第025話:褐色踊り子の歓迎と、燃え上がるアプローチ
サフィール・オアシスの大復活を祝う宴は、夜遅くまで大いに盛り上がっていた。
無数の篝火が青く輝く湖面を優しく照らし、部族の者たちが奏でる陽気な太鼓の音と笛の音色が、夜の涼しい砂漠の風に乗って響き渡っている。
「アキラ様、見てください! この『干し肉のスパイス焼き』、お口の中でピリッと辛くて、とっても美味しいですわ!」
フィリアが焼き鳥に似た串焼きを両手に持ち、リスのように頬張っている。
アキラは冷たいジュースを飲みながら、「よかったですね、フィリア。スパイスの効いたお肉も旅情があっていいものです」と微笑んだ。
アキラの隣には、エルナがそっと寄り添い、アキラの太ももの上に頭を乗せて「アキラの隣、落ち着く……」と幸せそうに目を細めている。
「はぁ……みんな緊張感がないんだから。でもまあ、本当にオアシスが戻って良かったわね。これで美味しい果物が安く仕入れられるわ」
セシリアが家計簿を閉じ、焼き立てのパンをかじりながら微笑んだ。
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その時、笛の音色が情熱的なテンポへと変わった。
篝火の光の前に、一人の少女が軽やかなステップで躍り出た。サリアだった。
きらびやかな金の刺繍が施されたシフォンの衣装をまとい、腰に巻いたコインのベルトが動くたびにシャンシャンと美しい音を立てる。
サリアは金色の瞳を妖艶に輝かせ、しなやかな体躯を波打たせるようにして、情熱的な歓迎の舞を踊り始めた。
風に舞う長い黒髪のポニーテール。
健康的な褐色肌のウエストが、篝火の炎に照らされて美しく躍動する。
普段の元気いっぱいで快活な彼女とはまるで違う、神秘的で大人の魅力に溢れたそのダンスに、アキラは思わず息を呑み、じっと見入ってしまった。
サリアはアキラの視線に気づくと、いたずらっぽく微笑み、彼に向かって手を差し伸べるようにして、最後の情熱的なターンを決めた。
パチパチパチパチ!
大歓声と拍手が巻き起こる。サリアは息を弾ませながら、アキラの元へと一直線に走ってきた。
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「アキラ! 私の歓迎の踊り、どうだった? 惚れ直した?」
サリアはアキラの目の前にしゃがみ込むと、距離を取るどころか、ためらいなくアキラの膝の上にすっぽりと座り込み、その首に両腕を回した。
間近で香るジャスミンの甘い香りと、触れ合う柔らかな体温に、アキラの頭が一瞬で真っ白になる。
「え、えーっと、サリアさん? ちょっと距離が近いというか……」
「いいじゃん! アキラは私のオアシスと命を救ってくれた『運命の旦那様』なんだから! ねえねえ、私をアキラの旅に連れていってよ! アキラのお世話も、砂漠の道案内も、全部私がやってあげる!」
サリアは金色の瞳をキラキラと輝かせ、アキラの胸に顔をすり寄せた。この超至近距離からの肉食系アタックに、周囲の空気が一瞬で凍りついた。
「ちょっとお待ちなさいな! アキラ様から離れてください!」
フィリアが焼き鳥の串を放り投げ、サリアの肩を掴んで引き離そうとする。
「アキラは、エルナのもの……。離れて……」
エルナも起き上がり、背中の白い翼を小さく羽ばたかせてサリアをキッと睨みつけ、アキラの左腕をぎゅっと抱きしめて牽制する。
「あらあら、新しい泥棒猫の登場かしら? ちょっとサリアさん、アキラさんにベタベタくっつくのはいいけれど、旅の追加メンバーとしての食費や宿代の計算が必要なんだから、まずはそこから離れなさい!」
セシリアが青筋を立てて家計簿を叩き、アキラの右側からサリアをジト目で睨みつける。
「あはは、みんな可愛いね! でも旦那様は譲らないよ!」
サリアはケラケラと快活に笑いながら、さらにアキラの腕をぎゅっとホールドした。
両側からヒロインたちに引っ張られ、目の前からはサリアに抱きつかれているアキラは、「あ、あの……みなさん、引っ張ると体がちぎれます……」と困り果てた表情で、助けを求めるように夜空を見上げた。
お騒がせな踊り子が加わり、アキラの「のんびりスローライフ」は、ますます賑やかでノンストレスな(?)ハーレムへと突き進んでいくのだった。




