表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神様に「観光マップを作って」と頼まれたので、ワンタップで世界のバグを消去しながら美少女たちと絶景巡りの旅に出ます  作者: 悠々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/51

第011話:温泉のデバッグと、吹き出す源泉


「ここから先は、本当に危険だぞ! 頼むから戻ってくれ!」

 

 源泉へと続く山道の入り口で、ドワーフの自警団たちが必死にアキラを呼び止めていた。

 山道の上からは、どろりとした赤黒い霧――見るからに体に悪そうな魔ガスが、ゆっくりと這い出すように流れてきている。

 

「大丈夫ですよ。ちょっと見てくるだけですから」

 

 アキラはのんきに手を振り、静止を振り切って霧の中へと歩み進めた。

 

「おい! あいつ、死ぬ気か!?」

 

 自警団たちの悲鳴のような声が背後から聞こえる。

 だが、アキラが赤黒い霧の一歩手前に足を踏み入れた瞬間、彼の周囲数十メートルに、半透明の光の結界が自動的に展開された。

 

【『絶対安全領域セーフティ・ドメイン』起動】

【有毒ガスの進入を完全ブロックします。領域内の温度・大気を最適化しました】

 

 アキラの周りだけ、まるで高原の澄んだ風が吹いているかのように、空気がさらりと綺麗に入れ替わる。赤黒い毒ガスは、結界の表面で弾かれ、アキラに一切触れることすらできない。

 

「うん、空調もバッチリ。快適、快適」

 

 アキラは散歩気分で、山道を登っていった。


────────────────────


 山頂の源泉地帯に到着すると、そこは地獄のような光景だった。

 巨大な岩の裂け目から、不気味な泡を吹く冷たい泥水が溢れ出し、赤黒い有毒ガスが激しく吹き出している。

 

 アキラがその源泉の岩肌にそっと近づき、手をかざした。

 視界のUIが、バグのコアをロックオンする。

 

【バグ検出:地下魔力脈の詰まりによる魔力変質ガスの噴出】

【事象書き換えを実行しますか? [はい]】

 

「詰まりを解消して、クリーンアップ、と。――はい、実行」

 

 アキラが頭の中でタップした。

 

 ――パァン!

 

 乾いた音が響き、アキラの手元から、まばゆい黄金色の光の柱が天に向かって突き抜けた。

 光の波動が山頂全体に広がると、立ち込めていた赤黒い有毒ガスが一瞬にして完全に掻き消え、澄み渡る秋のような青空が広がった。

 

 さらに、ゴゴゴゴゴ……という地響きと共に、岩の裂け目から泥水が引き、代わりに、水晶のように澄んだ、ほんのり硫黄の香りがする美しい乳白色の湯が、勢いよく噴き出した。

 

 湯気は心地よい熱気を帯びて広がり、極上の温泉源泉がここに復活した。

 

【クリーンアップ完了:魔ガスを完全デリート、源泉温度を最適値(42度)に調整しました】


────────────────────


「お、おい……ガスが、消えたぞ……?」

「それだけじゃない! 山の上から、心地よい湯煙が降りてきている!」

 

 麓で心配そうに見上げていたドワーフの職人や自警団たちが、一斉に山へと駆け上がってきた。

 彼らが見にしたのは、岩肌からこんこんと湧き出る、美しく温かい極上の源泉と、その傍らでのんきに佇むアキラの姿だった。

 

「温泉が……温泉が戻ってきた! いや、前よりもずっと澄んでいて、素晴らしい湯だ!」

「有毒ガスも完全に消えている! なんてことだ、あのお若いは、たった一人でこの大災害を解決したというのか!?」

 

 ドワーフの長老がアキラの手を強く握り締め、涙を流して感謝した。

 

「おお、恩人よ! この街を救ってくれたお礼に、何でも望むものを言ってくれ!」

「それじゃあ、一番景色のいい露天風呂を、しばらく貸し切りにさせていただけますか?」

「そんなことで良いのか!? よし、街で一番の絶景露天風呂を、お前さんたちのために今すぐ解放しよう!」

 

 アキラはドワーフたちの歓声を聞きながら、「よし、温泉バカンスの時間だ」と心の中で小さくガッツポーズをした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ