第4話 転んだ先は
いつもの通りに母さんに起こされて食卓テーブルにつき、用意されたあたたかな食事を口に運ぶ。
好物のおかずを取ろうと腕を伸ばすと、背中が引きつって痛みが走る。
(マジで痛ぇー。風呂入った時鏡を見なきゃよかった)
「珍しいわね。こんなゆっくりなんて」
「え ? 」
わざとらしく目を丸くしながら壁掛け時計を指し示す。
時刻は朝八時五分。
「…は ? 遅刻じゃん ! 」
慌ててスクールバッグを手にし玄関を飛び出した。
二、三段階段になっているところで何もないのに躓く。
「あっぶなっ ! 」
躓いた時に体に少々、よくわからない浮遊感と違和感を持ったけれど、このままだと顔面から地面にぶつかると思って強く目を閉じた。
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うん。
青い空に白い雲。
頬を撫でる風は澄んでいて気持ちがいい。
それはいい。
いいんだけどさ。
「あ、あのー…大丈夫ですか ? まあ、牢に入れてしまった側の人間が言うのはおかしなことですが」
ははは。なんて後頭部をかきながら苦笑いする声が横から聞こえる。
俺は「あんた誰」なんて訊くことはできず、目の前に広がる光景が信じられなかった。
「な、なんで……」
(なんでまた、牢から外へ続く階段にいるんだ ?! )
ついさっき。いや昨日 ?
母さんに声をかけられて風呂に入ったよな。
鏡に映った背中の傷を見て驚くどころか恐怖で。
朝、学校に遅刻しそうになって玄関の階段でこけた。
(脳内パニックで叫びたいんだが ! )
「本当に辛かったですよね」
再び上手く動かせなくなった体で、頭をゆっくり横へ向けて目を疑った。
線の細い青年は、双子ですかと訊きたいほどにクラス委員長にそっくりで、彼が着ている服を目にしなければ、現実なのかそうでないのかわからない。
ファンタジーアニメに登場する中世の文官服みたいなものを着ている。
「急に倒れてそのまま手当も無しに罪人扱いなんて」
頭上から湯気でも出るんじゃないかってくらい怒ってる。
反して俺は冷静だった。
冷静 ? いや、違うな。
パニックを通り越した冷静だ。
しかし、何がきっかけになってここに来るんだ ?
わからん。
頭を両手で抱えたくても縄で縛られていて動かせない。
「やはりショックが大きいんですね」
線の細い青年(面倒くさいのでこれからは文官くんと呼ぼう)は、可哀そうにと哀れんだ目で見てくる。
いや、勝手に牢へ入れたのはあんたらの方でしょうが。
歩いた先には神殿みたいな、城みたいな、西洋風のでかい建物が聳え立ち、文官くんに縛られていた両手の縄をはずされた。
「リテクス殿、何かされるかもしれませんよ ! 」
文官くんはリテクスさんというのか。
初めて真正面から見たが、やっぱりクラス委員長だ。
俺はそんなことはしないけど、手を出すなと睨んでくるのはこの世界 ? 国 ? の兵士だろう。
なんか華やかな鎧を着てるし、騎士かな。
「大丈夫ですって。何かする気があるのならとっくに暴れていますよ」
一応俺は罪人なんだよな、不本意だが。
こんなに楽観視していいのかね。
読んで頂きありがとうございます。
ストック分が無くなってきましたので、以降誤字脱字が目立ってくるかもしれません。
少しでも面白い・楽しいと思っていただけるよう頑張ります。




