第13話 マジでわかんない
幼馴染みに似たこの顔が苦痛に歪む表情を目に入れたくない。
この世界のこいつは好ましい奴じゃなかったけど、現実世界のあいつを思い出させるところもあるんだ。
「ーい。おーい ! 」
「へ ? 」
思考の深くから意識を取り戻す。これで何度目だって思ったのだけれど。
「なんかずーっと、心ここにあらずな感じだけど何かあった ? 昨日のテストの点が悪かったとか」
「テストの点 ? つーかお前……」
言いかけてやめた。
言葉が出なかったから。
さっきまで地下牢にいて、牢の中で苦しむ目の前の男の姿を見たんだ。
なのに、何がきっかけで戻ってきたんだよ。
「さっき地下牢いたよな」
こいつの返事次第だが、メンタルのおかしな奴になってしまったと思われるか、冗談を言ってると思われるか。かけた質問をしてみた。
「な、なに言ってるんだよ。現代に地下牢なんてあるわけないだろう。資料館にはあるかもだけど」
「まあ。そうだよな」
「そうだよ。それよりあそこの売店行ってみようよ、おいしそうなソフトクリーム売ってるんだ」
いつもの住宅街。
いつもの帰宅時間、だと思う。寄り道してるから。
違うのはいつも通る商店街の中に、限定販売なのか北海道のミルクを使ったソフトクリームの売店があった。
幼馴染みは楽しそうに店主に注文している。
「はい、ソフトクリーム二つね」
「わー、おいしそうだ。ほら、一緒に食べよ」
「あ、ああ。…………は ? 」
ありがとうございましたー。と言う店主の顔を見て体が強張る。
そこにいたのはエプロンをして、頭をバンダナで覆った脳筋騎士くんがいたのだ。
何でだよ。
お前って、あっちの世界の人じゃないのか ?
(一体どうなってんだよ。さっきのこいつの返事も何か引っかかるし)
頭の中がぐちゃぐちゃで、誰かに話し相手になってもらって整理をしたい。
自然と溶けて、手に垂れてくるソフトクリームをながめ、どうするかを考えながら口へ運ぶ。
まだ、誰にも言わない方がいいのかな。
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