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カミーユとロザリーの話  作者: 十月猫熊
第1章 ロザリーのお話
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「ロザリー、起きて。ご飯食べる時間なくなっちゃうよ?」

盛大によだれを垂らして眠っていた私は、ご飯!と飛び起きる。


今まで、私にとって何に時間を費やすかは、特別枠に私の天使な甥っ子シャルルとの時間、そして1位に睡眠時間、2位に魔術のこと、ぐっと引き離されての3位に食べること、だったのに。


今は1位を、『睡眠』と『カミーユの作るご飯』が競っている。


ええ、本能で生きておりますが。何か意見のある方は挙手で。


食べることは好きではあったけど、睡眠の方が断然優先だったんだけどねー。

もう、カミーユのご飯は神がかっているのですよ。


私ほど惰眠をむさぼらずにすむらしいカミーユは、毎朝早く起きて、朝ごはんと二人分のお弁当を作ってくれる。


あの、外出禁止令のせいで我が家に閉じ込められた休暇の最終日に、ご飯作って、と私がお願いして、それを承諾してもらってから、もう2ヶ月以上経つんだけど。


カミーユさん、あのままずっと私の家に寝泊まりしているの。


よく考えたら、朝ご飯となれば、こうして早朝から作らねばならないし、晩ご飯は食べ終わったらもう眠いよね。私は眠い。


そうなると、カミーユは自分の家に帰って寝る時間なんて取れないわけでした。


相変わらずの考え無しでごめん、カミーユの家は大丈夫なの?と謝って心配をしたら、それを機に、ちょっとずつ増えて来てたカミーユの荷物が、ある休みの日に、どかんと大量に我が家に持ち込まれ、びっくりした。


まあ、我が家のクローゼットもタンスも棚もスッカスカだったし、もともと単身者用物件じゃなかったから狭くて暮らせない、なんてこともないし。


ご実家は、他人の家に転がり込む息子に何か言ってきたりしないのか、と心配したんだけど、何にもないみたいだった。不思議。


私の方は、実家に居候をおくことになりましたー、って手紙鳥で報告したら、そいつを連れて家に来い!と、即、お父様からの返事があって、同居を始めて次の最初の休みの日は、カミーユは私の実家で過ごす羽目になった…というのに。


男の子の親と、女の子の親の違いかしらねー。


ちなみにその実家で過ごした日は、お姉様もシャルルと共に実家で待ち構えていたので、私はシャルルをかまうのに夢中になっていて、カミーユが両親やお姉様、お兄様とどんな話をしたのか全く聞いてなかった。


でも、カミーユのことを、うちの家族は既にこれ以上なく良く知ってたわけだから、今更紹介もしなかったし、もちろん求められたりもしなくって。

だってカミーユが私の実家に泊まるのも、もう何回目かわかんないよね?だったから。


学院は王都にあるけど、カミーユの家族は普段は領地に住んでいるので、テスト明け休みで5日間休みです、なんていう中途半端な休みの時は、カミーユを我が家に誘ってあげていた。

カミーユの実家の領地って王都から片道2日もかかるからね。


だって大抵の子が実家か王都のタウンハウスに帰るのに、寮に残ってるなんてかわいそうじゃない?


あ、カミーユの妹ちゃんが入学してからは、妹ちゃんも良かったらどう?って誘ったら、可愛い女の子とお近づきになりたいという私の下心がバレたのか、彼女は彼女の友人の家に行くから、とカミーユにばっさりと断られたの。


それでまあ、その時の感覚で二人で実家に行っただけだったんだけど、居候がカミーユで間違いないと確認できたからか、なんかお父様も帰るときにはすっかり落ち着いていた。


そうして今に至るんだけど。


カミーユって思ってたより生活面では即断即決タイプだったんだよね。仕事での慎重さからは意外だった。


そして、ベッドをなんでかこの人持ってきてくれなくて。

それなら買おうって言ってるんだけど、実現しない。

私が使ってた小さい一人用ベッドで、なんならもはや、寝付くときから抱き枕にされて寝るのが常態化しつつある。


今はまだ初夏で夜は涼しいので、あったかくていつもより早く寝入れる、という感想だけど、本格的な夏が来たら暑苦しくて、寝られないのではと心配なのですがね。


寝ぼけ眼のまま洗面所に向かって、顔を洗って目を覚まして、ご飯の並んでるテーブルにつく。


ああ、今朝も幸せです、神様ありがとう。


最近は本気で神様に感謝を捧げて、カミーユ謹製のご飯を食べる。


ご飯の時にも、そのあと仕事にいく服に着替えてぽてぽてと歩いて通勤するときも、カミーユとは話題が尽きることがない。

学生時代から一緒にいてそうだったんだから、まあ、当たり前なのかな。


でも、二人とも黙って歩いてることだってあるし。

今、気持ちいい風吹いたなあ、って隣の顔をみれば、同じことを思ってる顔してて、そんなときは、わざわざ話したりしない。


なんか、美味しいご飯だけでなくて、家のことも手分けできるお陰か、カミーユが居候になってから、生活が充実してる感じがして、そして仕事もはかどる気がしている今日この頃。


同じチームのジョルジュ先輩も一緒に暮らしたらいいんじゃないか、と提案したら、「ば・か・な・の?」ってものすごく怖い感じで言われたので、その件には二度と触れないように気を付けている。


でもねー、先輩を仲間外れにしてるような気になることがあって。


三人でお昼ご飯食べながら打ち合わせしてるときとか、私達はお弁当なので同じお昼ご飯だけど、先輩だけ買ってきたりしてるわけで。


たまに私がお弁当を分けてあげようとするんだけど、先輩はいっつも断るんだよね。でもカミーユが分けるときは受け取ってて、その辺りは謎。


私が作ったものじゃなくて、カミーユが作ったものだから、カミーユからなら貰ってもいいと思ってるのでは、という推測はしてるけど。



今日も一緒に出勤して、そのまま二人で並んで席について…だって職場の机が相変わらず隣同士だから…お互いにがさがさと朝の雑用を終わらせてしまおうとしていたら、始業時間前だっていうのに、所長とジョルジュ先輩が来て、所長室に連行された。



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