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女神様に「観光マップを作って」と頼まれたので、ワンタップで世界のバグを消去しながら美少女たちと絶景巡りの旅に出ます  作者: 悠々


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第017話:悪党の破滅と、常識の敗北


「それにしても、契約が消えても実家の『借金』そのものが消えたわけではありませんわね」

 

 路地裏からギルドに戻る道中、フィリアが心配そうに言った。

 セシリアも表情を曇らせる。

 

「ええ。奴隷になる呪縛は消えましたが、実家の名誉と未返済の借金は残っています。ガストンはまた別の汚い手段で私を狙ってくるでしょうし、国からの追及も免れません……」

「ん? あそこに何か落ちてますね」

 

 アキラが不意に足を止め、道の真ん中の草むらを指差した。

 そこには、ガストンが慌てて逃げ出す際に落としたと思われる、分厚い羊皮紙の束が落ちていた。

 

【解析:ラッキー・ドロー発動】

【対象:ガストン商会の密貿易および脱税の裏帳簿】

【バグ要因:『不正取引データ』】

 

「お、完璧なバグの証拠だ」

 

 アキラがのんきにそれを拾い上げ、中身をパラパラと捲る。そこには、国家指定の禁輸品の取引リストや、教会の高官への賄賂の記録が詳細に書き込まれていた。

 

「な……なんですか、これは!? ガストンの絶対秘密の裏帳簿ではありませんか!? なぜこんな街の路地裏に落ちているのよ!?」

 

 セシリアが叫び、自分の頭を抱えた。

 

「まあ、俺の『幸運』チートのパラメータ設定がインフレしてますからね。バグを見つけたら即デバッグです」

 

 アキラは笑顔で、その裏帳簿をギルドの憲兵へと提出した。


────────────────────


 数時間後。

 マリーナの街は大騒ぎになっていた。

 提出された裏帳簿の証拠があまりにも完璧だったため、憲兵団がガストン商会へ即座に突入。ガストンは密貿易、脱税、および不当金利取引の罪でその場で逮捕された。

 さらに、彼に協力していたギルドの一部の腐敗した幹部たちも芋づる式に拘束され、商会は完全に解散・資産没収の処分となった。

 

 これにより、ガストンがローゼンバーグ家に対して行っていた不当な高金利貸し付けも「不正取引」と認定され、実家の残りの借金はすべて合法的に相殺・帳消しとなった。

 

「ローゼンバーグ家の名誉も回復され、借金もゼロ……」

 

 ギルドのロビーで、セシリアは椅子に深く腰掛け、天井を見上げていた。

 

「私のこれまでの数年間の苦労と、流した涙はいったい何だったのかしら……。出会って半日も経たないうちに、借金も契約も、すべて消えてしまうなんて……」

 

 セシリアは完全に『常識の敗北』を喫していた。

 アキラの規格外すぎる解決スピードに、驚くのを通り越して、脱力してしまっている。


────────────────────


「セシリアさん、大丈夫ですか?」

 

 アキラが心配そうに覗き込むと、セシリアは深くため息をつき、それからフッと優しく微笑んだ。

 

「ええ、大丈夫です。ただ、あまりにもあっけなくて……。アキラさん、本当にありがとうございました。私はあなたに、一生かかっても返しきれないほどの恩を作ってしまいましたね」

「いや、ただのバグ取りですから気にしないでください。美味しい魚料理でも奢ってくれれば、それで十分ですよ」

「ふふ、そんなことでいいのですか? 名門貴族の元令嬢にして、一流の家事能力を持つこの私を、安く見積もりすぎです」

 

 セシリアは悪戯っぽく微笑み、アキラの手をしっかりと握り返した。

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