第10話 もっと緊迫してもいい
どんな理由かはわからないが、生まれてすぐに日本の生活を思い出したらしい。
「貴族制度は有名な国があるからなんとなくは理解していたが、王族となると話は別だろう ? 己で試行錯誤の結果こうなったのよ」
とりあえず偉そうにしてればいいやってことに落ち着いたらしい。
日本と海外は違うから自国のことは多少理解してても、他国の、特に西洋のことは難しいよね。
マナーとか違うだろうし。
ティーカップをソーサーに置いた音だけで、厳しい目を向けられるとは思わんのよ。
「さっきからお二人で何語を話されているんですか ? 」
「「え ? 」」
急に投げかけられたリテクスさんからの疑問。
「あー。我がさきほど話した前世の国の言葉だ。この国や世界の者が理解できないのも当たり前だ。気にするな」
そうですか。と、もそりとクッキーを口にするリテクスさんと、豪快に大口をあけて食べる王様。
(そういえば、あいつと会ってないな)
「気にするな」の言葉で思い出す、牢に入れられるきっかけになった幼馴染みそっくりなあの男。
気を失ってから今までに再会をしていない。
まあ、会ったところで何もないんだが。
会わなければ、それはそれで気になる。
「あの、俺が気を失った時に少年ともう一人いたと思うんですけど」
「ああ、あの村人ですね」
リテクスさんは険しい顔で言う。
「無実の者を牢に入れた者として、今度は彼らが入られてます」
「えっ ! 」
「驚くことがあるか。この世界はそういうところだ」
そうなんだろうけど、なんだか気分が悪い。
「お主の事を犯罪者だとうるさくてな。魔術師や研究者が説明しても納得せんでな」
そこまで無実の証拠を頑なに拒むのはなぜなんだろうか。
「だからな、頭にきてラムネを口の中にいれてやった」
何やってんだこの王様は。
でも、ラムネを良くない薬と思ってるんだから、罰として食べさせられたと思っているのではないだろうか。
「ラムネを口に入れたんだがな……」
リテクスさんも王様も神妙な顔になる。
「どうやら誰かが本物の薬とラムネをすり替えていたようなのです」
「は ? 」




