第14話 学校帰りだった
幼馴染みには気を遣わせてしまった。
ソフトクリームを口にしながらも、頭の中はぐちゃふちゃで、傍から見たらボーっとしていて塀や電柱にぶつかりそうになっていたらしい。
そして空返事。
「本当に大丈夫 ? 何かあったんなら話を聞くよ」
意識が浮上してきた時には、俺の家の前に着いていた。
幼馴染みの声への反応が遅れた。
「すまん、ありがとう。俺も誰かに話したいんだけど、頭の中が混乱してて、どう言ったら良いのかとか、信じてもらえるんだろうかとか、訳がわからないんだ」
話しているうちに声は震え、大きくなり、自分で自分の髪を強く握りぐしゃぐしゃとした。
「……俺には話せないか ? 」
乱れた俺を見た彼は、いつもと同じ優しい笑顔で訊いてくる。
どこからどこまで ?
どこを省いた方がいい ?
「誰にも言わない」
「…………」
「聞いたことは誰にも言わない。今まで約束破ったことあった ? 」
そうだ。見た目で優柔不断と思われがちだが、漢だと言われることが多い奴だった。
「話せるかもしれない。他言しないことを必ず守ってくれるなら」
「わかった。荷物置いて服を着替えてくるよ」
そう言って隣の家の玄関へ入っていく。
俺も自宅に入る。どこかも分からない世界の牢でも執務室でもなく。
どこにでも存在している、耐震対策バッチリの築十年以上の一軒家だ。
「おかえりなさい」
「ただいま、母さん」
姿を目にした時、普段と違い「母」と声を出して言いたくなった。
「なあに ? 」
「これから隣のが来るんだ」
「そうなの。お菓子と飲み物どうする ? 」
「自分でやる」
冷蔵庫から某有名メーカーが作った新作ジンジャーエールを取り出し、パントリーからチョコレート菓子やチップス、揚げせんなどを取り出し二階の自室へ持っていく。
「はあー」
自分の部屋のドアを開けたらまたあの世界でした。なんてことはないよな。
ドアノブに手をかけて開けるのをためらっていると、背後に慣れた幼馴染みの気配を感じた。
「なに立ったままで。早く入って話をしようよ」
幼馴染みは俺の部屋のドアを勝手に開けた。
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