第15話 こっちとあっち
普段と何ら変わったところのない、勉強机にしているローテーブルとベッドが真っ先に目に入ってくるはずなんだが。
一瞬空間 ? が歪み、現実に戻ってくるまえにいた地下牢の風景が見えた。
「相変わらず何もない部屋だな」
「うっせ。親がうるさいんだよ。文庫本しか置いてないよ」
「一冊ぐらいライトノベルとか紛れ込ませてみたらどうかな」
幼馴染みは俺の部屋を物色し始める。
文庫本しかないとは言ったが、クローゼットにはゲーム機が隠してあったり。
ライトノベルなんかの小説はスマホでたまに読んでるくらい。
「話。聞いてくれるんじゃないのかよ」
「何かゲームとかやりながらの方が話しやすいかなって思って、ソフトは持ってきたんだけど。機種も持って来るべきだっ…た……」
人の部屋のクローゼットを開けたまま固まってしまった幼馴染みは、顔を真っ青にして俺に振り向いて言う。
「お前の部屋、どこに繋がってんのさ」
「は ? 何言ってんのさ」
「こ、これって。地下牢だよな ? 」
はい ?
今、なんて言いましたか ?
「ち、地下牢って…… ! 」
慌てて幼馴染みの体を横へ押すと、クローゼットの中には嫌でも見慣れた場所と人が存在していた。
「……え ? 」
地下牢にいる強面さんも、牢の柵外にいるリテクスさん含めその他の人たちも、驚きのあまり声がなかなか出ないでいる。
やっと口を開いたのは強面さんだった。
「お前、一体どっから入ってきたんだ」
「俺にも分からないです」
現実世界で、俺の幼馴染がクローゼットを開けました。
なんて丁寧に説明したところで、皆さんはご理解いただけないだろう。
「とりあえず紹介します。俺の幼馴染みでそこに転がってる人と瓜二つな人です」
「「「えっ」」」
「ど、どうも……」
目を丸くして驚くリテクスさんに、幼馴染みも驚く。
「クラス委員長ってコスプレ趣味あったっけ ? 」
「多分ない。聞いたことないよ」
俺の返事を聞きながら、地下牢の床に転がっている男を指し示した。
「なあ、そこにいるのってもしかして…僕 ? 」
あー。ものすごくややこしくて、ものすごくよろしくない状況になったな。
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