第25話 やっぱりね
真斗と俺は案内をしてもらっていた客室へ、各々戻ってきた。
「どうしたものか」
偶然にも転移してきてしまった異世界。
流されるまま過ごしてきた…というかそうなるようになってしまったというか。
神様からはとんでもない話を聞かされてしまったし。壮大すぎるって。
「俺は真斗よりは行き来に慣れてきただろうし、やっぱり向こうへは」
ぶつぶつと声に出して頭の中を整理していると、扉をノックされた。
「はい」
「僕、真斗だよ」
いつの間にかいた護衛兵士さんが、そっと扉を開け確認すると、問題がなかったのか部屋の中へ通された。
そこまで警戒するものかね。
真斗に椅子を勧めていると、どこからか人が来てお茶を用意してくれる。
「で、何かいい考えでも浮かんだ ? 」
「んー…。考えというか僕の希望だけど。歪みが直ったら元の世界に戻れないんだって思うと、話づらいな」
「そうか。……多分、俺と真斗が考えてるの同じことだと思う」
互いになかなか言い出せないでいると、護衛兵士さんが口を出してきた。
見ててじれったかったのだろうな。
「ご自分が元の世界へ戻るか、こちらの世界に留まりたいか、同時に言ってみてはどうでしょう」
それも一つの手だとなり、護衛兵士さんの意見を採用することにした。
彼が合図を出すと同時に一斉に言う。
「戻りたい」
「留まりたい」
彼は目を丸くしていたが、俺はニヤリと笑ってみせた。
やっぱりそうなるよな。
こっちの世界の方が気持ちがわくわくするんだよ。
元の世界と違って同じことの毎日でも何かしらのスパイスが入ってきそうで。
「すぐに決まったな。真斗とはこれっきりでなく、パイプ役になってもらいたいんだ」
「パイプ役 ? 」
「そう。元の世界とこっちの世界の。例えばこっちにないお菓子を歪みが開いた時俺に渡すとか」
「ああ。なるほど」
どこか呆れたような関心したような表情で笑う。
この城で世話になるのもいいけどさ、出て行くにはいい加減だと思うんだよな。
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