第26話 宅配希望!
「話を割いて申し訳ありませんが、魔術の方は……」
誰かにそう言われて欄を見る。
「俺は生育って書いてある」
「ミストフィレリ様の加護の影響でしょうか」
簡単に言えば植物や動物の成長に関わる術だそう。
「僕はネームってあります」
「「「ネーム ? 」」」
名前ってことだよな。
部屋の中は騒がしくなる。鑑定と一緒で珍しいものだってことだろう。
「誰か知ってる者はいるか ? 」
知らないのか。
え。ということはまたレアを引き当てたのか。
「マサト様はまた珍しいものを引き当てましたな。もしかして、自分の鑑定スキルでどういうものか理解できたりしますか ? 」
周囲から質問攻めになり焦っている真斗は、俺をチラ見して助けを求めてくる。
助けようとしても弾かれてしまえば無理な話。
「落ち着きたまえ。可哀そうではないか」
鶴の一声。
王様の一言で真斗から離れていく文官たち。
服を見ると牢の前にいた一部の人たちと同じ。そう、魔術の専門の方々だ。
だから囲まれてたのか。調べたかったんだろうな。
「何かモノに送り先の相手の名前を付与できるらしいです」
「なんですかそれ」
首を捻るのは、俺と真斗や王様を除いた人たちだ。
もしかしなくともそれって、宛名書きの魔術 ?
ということは真斗が元の世界に戻ったら、俺に送りたいものにネームの魔術を使えばいいってことだろ…でも待てよ。
「俺らの世界には魔術なんてものはないぞ。真斗があっちに戻っても使えるかわからない」
真斗はハッとした顔をする。
「そうだよ ! 僕たちの世界にはないんだった」
目の端っこで俺たちの会話を耳にしていた面々が肩を落としている。
特に魔術特化の方が。失礼な人たちだな。
「お二人の世界にはないのですか !? ならどのようにして戦うのですか」
信じられないという表情のリテクスさん。
「因みに俺たちのいた国には今のところ、戦争もないし、クーデターもないよ」
「魔とつくものはすべてないですね。リテクスさんが思いつかれていることはほとんどないと言えると思います」
話を聞いていく内に、だんだんと訝しむ彼。
「リテクスたちはこの世界しか知らんからな。こっちの世界の生活などは、あっちの世界じゃお伽噺よ」
眉尻を下げて言う王様にやっと、という感じで「そうなのですね」と弱々しく返した。
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