第026話:砂漠のピクニックと、スパイスの写像
オアシスが復活した翌日、アキラたちは美しい青い湖のほとりでピクニックを楽しんでいた。
砂漠の熱気は相変わらずだが、アキラがハックした冷却魔導具のおかげで、彼らの周囲だけは常に爽やかで涼しい風が吹き抜けている。
「さあ、お昼ご飯ができましたよ。砂漠の暑さに合わせた特製料理です」
アキラが魔導コンロの上の鉄鍋から、スパイスの香りがたまらない料理を器に盛り付けた。
「これは……冷たいカリエですか? アキラさん」
セシリアが不思議そうに皿を覗き込む。
アキラが作ったのは、氷結魔導箱の温度設定を書き換えて急速に冷やした『砂漠風冷製キーマカリエ』だった。たっぷりの挽き肉とトマト、そしてオアシスでサリアから分けてもらった新鮮なスパイスと、隠し味に黄金リンゴの果汁をブレンドしてある。
「はい。暑い日でもサラッと食べられるように、冷たく仕上げてみました。あと、こちらもどうぞ」
アキラがグラスに注いだのは、魔導炭酸水にオアシス特産の柑橘類の果汁を絞り、削った氷を浮かべた『氷結シトラスソーダ』だ。
「冷たいカリエなんて初めてですわ! いただきます!」
フィリアがスプーンで冷たいカリエをすくい、ぱくりと口に運んだ。
その瞬間、彼女の長い耳がピンと直立した。
「つ、冷たくてさっぱりしているのに、スパイスの心地よい辛味と、お肉の旨味がぎゅっと凝縮されていて……信じられない美味しさですわ! スプーンが止まりません!」
「カリエ、ピリッとする……。でも、リンゴの甘さもあって、すごく美味しい……」
エルナもスプーンを器用に動かし、幸せそうにもぐもぐと食べ進める。
サリアは冷たいシトラスソーダをごくごくと飲み干し、ぷはぁ! と声を上げて目を輝かせた。
「なんだこれ! 喉がパチパチして、頭がキーンとするくらい冷たい! 砂漠のオアシスでこんな贅沢ができるなんて、アキラはやっぱり魔法使いの王様だよ!」
「あはは、ただの魔導炭酸水ですよ。気に入ってくれて良かったです」
アキラは彼女たちの賑やかな笑顔を見ながら、冷たいソーダをゆっくりと味わった。
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「それじゃあ、出発する前に、このサフィールのオアシスを背景に写像を撮りましょうか」
アキラがアイテムボックスから写像水晶を取り出し、適当なヤシの木の幹に固定した。
「はい、みんな並んでくださいね。はい、チーズ」
アキラが輪の真ん中に立つと、サリアが「旦那様の隣は私の特等席!」とアキラの左肩にスッと頭を預け、金色の瞳でとびきりのウインクを決めた。
フィリアはアキラの右側から負けじと寄り添い、エルナはアキラの服の裾をぎゅっと握ってちょこんと顔を出す。セシリアは少し後ろから、お姉さんのような笑みを浮かべてポーズを取った。
パシャリ。
水晶の光が瞬き、背景の美しいサファイアブルーの湖、青々と茂るヤシの木、そして彼らの幸せそうな笑顔が一枚の『写像』として保存された。
【写像:『砂漠のオアシスと新しい仲間』を保存しました】
【旅の記録マップにサフィールを登録完了】
アキラはデバッグUIで完成した観光マップを眺め、満足げに頷いた。
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ピクニックを終えた一行は、サリアを新しい仲間に迎え、馬車へと乗り込んだ。
サリアが加わったことで、馬車の中は以前にも増して賑やかで賑やかな声で満ち溢れている。
アキラは馬車の窓から心地よい冷風を浴びながら、さらにその先にある未開のフロンティアへと視線を向けた。
「さて、次はどこへ行こうか」
「さらに南に行くと、砂の中に埋もれた『黄金の迷宮都市』があるそうだよ、アキラ!」
「黄金の迷宮……。エルナ、キラキラしたもの、見たい」
「迷宮都市ね。新しいお宝や珍しい調味料が見つかるなら、少々の出費は目を瞑ってあげるわ」
サリアが新たな目的地を指差し、エルナがアキラの手を握り、セシリアが旅の予算を計算しながら歩き出す。
アキラは彼女たちの楽しげな声を背中で聞きながら、のんびりと馬車の速度を上げた。
世界のバグをワンタップでクリーンアップしながら進むお気楽な旅は、美少女たちと共に、どこまでも続いていく。




