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女神様に「観光マップを作って」と頼まれたので、ワンタップで世界のバグを消去しながら美少女たちと絶景巡りの旅に出ます  作者: 悠々


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第044話:墜落寸前の天空都市と、ポンコツ調査


 澱んだ水が流れる運河のほとりで、アキラたちは一人の不思議な少女と出会った。

 その少女は、透き通るような美しい淡いブルーの髪に、クリスタルで作られた星のような髪飾りをつけていた。しかし驚くべきは、その背中に虹色にきらめく小さな羽があること、そして水路に浸かった下半身が、魚のような美しいエメラルドグリーンのヒレになっていることだった。


「まあ……! 有翼の、人魚ですわ……!」


 フィリアが目を丸くして呟く。


「うん……。空も泳げて、水も泳げる精霊の一族。初めて見た……」


 エルナも珍しそうに少女を見つめた。


「あっ、みなさん……。こんにちは……。私はセリア。この天空運河の水先案内人をしています……」


 セリアはおっとりとした、少し弱々しい声で挨拶を返した。


「セリアさん、どうしてこんなに悲しそうな顔をしているの? それに、この綺麗な運河の水も灰色でドロドロだよ……」


 サリアが水路を指さしながら尋ねると、セリアは涙を浮かべて答え始めた。


「そうなんです……。都を浮かせるための魔力を生み出す『浮力炉』と、運河の水をきれいにする『循環浄化回路』の魔導石碑がバグを起こしてしまって……。このままでは都の水路が完全に死んでしまうだけでなく、あと数日もすれば都の高度が下がりきって、下界の山脈に衝突して墜落してしまいます……」


「都が墜落!? それは大変ですわ!」


 フィリアが顔を強張らせる。


「ふふん! 大丈夫ですよ! この程度のエラー、神界の管理システムを使えば一瞬でデバッグできちゃいます!」


 リアが胸を張り、懐から自身の魔導端末を取り出した。


「おっ、リア様、さすがですね。手伝ってもらえると助かります」


 アキラが感心して見守る中、リアはドヤ顔で端末の画面を操作し始めた。


「任せてください! えーっと、浮力炉のIPアドレスを入力して、デバッグの許可コードを送信して……あれ? エラーが出ちゃいました。もう一回、これでどうだっ! えいっ!」


 リアが画面を連打した瞬間、端末の画面が激しく赤く明滅し、石碑へと繋がる都の魔力ラインからバチバチと不気味な赤い火花が激しく吹き出した。


`【警告:接続エラー。不適切な管理者コマンドにより、魔力炉の制御負荷が200%に増幅されました】`


「あ、あれ……? 画面が動かなくなっちゃいました! アキラ君、なんかエラーポップアップがすごいことになってます! どうしよう、どうしようー!」


 リアが端末を両手で持ったまま、涙目でワタワタとパニックになり始めた。


「リア様……。余計にバグを悪化させてどうするんですか。――端末、一回僕が預かりますね」


 アキラはため息をつきながら、リアの手から魔導端末を優しく回収した。


「すみません、セリアさん。浮力炉の場所はどこでしょうか?」


「あ、あそこにある大聖堂の地下です……。でも、魔力フィールドが暴走して、激しい乱気流と濁った水の壁が渦巻いているので、誰も近づくことができません……!」


 セリアが指さした大聖堂の地下へと続く入口からは、確かに吹き飛ばされそうなほどの激しい暴風と、泥水が津波のように渦巻く強力な魔力障壁が発生していた。


「なるほど、なかなかのエラー範囲ですね。――それじゃあ、ちょっと行ってきます。エルナたちはここで待っていてください」


「うん、アキラ、気をつけて……」


 エルナが心配そうに見送る中、アキラはのんびりとした足取りで、狂暴な魔力障壁に向けて歩き出した。


「あっ、危ないです! そんな丸腰で近づいたら、一瞬で消し飛ばされてしまいますわ!」


セリアが悲鳴を上げてアキラを止めようとする。

しかし、アキラは歩みを止めず、心の中で呟いた。


「――『絶対安全領域』展開」


その瞬間、アキラの周囲に透明なドーム状の障壁が出現した。

アキラが魔力障壁に足を踏み入れた途端、彼を切り裂くはずの猛烈な乱気流や、押し流すはずの泥水の津波は、その透明な障壁に接触した瞬間、まるで水面に落ちた雨粒のように優しく弾け、四散していった。


「え……えええぇぇぇぇつ!?」


セリアが星の髪飾りを揺らしながら、信じられないものを見る目で絶叫する。


「な、なんですかあのお方は!? 嵐の中を、まるでお散歩するように歩いていかれますわ……!」


「あはは! 驚くのも無理ないよね。アキラの旦那様は、いつも規格外なんだから!」


サリアが腰に手を当てて誇らしげに胸を張るのを尻目に、アキラは全くの無傷で、大聖堂の地下深くへと平然と消えていくのだった。

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