ…」というロザリーのつぶやきに突っ込む気力も起きないくらいに、体調が良くない時期だった。


さらに、良くないことは重なるのか、視力も悪くなっていった。

授業中や自室で勉強をするときには、メガネがないと文字が読めなくなり、でも長時間かけていると頭が痛くなってしまうのだ。


「ふおーメガネ男子のカミーユって…、また新たな魅力で女の子たちをメロメロにしようとでも?」

かけたくてかけているメガネでもないのに、ロザリーにそんなことを言われて、不機嫌になってしまう。


ありとあらゆることがらに嫌気がさして、常に機嫌が悪く、いつもイライラしていた。


ロザリーにもつっけんどんな態度をとったりもしたけど、「お兄様も今はなんかそんな感じだし」と気にしていないようだった。


体調不良のあまりに授業を休んで、寮で寝ている日も多かった。


ブノアによると、あまりに急激な成長で、骨や内臓などの成長のスピードがアンバランスとなり、体に負担がかかっているのだそうだった。


それは後日、校医に診てもらっても、ブノアと同じ見立てだった。


のほほんとして、印象に残らない顔で、いつもにこにこして側に控えてくれていたブノアが、実は優秀だったのかと少し見直した。


少食なのに、3度の食事以外に、ブノアが夜食を用意してくれて、ひたすら食べさせられた。

特別室には簡易キッチンもあるのだ。


「今は体を作る材料となる食べ物をしっかり摂ってください。それに、魔力を使うとお腹が減るのです。良い魔術師となるためにも騎士様達と同じくらいは食べられるようになっていただかないと」


二言目にはそういって料理の載ったトレーを差し出してくる。


ブノアは料理も上手で、栄養のあるものをマメに作ってくれた。


思えば料理に興味を持ち始めたのはこの頃からだったかもしれない。

たまに、二人で並んで夜食を作るようになり始めていた。



2年の学年末はそんな状況で全然集中できなくて、やっぱり満点をとることはできない科目があって、またしても2位に甘んじた。


ロザリーが第3学年でも奨学生となることが決まってホッとした部分もあったし、もはや定位置かな、という気がどこかでし始めていた。


さすがにもう無邪気な子供じゃないので、ロザリーの実家は貴族としては相当な貧乏であることは、もう十分にわかっていたから。


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