第9話 警戒心がない理由
リテクスさんはまったりしてしまっているし、王様はおいしいものは分け合いたいタイプらしく、気に入ったのがあると、近くを通る使用人の口に無理矢理入れていく。
働いてる方としては嬉しいんだか迷惑なんだか、複雑な気持ちだろうな。
というか話を進めたい。
「あのー。話というのは何でしょうか」
一斉に視線を向けられて心臓がバクバクしている。怖いよ。
というか、声が戻ってる。
きっとプラシー茶のおかげなんだろう。
「そうですね。陛下、お願いします」
「うむ。リテクスと、この者以外は退室しろ」
王様の言葉に護衛の兵士さんや執事さんが驚き、それは駄目ですと俺を睨む。
「何、大丈夫だ」
「大丈夫だ。ではありません。彼は牢に入っていた者ですよ」
「それは我らの手違いだ。彼を罪人とは思うな」
周りは納得していない様子ですよ。
何度目かに襲われる不安を消すようにプラシー茶を一口飲んだ。
「ならばこうするまでよ」
王様は手を前へ出すと空中に、円形の中に納まる様に幾何学模様が描かれた、ゲームに出てくる魔法陣のようなものを出した。
「これでいいだろう。我ら三人の声は外に届かぬ」
ファンタジーでよく出てくる防音魔法とかいうやつだろうか。
この世界も誰かのご都合主義で成っているんだろうな。
「陛下、術を使用する時は周りの方に何の術を行使するか、きちんと伝えてからにしてくださいね」
どこから出したのか、リテクスさんは紙に『防音魔法使用中』と書いて、執事さんに見せていた。
ここの城勤めは大変そうだな。
「単刀直入に言うが、お主は日本人ではないか ? 」
「…………はい、そうです」
「そうか、そうか」
ご満悦でお茶をすする王様。話ってもしかしてそれだけなのかな。
「陛下、ニオ…ニホジン、とは ? 」
リテクスさんには言いづらいらしい。何度も言い直してたけど上手く発音できていなかった。
「日本人だ。我が前世暮らしていた国よ」
そうなんだ。だから発音が正確……。今、暮らしてたって言った ?
「えーっ ! ど、どういうことですか ?! 」
「ははは、驚くよな。我は日本の専門学生だったのだ。目の前にあのプラスチックのボトルを持ってこられた時は、一瞬時が止まったぞ」
王様の話によると、彼は俺と違い転生したのだそう。
読んで頂きありがとうございます。
今回はちょっと長めでした。




